テレビ朝日で放送中の、スーパー戦隊シリーズ第49作「
映画ナタリーでは「ナンバーワン戦隊ゴジュウジャー」が最終回を迎えるにあたり、全スーパー戦隊を紹介。2025年5月にNHK BSで放送された「発表!全スーパー戦隊大投票」でも各戦隊の解説を担当した渡辺範明が、その変化の歴史を中心に49作品を振り返る。全3回の連載で、第2回は「恐竜戦隊ジュウレンジャー」から「海賊戦隊ゴーカイジャー」を紹介する。
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16.「恐竜戦隊ジュウレンジャー」(1992年開始)
恐竜×ファンタジーでスーパー戦隊が新章突入
それまで怖くて悪役っぽいイメージから選ばれてこなかった「恐竜」が、映画「ジュラシック・パーク」の公開を控え、ついにメインモチーフに! 初の完全ファンタジー世界観、そして「Power Rangers」としての海外展開スタートと、まさにスーパー戦隊の新章幕開けとなる記念碑的な作品です。他にも、初の6人目の追加戦士ドラゴンレンジャー登場、「~マン」から「~レンジャー」へのタイトル傾向の転換など、トピックに事欠きません。
17.「五星戦隊ダイレンジャー」(1993年開始)
ストIIブームの時代に生まれた中国拳法戦隊
シリーズ歴代でも2作品しかない、中国拳法モチーフの戦隊。当時は「ストリートファイターII」によって対戦型格闘ゲームのブームが巻き起こり、子供向けコンテンツにも格闘技モチーフが増えてきた時代でした。ドラマ面では、敵味方ともにアツく泥臭い人間模様が展開。遥か古代から続いてきた戦いが、未来永劫ずっと続いていく……という最終回にも、独特の寓話的余韻がありました。中国の幻獣や英雄をイメージした7体の気伝獣と、それらが全て合体した重甲気殿はスーパー戦隊ロボ史に残るインパクト!
18.「忍者戦隊カクレンジャー」(1994年開始)
初の忍者モチーフ!リーダーは女性に
「恐竜」と同じく後に定番化する「忍者」モチーフを初めて採用したスーパー戦隊。そもそも和風の世界観自体が初だったうえに、巨大ロボ「無敵将軍」は城郭風のデザインだったり、敵怪人は設定上は妖怪であるにもかかわらずアメコミやストリートファッションの意匠が取り入れられたりなど、ビジュアルの新鮮さが際立っていました。ドラマ面では、初の女性リーダー・鶴姫を軸にしたストーリー、コメディ要素の強い第1部とシリアス展開の第2部(青春激闘編)を半年ずつ展開するなど、珍しい試みも。
19.「超力戦隊オーレンジャー」(1995年開始)
原点回帰×超古代文明
スーパー戦隊シリーズ20周年記念作品。「超科学を駆使して強大な敵に立ち向かう専門組織」という設定には初期スーパー戦隊への原点回帰を感じさせますが、同時にそれらの道具立てを「機動警察パトレイバー」「平成ガメラ」的な90年代的リアリズムにアップデートする試みもなされました。特にオーレンジャーが国際空軍に属する防衛部隊であり、超古代文明のテクノロジー「超力」を運用するためにはバックグラウンドに巨大組織が必要であることを表現する描写は画期的でした。5人のメンバーを象徴する幾何学模様「★」「■」「▼」「〓」「●」も印象深く、マスクデザインや4号ロボ・オーブロッカーの意匠に活用されました。
20.「激走戦隊カーレンジャー」(1996年開始)
浦沢義雄の起用でコメディ色がアップ
「ターボレンジャー」以来、2度目の自動車モチーフとなるスーパー戦隊。小さな自動車工場で働くメンバー5人の「夢の車」が実体化&巨大化して合体するRVロボ、働く車のVRVロボ、敵組織にあたる宇宙の暴走族ボーゾックなど、徹底的に「車」というモチーフにこだわっています。また、「美少女仮面ポワトリン」等の「東映不思議コメディーシリーズ」に関わってきた脚本家・浦沢義雄をメインライターに起用し、シリーズ随一コメディ色の強い作品となったことは、後のスーパー戦隊の作風の幅を大きく広げた意義もありました。敵怪人の巨大化に必要なアイテムが町の和菓子屋・芋長の芋ようかんという設定など、独特の不条理ギャグも語り草になっています。
