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GENの音楽履歴書

アーティストの音楽履歴書 第8回 バックナンバー

GEN(04 Limited Sazabys)のルーツをたどる

ゆずやaikoをカセットにダビングしていた小学生時代

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毎回1名のアーティストの音楽遍歴を紐解くことで、音楽を探求することの面白さや、アーティストの新たな魅力を浮き彫りにする本企画。第8回は、9月29日にさいたまスーパーアリーナでのワンマンライブ「YON EXPO」の開催を控える04 Limited SazabysのGEN(B, Vo)に話を聞いた。

取材・文 / 柴崎祐二

小5でギターを始める

小学生の頃にテレビやラジオで触れたゆずaikoT.M.RevolutionDREAMS COME TRUEMISIAなどを好きになってよく聴いていました。レンタルCD屋さんに行って店員さんの前で目当ての曲を歌って探してもらったり(笑)。借りてきたCDをカセットテープにダビングして聴く毎日でした。

父親はもともとフォーク好きで、家にアコースティックギターがあったんです。だから自然と僕もギターに触れるようになりました。小5の頃にはコードを4つくらい覚えて、簡単な曲の弾き語りをしてましたね。

熱くて、激しくて、とがったものを求めた

中学生の初めの頃は青春パンクが盛り上がっていた時期で、GOING STEADYやSTANCE PUNKSB-DASH175Rとかを聴きつつ、一方でASIAN KUNG-FU GENERATIONなどのオルタナ系にハマったり。その頃はエネルギーに満ちあふれていて、J-POPより熱くて激しいものを求めていたんだと思います。周りが聴いているメジャーなものよりちょっととがったものを聴きたいという意識もあったと思いますね。

中3のとき、深夜ラジオでlocofrankの1stミニアルバム「Starting AGE」の収録曲が流れてきて、それを聴いて「すごくカッコいい!」と思って、それまでメロコアバンドの王者として名前だけは知っていたけど聴いたことがなかったHi-STANDARDのCDを兄の部屋から拝借して聴いてみたりして。憧れの対象でちょっと背伸びしている感覚でしたね。当時兄の車で一緒に海に連れて行ってもらったりしてたんですけど、その車内で流れていた英語詞のスカコアやメロコアはすごくオシャレだと感じてました。

ベースボーカルの原点

高1の頃ハイスタの「ATTACK FROM THE FAR EAST」っていうライブビデオを初めて観たんですが、その中でメンバーがめちゃくちゃ楽しそうにしてて、それで「俺もバンドやってみたい!」と思ったんです。その頃兄の先輩からベースをもらったんですけど、ちょうど友達にギターをやっているやつがいて、しかもそいつがハイスタを聴いているって言っていて、「これはバンドやるしかない!」と。僕は本当はギターボーカルをやりたかったんですけど(笑)、ほかにベース弾くやついないしハイスタもベースボーカルだし、やってみるかってバンドを始めました。レパートリーは主にハイスタのコピーでしたね。

フォーリミを結成

大学でHIROKAZ(G)と出会って04 Limited Sazabysを結成したんですが、最初はコピバンのつもりでプロを目指す気持ちもまったくなくて。そのうちにライブをしようとなったとき、さすがにコピーだけじゃダメだよなって思ってオリジナルを作るようになりました。その時期はBlink-182やSum 41、The Offspring、Good Charlotteとかの海外のバンドをよく聴いていて、日本のアーティストだとHAWAIIAN6とかGOOD4NOTHINGをはじめ、同じ頃にリリースされたPizza of Death所属バンドのオムニバスアルバムもよく聴いてました。

ヴィレヴァンのバイトで視野が広がる

大学生の頃にはヴィレッジヴァンガードでアルバイトをするようになって、メロコア小僧だった僕がもう少し柔らかい音楽も聴くようになったんです。中でも特にハマったのがクラムボン。最初はスリーピースというところに興味を持って。3人なのにすごいグルーヴ感だし、普通ギターを入れるようなところをあえて抜いていたりしているところとか、アンサンブルも面白い。歌だったりピアノのプレイだったり、ちょっとミスタッチっぽいものを意図的に生かして深みを加えていたりとか。フォーリミの音楽も、アンサンブルやエンジニアリングの上で、ただ端正にカッチリしているだけじゃない部分を大事にしているんですが、それはこの時期に聴いた音楽の影響が大きいと思います。

