本田康祐

東京ウブストーリー 第2回 [バックナンバー]

福島出身・本田康祐(OWV)の上京物語

あの時のメッセージがなかったら今の僕はいなかった

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来たる新生活に向けて住み慣れた街を離れ、期待と不安を胸に東京での暮らしを始める人も多いこの季節。本連載では地方出身のアーティストに「上京」をテーマにエッセイを依頼し、東京に“ウブ”だった頃の思い出をつづってもらいます。第2回は福島県出身の本田康祐OWV)さんが登場。高校卒業後、アーティストになることを夢見てダンスの専門学校に入学するも周囲のレベルの高さに挫折し、一度は福島に帰ることも決意した本田さんですが、ある人のある言葉をきっかけに踏みとどまってがんばって来られたそう。今では押しも押されもせぬ人気のボーイズグループ・OWVのリーダーとして活躍する本田さん。4月6日には千葉・幕張メッセ国際展示場2~3ホールにてワンマンライブ「OWV 5th Anniversary LIVE -SUPERNOVA-」の開催を控える彼の、初々しい上京物語をお楽しみください。

ホームシックに襲われ、オンライン帰省してました

アーティストになるのを夢見てダンスの専門学校に通うために高校卒業後、18歳の時に福島から東京に上京してきました。

初めに自分が住んだ家が大田区でした。
専門学校が蒲田にあったのでその周辺ですね。

それまで福島では田舎のほうに住んでいたので、家から歩いてコンビニに行けることにまず驚き、多摩川も近く、河川敷を自転車で走って通学していました。

まぁその自転車は盗まれてしまい、もうどこにあるかはわからないですが……僕から言えるのはチェーン鍵だけじゃダメだよってことですかね。

一人暮らし初期に必ず訪れる自炊モチベも3ヶ月後には無くなってしまいましたが、上京後に勤めたバイト先での賄い飯で夜ご飯はちゃんと食べられたので何とかなりました。
ここで焼き鳥丼という最高の食べ物と出会いました。
焼き鳥丼にマヨネーズ、あれ最高でしょ。

ここでお酒にも出会い、そのお酒とは今でも付き合いがあります。しかしこの出会いが太りやすい体につながってしまったことに気づくのはここから2年も先のことでした。

環境の違いに戸惑いはありましたが楽しく生活もできました。
しかし一人暮らしにも慣れたある時、ホームシックに襲われてしまい、あぁ、、これが噂のホームシックかぁと思いながら無性に実家が恋しくなり、Googleマップのストリートビューで実家までオンライン帰省したりしてました。
意外とそれで寂しさも紛れたりしましたね。

ダンスのほうも福島にいた時には「自分ってダンス上手いんじゃね?」と思い東京に出てきましたが、自分なんかよりも遥かに実力も経験も桁違いの人達が周りに溢れていて、初めて現実を突きつけられました。

どれだけ踊っても目立たなくて、レッスンの数を増やしても周りとの差は縮まらなくて、「そりゃそうだ年数が違うもん」と自分に言い聞かせようとしましたがそれもできず、一回挫折しました。
「あー、次の仕事何にしようかな」とか「なんか他にやりたいことないかなー」ともう諦めてバイトも4つほど掛け持ちしてました。

福島に帰ってゆっくり暮らしたいなーとも思い、母に「もう実家帰って普通に仕事したいな」と連絡もしました。
しかし母からは「そんな気持ちなら何もできないよ、あと何年かだけでもいいから頑張ってきなさい」と背中を押されました。正直めっちゃ泣きました。

応援してくれる人がいたんだなぁって思って本当に嬉しかったし自分が情けなくなりました。

学生の頃は自分が上京する理由を「芸能界に入るため、ダンスの専門学校に進学します!」と言うと、当時は周りから無理だろと言われたり高校の先生方にも違う道を薦められたりして、自分でも恥ずかしくて夢をちゃんと言えませんでした。
進学が決まった後も親は本当にこの道を選んだ俺をどう思ってるのかなとも思いましたし、少し不安がある中この道を選んできたのでそんな母の言葉は本当に胸に刺さりました。

そこからは毎日レッスン終わりに自分で曲を探して踊って、
無我夢中で振り付けをして動画を撮って、
いろんなダンサーの動画を見て踊って、
教習所に通って……ここはどうでもいいか。
周りの人達は沢山書いてある履歴書が自分はほぼ白紙だったので、埋まりきらなくなるくらいにしたくてオーディションを片っ端から受けて、専門学校を卒業する頃には履歴書に入りきらないくらいの仕事をすることが出来ました。

そこからは仕事もうまくいくように、ありがたいことにいろんな人からお仕事をもらえるようになりました。
そしてバイトも全部辞めてダンスだけで行こうと決心した時にあるオーディションに出会い、今の自分がいます。

あの時の母からのメッセージがなかったら今の僕はいなかったですね。本当に感謝しています。まだまだだけど立派な親孝行しますので待っていてください。

もう東京にもすっかり慣れて、もはや染まりつつある自分ですが、上京した時にはいろんな戸惑いや挫折もありました。

今ではSNSが素晴らしい進化を遂げてますし、昔よりは上京しやすく、住みやすい街になってるかと思いますが、怖いこともたくさんあるとは思います。
自分が何で上京したのか、何の夢を持っているのか、それは本当に上京しないとできなかったのか、暮らしながらしっかり考えることが物事がうまくいくポイントだったのかもしれません。

このコラムに沿ったことを書けたのかはわかりませんが、僕の上京物語でした。笑

ボルダリングを楽しむ本田康祐。

ボルダリングを楽しむ本田康祐。

本田康祐

1995年生まれ、福島県出身。高校卒業後、日本工学院専門学校に入学するため上京。
ダンス&ボーカルグループ「White A」のメンバーとして活動したのち、2019年にオーディション番組「PRODUCE 101 JAPAN」に出演。翌2020年に結成されたボーイズグループOWVでリーダーを務める。OWVは2020年9月に1stシングル「UBA UBA」でデビューしたのち、これまで10枚のシングル、2枚のアルバムを発表。2025年4月6日に千葉・幕張メッセ国際展示場2~3ホールにてワンマンライブ「OWV 5th Anniversary LIVE -SUPERNOVA-」を開催したのち、4月9日に3rdアルバム「Supernova」をリリースする。
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