21.「電磁戦隊メガレンジャー」(1997年開始)
ネット、携帯電話、衛星放送が普及し始めたIT時代のヒーロー
これまた「ターボレンジャー」以来、2度目の高校生メンバーで構成されたスーパー戦隊。「ターボレンジャー」と比べると学校生活の描写も多めで、学園ドラマの側面が強調されていました。IT時代を迎え、テレビゲーム、携帯電話、インターネットなどのデジタル技術がメインモチーフに選ばれ、その意味では「デンジマン」のアップデート版とも言えます(電子戦隊“デンジ”マン→“電磁”戦隊メガレンジャーというタイトルの共通項もアリ)が、デジタル技術そのものは物質的に表現するのが難しいため、搭乗メカや巨大ロボは「宇宙開発」をデザインモチーフにしています。番組序盤で放送時間が金曜夕方から日曜朝に移動したことで、後にニチアサキッズタイム / スーパーヒーロータイムが生まれる前段階にもなりました。
22.「星獣戦隊ギンガマン」(1998年開始)
神秘の動物・星獣が重要キャラクターに
怪獣特撮の要素を取り入れ、神秘の力をもつ宇宙怪獣・星獣がパートナーとして描かれました。ストーリー面では、本来ギンガレッドになるはずだった兄が行方不明になったことで、その役割を継ぐことになってしまった弟が主人公、というのがアツい。この「選ばれてしまった劣等生」というテーマは、今作で初めてメインライターとなった脚本家・小林靖子の他作品にもたびたび登場する重要命題となっています。主題歌の「ガンガンギギーン ギンガマン! 」というサビは思わず口ずさみたくなる名フレーズ!
23.「救急戦隊ゴーゴーファイブ」(1999年開始)
メタルヒーローの意思も受け継ぐレスキュー戦隊
放送開始年の「99」と阪神・淡路大震災の経験からの「救急」をかけた救急戦隊。敵集団が「ノストラダムスの大予言」のいわゆる「恐怖の大王」を元にした設定であることなど、要素の組み合わせの上手さにも唸りますが、それ以上に「命の大切さ」「他人を助けるのがヒーロー」というストレートかつ根源的なメッセージを子供たちに届けた点が素晴らしすぎる! スーパー戦隊シリーズとしては初のレスキュー部隊ですが、東映としては「特警ウインスペクター」をはじめとするメタルヒーローシリーズ「レスキューポリス」3部作の実績があり、そのノウハウも生かされた作品となっています。
24.「未来戦隊タイムレンジャー」(2000年開始)
「デカレンジャー」へとつながる刑事ドラマテイスト
西暦2000年という節目に放映された、タイムパトロールが題材のスーパー戦隊。1000年後の未来から逃亡犯を追ってきた時間保護局員=タイムレンジャーの4人と、唯一の現代人メンバーであるレッドとの友情やパートナーシップが描かれました。新時代を模索するスーパー戦隊として、シリーズの中では比較的大人向けのバランスで演出されており、主題歌も従来の子供が覚えやすい&口ずさみやすい路線ではない複雑な楽曲が選ばれています。また、各話のシナリオは刑事ものとしての要素も強く、4年後の「特捜戦隊デカレンジャー」へと繋がる試金石にもなりました。
25.「百獣戦隊ガオレンジャー」(2001年開始)
映像や玩具に革命を起こしたパワーアニマル
21世紀最初のスーパー戦隊であると同時に、記念すべきシリーズ25作目。デザインモチーフとしては大定番の「動物」をストレートに表現しつつ、巨大獣パワーアニマルの描写にCGを本格使用することで映像的な新鮮味をもたらしました。また、なんといっても玩具展開において、メインの合体ロボとは別に、2体目以降のロボや追加武装となる「パワーアニマルシリーズ」を多品種&低価格で展開したビジネスモデルは画期的! これ以降、コレクション性の高い低価格アイテムを、どのように他の商品や番組展開と連動させていくか?という新しいビジネスの軸が試行錯誤されていきます。
26.「忍風戦隊ハリケンジャー」(2002年開始)
2流派の忍者戦隊がドラマを生み出す
