くるり、新曲&レア曲のみで「地獄の団体戦」敢行

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くるりの全国ツアー「くるりライブ興行2010~地獄の団体戦~」が、5月31日から6月7日にかけて5公演開催された。

このツアーで披露された新曲「魔法のじゅうたん」は7月28日にシングルとしてリリース予定(写真:古渓一道)。

このツアーで披露された新曲「魔法のじゅうたん」は7月28日にシングルとしてリリース予定(写真:古渓一道)。

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桜吹雪が舞う中「東京レレレのレ」を熱唱する岸田繁(写真:古渓一道)。

桜吹雪が舞う中「東京レレレのレ」を熱唱する岸田繁(写真:古渓一道)。

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3人の紡ぎだすシンプルなアンサンブルが、各曲の魅力を満員のオーディエンスに伝えた(写真:古渓一道)。

3人の紡ぎだすシンプルなアンサンブルが、各曲の魅力を満員のオーディエンスに伝えた(写真:古渓一道)。

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このツアーは岸田繁(Vo,G)がオフィシャルサイトの日記で告知していたとおり、5月26日リリースのカップリングベストアルバム「僕の住んでいた街」の収録曲と、音源化されていない新曲のみを披露する内容。ツアー折り返しの6月3日NHKホール公演では、アンコールを含む全21曲が演奏された。

開演時刻になり、まだ客席の照明が点いたままの状態で岸田と佐藤征史(B)、サポートドラマーのboboこと堀川裕之の3人がステージに登場。唐突な幕開けに客席がどよめく中、岸田は「くるりですー」と一言挨拶。1曲目「東京レレレのレ」のイントロを奏で始めた。

祭り囃子のような独特のメロディが鳴り響く中、ステージ上方からは大量の桜吹雪が舞い落ちる。普通ならばライブの終盤で行われる演出がいきなり1曲目から始まり、場内には歓声が起こる。ステージ上が桜色に染まったまま、続く曲はアルバムどおりの曲順で「尼崎の魚」。岸田の哀切なボーカルと軽快なリズムを刻む間奏の対比で、ライブの雰囲気を作り上げていく。

「えー、総理大臣も辞めまして(笑)……。くるりはB面集を発売し、僕はこんなボロボロのTシャツを着ながらもオリコン1位を取りまして」。岸田の言葉に客席からは拍手が起こる。「そして新しいアルバムも録り終えておりまして、今日はその中からちょちょちょっと、4曲聴いていただきたいと思います。新しいアルバムへいざなう招待状です」と話した後、いよいよ待望の新曲が披露される。「温泉」「さよならアメリカ」「目玉のおやじ」「麦茶」と、くるりらしいストレートなタイトルが発表されると、再び歓声が広がった。タイトルどおりに温泉の楽しさを歌った素朴な雰囲気の「温泉」、佐藤の力強いベースラインが印象的な「目玉のおやじ」。「ワルツを踊れ Tanz Walzer」「魂のゆくえ」といった直近のアルバムとはまた異なる世界を彼らが生み出したことを十分にうかがわせた。

続いては「『ガロン』をいろいろ工夫して、完コピに近い形でお届けしたいと思います(笑)」と紹介し、深遠な楽曲の雰囲気をさまざまな楽器を駆使して表現。途中では佐藤がベースを下げたまま鉄琴を叩き、その後ろから岸田が二人羽織のようにしてベースを弾くシーンも。演奏を終えた岸田は「この曲を作ったのは10年以上前なんですけど、『どれだけ長い曲を作れるか』というテーマで作ったんですね。動機としては不純です(笑)。久しぶりに演ったんですが、……まあ長いですね」としみじみ語った。

「次の曲もそんな感じの曲です。これは『メタルをやろう』っていうことで作りました」という「イメージファイト」、渋いギターリフと佐藤のボーカルが絡み合う「BLUE NAKED BLUE」と、中盤はカップリング曲の中でも特に異色のナンバーを立て続けに披露。その後は「ラブソング」「ギター」と、じっくりと聴かせるスローな曲でオーディエンスを酔わせた。

後半戦に入った「ノッチ5555」から、再び会場の雰囲気が変化する。心地良い疾走感に観客が身をゆだねた後は、「ベーコン&エッグ」の素朴な音が会場を満たす。ここで岸田は「もう1曲新曲をやります。『魔法のじゅうたん』という曲で、7月にシングルとして発売します。じゅうたんについての曲です……って歌詞に出てくるっけ?」と発言。佐藤があわてて「いや、出てきますよ!(笑)」と突っ込んで始まった優しいミディアムチューンのラブソングが終わると、ライブもいよいよ残りわずか。「今日はたくさんの皆様にお集まりいただきありがとうございます。何千人もの人を前に演奏するのは不思議なものですね。結成当時はお客さんが7人とか、お互いの彼女しか来てないとか……なんのためにライブやってんだって話になりましたけど(笑)」と、昔を懐かしむ岸田の言葉に続き、本編最後の曲として披露されたのは「さよなら春の日」。美しい情景を歌い上げる岸田のボーカルと、3人の奏でる丁寧な音が、ファンそれぞれの心に染み入っていった。

アンコールの声に応えてまず佐藤がステージに戻ると、恒例の物販紹介コーナーへ。その後岸田も加わり、2人でアコースティックギターを抱える。「ちょっとゆずみたいですけど(笑)」と岸田は余裕を見せるが、佐藤は「めっちゃ緊張してる……」と不安そう。岸田の歌声から始まったアンコール1曲目は「真昼の人魚」。2人の鳴らすシンプルな音が、歌詞の世界を美しく彩る。続いては岸田がバンジョーを抱えて「サマースナイパー」。哀しげなメロディとどことなくユーモラスなバンジョーの音が、不思議なハーモニーを生み出した。最後の曲は「かごの中のジョニー」。現在のくるりを象徴するような力強いバンドアンサンブルで、ロック色を強めたアレンジが響き渡る。アウトロでは岸田が長いギターソロを奏で、ギターロックバンドらしさを力強くアピールした。

カップリング曲と新曲のみで構成され、一般的に知られている曲はほとんど披露されなかった今回のツアー。楽曲のポピュラリティに頼らない分だけ彼らの音楽の魅力がより強く伝わってくる、そんな特別な一夜となった。

くるりライブ興行2010~地獄の団体戦~
2010年6月3日 NHKホール セットリスト

01.東京レレレのレ
02.尼崎の魚
03.サンデーモーニング
04.温泉
05.さよならアメリカ
06.目玉のおやじ
07.麦茶
08.ガロン
09.イメージファイト
10.BLUE NAKED BLUE
11.ラブソング
12.ギター
13.ノッチ5555
14.ベーコン&エッグ
15.pray
16.魔法のじゅうたん
17.地下鉄
18.さよなら春の日

EN-01.真昼の人魚
EN-02.サマースナイパー
EN-03.かごの中のジョニー

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読者の反応

reiko @rku0804

くるり、新曲&レア曲のみで「地獄の団体戦」敢行 https://t.co/ysrmOfvwOp

2010年のくるりのライブのレポを読んでみたら、ここでもMCでゆずが出てきてる🤣

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