当時お店でもよく売れた、「IN YA MELLOW TONE」という、チルでジャジーなヒップホップをコンパイルしたシリーズがあったんですが、それでNujabesの存在を知ったり。それと、初めて聴いて衝撃的を受けてその後もずっと自分にとってのアンセムなのが、NABOWAの「フォーキー feat. Naoito」という曲。それまで僕はクラスの中でもワイワイ騒いでいるようないわゆる陽キャタイプだったんですけど、徐々に内面的な世界にも興味を持つようになっていきました。自分たちの最初のCDもストレートでアッパーな英語詞だったんですが、それだけじゃダメだなって思って、自分の中にある葛藤や苦しさを表現していこうと思ったのもこの頃です。以前は、友達とかがいわゆる“病んでる”状態になっているのを見て、「すごい無駄じゃない? 楽しまなきゃ損!」と思って理解できなかったんですけど、バンドが鳴かず飛ばずの時期を経験し、ようやくそういう気持ちを理解できるようになったのかもしれないですね。

そういう音楽にたくさん触れていくうちに、ライブで盛りがるのとはまた別に、家で独り聴いてくれている人を意識しながら曲作りを行うようになりました。もともと内省的でサブカル的なものって、メロコア文化の中にいるとどうしても自然と避けていたような部分もあって。自分が感動するそういった音楽からの影響をさらけ出すべきか否か悩んだ時期もあったんですが、それが自分の個性だと思えるようになってからは吹っ切れました。そこから徐々にバンドへも注目が集まっていった感じですね。今では自分は「パンクロック生まれサブカルチャー育ち」って堂々と言えるようになりました(笑)。

尊さを感じた作品

「monolith」や「YON」を出したあたりから、ありがたいことにバンドの規模感がどんどん大きくなっていって、ついにはメジャーデビューをすることになりました。その頃聴いていたのが、EVISBEATSさんの「ゆれる feat. 田我流」や、七尾旅人さんのアルバム。いろいろな葛藤から目をそらさず、すごく苦しんだ上で生まれた美しい作品なんだろうなと思うとすごく尊さを感じます。

最近はパンク系だとNeck Deep、もっとハードコア寄りのものだとTurnstileとかをよく聴いてます。アジアのバンドだと韓国のHYUKOHも好き。日本のインディー系だと、中村佳穂さん。僕がVJを担当させてもらっているSPACE SHOWER TVの番組にコメント動画を寄せてくれて。コメント自体が歌みたいで、天才のオーラが出ててめちゃくちゃカッコよかった。あと最近のGEZANもすごいと思います。音楽的にもカッコいいし、強烈な狂気を放っている感じもすごい。メジャーなフェスシーンのバンドにはない独特の緊張感に刺激を受けますね。ファンの皆さんにも、フォーリミを入り口にしていろいろなアーティストの素晴らしさをぜひ知ってほしいなと思います。

04 Limited Sazabys

2008年に愛知県名古屋市にて結成された、GEN(B, Vo)、HIROKAZ(G)、RYU-TA(G, Cho)、KOUHEI(Dr, Cho)によるロックバンド。2015年4月に1stフルアルバム「CAVU」を日本コロムビアから発売し、メジャーデビューを果たした。同年10月にメジャー1stシングル「TOY」を、2016年3月に1st DVD「MOMENT」を発売。4月には初の主催フェス「YON FES 2016」を大成功に収めた。2017年2月に初の東京・日本武道館公演を成功に収め、8月にシングル「Squall」を発表した。2018年4月から5月にかけて、バンドの結成10周年を記念したライブ「04 Limited Sazabys 10th Anniversary Live」を神奈川・横浜アリーナ、愛知・日本ガイシホール、大阪・大阪城ホールにて行った。2019年9月にはニューシングル「SEED」をリリース。9月29日には埼玉・さいたまスーパーアリーナで初の単独公演「YON EXPO」を開催、10月には初のファンクラブ限定ツアー「YON TOWN tour 2019 ~町内GIG~」を行う。

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