「カクレンジャー」以来2作目となる忍者モチーフの戦隊。流派の異なる2つの忍者集団がそれぞれ「ハリケンジャー」「ゴウライジャー」という別チームを結成しているという、いわば2戦隊のライバル関係が新しい試みでした。番組中盤で反目していた2戦隊がついに協力し、その象徴として旋風神と轟雷神という2体の巨大ロボが合体する展開もドラマチック! 前年のパワーアニマルにあたるコレクションアイテムはガシャポン風の「カラクリボール」。統一サイズのボールから、様々な武器やマシンが登場するギミックに遊び心がありました。
27.「爆竜戦隊アバレンジャー」(2003年開始)
恐竜モチーフを再び採用&アップデート
「ジュウレンジャー」以来2作目となる恐竜モチーフの戦隊。これら「ガオレンジャー」「ハリケンジャー」「アバレンジャー」の3作品は、シリーズで過去に採用済みだったモチーフを再活用しつつも、それぞれ「どう描くか?」の部分で時代に合わせたアップデートをおこない、スーパー戦隊の表現を進化させた時期と言えます。アバレンジャーでも恐竜(作中設定では爆竜)を「人語をしゃべるキャラクター」として描くことで、より登場人物の一員として位置づけたり、物語の最終盤まで徹底して主人公たちと敵対する追加戦士アバレキラーの存在、主人公アバレッドの強化形態アバレマックスへのパワーアップ展開など、意欲的な試みが多数盛り込まれました。
28.「特捜戦隊デカレンジャー」(2004年開始)
宇宙が舞台、一話完結型のSF刑事ドラマ
シリーズ初の本格刑事モチーフのスーパー戦隊。過去にも「カーレンジャー」のシグナルマンや「タイムレンジャー」の設定&シナリオなど、刑事や警察の要素は取り入れられてきましたが、全面的に番組テーマとなったのは今作が初めてでした。これは「宇宙刑事」3部作をはじめ、刑事ドラマを多く含んでいたメタルヒーローシリーズとの兼ね合いもあったと思われます。物語としてはエピソードごとに異なる事件の犯人を追う一話完結スタイルで、敵が組織化されていないことも大きな特徴。地球署の署長・デカマスターことドギー・クルーガーは、着ぐるみキャラとしては出色のカッコよさで高い人気を誇ります。異星文明との共生を描いたSFドラマとしても完成度が高く、第37回星雲賞メディア部門を受賞しました。
29.「魔法戦隊マジレンジャー」(2005年開始)
モチーフは魔法、テーマは家族愛と勇気
「ハリー・ポッター」をはじめとするファンタジー児童文学ブームの中で登場した、初の魔法モチーフのスーパー戦隊。携帯電話から変形する魔法の杖、魔法のほうき風のビークルなど、世界観やデザインも魔法ファンタジーに振り切っています。「ファイブマン」「ゴーゴーファイブ」に続く兄弟姉妹戦隊でもありますが、長男がレッドだった過去2戦隊に対し、末っ子がレッドというキャラクター配置にも時代の変化を感じますね。両親を探す未熟な5人の成長を通し、家族愛と勇気を描きました。「デンジマン」「サンバルカン」「ジュウレンジャー」を通じて悪の女王を演じてきた曽我町子が、最後のスーパー戦隊シリーズ出演で正義の天空大聖者マジエルを演じたことも印象的です。
30.「轟轟戦隊ボウケンジャー」(2006年開始)
任務は「対・悪の組織」ではなく、地球に眠る秘宝の保護
シリーズ第30作記念作品。シリーズ初のハイビジョン放送となり、画面サイズも現在の16:9に。これに伴い変身スーツの質感表現もアップ! 光沢の美しいスーツは当時惚れ惚れするカッコよさでした。ボウケンジャーは世界各地に眠る危険な秘宝プレシャスを回収&保護するプロフェッショナルチームという設定のため、スーツやメカも本来は戦闘用ではないところが絶妙なリアリティを醸しています。また、敵組織がいくつも存在し、プレシャスをめぐって三つ巴以上で争う構図も新機軸でした。
31.「獣拳戦隊ゲキレンジャー」(2007年開始)
修行で成長!2代目の中国拳法戦隊
「ダイレンジャー」以来2作目の、中国拳法モチーフのスーパー戦隊。中国の伝承や神話の要素が強かった「ダイレンジャー」に対し、よりスポーティで実践的な拳法を描いているのが特徴です。また、当時新しい潮流が目立っていたスポーツ科学のイメージも変身スーツやアイテムのデザインに取り入れられました。ストーリー面では様々な(動物の姿の)師匠から主人公たちが学び、成長するという師弟の関係が重視され、それが子供たちの日常における「学び」へと繋がる、共感型のヒーロー像を描いています。また、敵側の主要キャラ・リオとメレも従来のシリーズにおける追加戦士に近いレベルのドラマ性を持ち、1年間を通じて人気キャラとなりました。
32.「炎神戦隊ゴーオンジャー」(2008年開始)
車×動物のキャラがパートナーに!さらに12体合体
「バス+ライオン=バスオン」のように「車+動物」というスーパー戦隊シリーズにおける2大定番モチーフを掛け合わせる、という新発想の作品。しかも彼ら炎神(えんじん)は意思をもち会話が可能なパートナーでもあり、「ポケモン」のようなマスコットキャラと巨大ロボに合体するマシンを兼ねた、要素盛り盛りのキャラクターでした。さらにストーリーが進むにつれ、車だけでなく飛行機や列車までが登場し、乗り物もオールスター状態。それら12体の炎神が全て合体したエンジンオーG12の勇姿は圧巻です。
33.「侍戦隊シンケンジャー」(2009年開始)
東映に蓄積された時代劇の文化を活用
和風世界観としては忍者モチーフが定番だったスーパー戦隊シリーズにおいて、初めて「侍」をメインモチーフにした作品。文字の力・モヂカラを駆使して戦う設定、折り紙の意匠を取り入れた巨大ロボなど、より本格的な和の世界を表現しています。また、シナリオやアクションの面でも本格時代劇の要素を取り入れ、東映に蓄積された文化の厚みを感じさせました。主人公にあたる殿こと志葉丈瑠の秘めたる葛藤には、泣かされた視聴者も多いはず……! 特に終盤は重厚なドラマに圧倒されます。天晴!!
34.「天装戦隊ゴセイジャー」(2010年開始)
アーケードゲームと連動、カードで能力が発動
天使がモチーフの異色スーパー戦隊。「星を護る者」と「5つの星」をかけたタイトルになっています。同時期に展開されたキッズ向けアーケードゲーム筐体「スーパー戦隊バトル ダイスオー」との連動により、ゲームでも実際に使用できるカードが変身&能力使用のアイテムとなっていました。一方、巨大ロボ・ゴセイグレートの玩具はゴセイヘッダーと呼ばれる動物の頭をコレクションし付け替えて遊べる独特のコンセプトで、シュールな組み合わせのオリジナル合体など、不思議な魅力がありました。
35.「海賊戦隊ゴーカイジャー」(2011年開始)
過去のスーパー戦隊が総出演!ならず者の海賊がヒーローへ
スーパー戦隊シリーズ第35作記念。これまでのスーパー戦隊が総登場するアニバーサリー作品で、彼らの力が封印されたレンジャーキーを用いて歴代スーパー戦隊の力を使用できる宇宙海賊、ゴーカイジャーが主役となりました。「海賊戦隊」には海賊版=偽物という寓意も込められており、物語開始当初は利己的なならず者だった「偽物」のヒーローが、1年間の戦いや歴代スーパー戦隊との出会いを通じて「本物」になっていくというストーリーも最高にドラマチックでした。まさにその時点でのスーパー戦隊シリーズの歴史を体現した記念碑的な作品です。
東映特撮ファンクラブでは「ゴレンジャー」から「ゴジュウジャー」まで全作配信中
料金:月額税込960円
https://tokusatsu-fc.jp/
渡辺範明(ワタナベノリアキ)プロフィール
ゲームデザイナー&プロデューサー。スクウェア・エニックス勤務を経て、現在は創作ボードゲームメーカー「ドロッセルマイヤーズ」代表。専門分野のゲームのみならず玩具や特撮にも造詣が深く、怪獣映画をモチーフにしたボードゲーム「Kaiju on the Earth」シリーズやそのマンガ原作を手がける。NHK BS「発表!全スーパー戦隊大投票」には解説役として出演。TBSラジオ「アフター6ジャンクション2」では「スーパー戦隊ロボットクロニクル」をはじめとする特撮関連特集を担当した。同番組内で2026年2月2日から5日まで展開される「《スーパー戦隊》50年間ありがとうウィーク!!」では、2月2日、4日の回に出演する。
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