福岡・博多座での上演が決まったときの思いを問われた獅童は「2018年の博多座公演では、お客様の熱い声援に我々も涙したことをよく覚えています。博多に来るたびに『またやってほしい』と声をかけていただくことも多く、自身のライフワークとも言えるこの作品を、大好きな博多で再び上演できることは率直に嬉しいです。今回は家族(陽喜さん、夏幹さん)で出演できることも大きな喜びです」、壱太郎は「こんなに早く再演ができるとは思っておらず、喜びが非常に大きいです。博多座は、チラシ・ポスターなどのビジュアルが街中に溢れるなど非常に勢いのある劇場で、お客様の反応がダイレクトに返ってくる手応えを感じています。前回の経験を大切にしつつ、また新たな舞台を紡いでいきたいです」と語った。
本作が長く愛される理由について問われると、獅童は「気がつけば10年続いていますが、これはひとえに『もう一回見たい』というお客様の声があったからです。新作ではありますが、実は歌舞伎の枠組みや演技の約束事といった『古典』に非常にこだわって作っています。義太夫(ぎだゆう)がキャラクターの心情を語る手法など、歌舞伎の優れた仕組みを活用することで、初心者にも分かりやすく、かつ100年後も残るような作品を目指しています」とコメント。壱太郎は「原作の絵本は、読む時の自分の心情によって感じ方が変わる深い魅力があります。大人も子供も関係なく、人間が共通して持つ『壁』や『あたたかさ』を感じられる普遍的なテーマが、長く愛される理由ではないかと感じています」と返答した。
また、がぶとめいを演じるうえでの工夫については、壱太郎は「人間よりも鋭い音や匂いへの感覚を意識し、『匂いから役に入る』ようなアプローチをしています。めいを演じる際は、特定の性別に決めつけず『ヤギとして動く』ことを大切にし、常に口をフガフガさせたり足を動かしたりといった、動物特有の仕草を意識しています」、獅童は「人間らしい歩き方を排除し、『動物として走り回る』ことを重視しています。今回は、歌舞伎の型を応用した独自の『狼六方(おおかみろっぽう)』も披露します。着ぐるみを使わなくても、ちょっとした仕草の工夫で動物に見えるのが歌舞伎の面白さですが、全身を使い続けるため、実は非常に体力を消耗する過酷な舞台でもあります」と語った。
最後に壱太郎は「本当に心温まる作品で、僕もめいとして思いっきりこの気持ちをぶつけたお芝居をしていきたいと思うので、ご家族で是非見に来ていただきたいですし、年齢問わずたくさんの方にお越しいただいて、一緒にこの舞台を楽しんでいただけたらと思っております」、獅童は「3歳のお子様から見ることができます。お子様、そしてお芝居好きの方、幅広い世代の方に喜んでいただける作品になっていると思いますので、是非、生の舞台で『あらしのよるに』を体感していただきたいです。帰り道に少しでも優しい気持ちになったり、少年・少女時代の幼かった時のことを思い出したりしていただけたらうれしく思います」と観客にメッセージを送った。
取材後、2人は福岡・天神の大型複合ビル・ONE FUKUOKA BLDG.(ワンビル)に移動し、福岡・福岡天神 蔦屋書店で開催中の「博多座 二月花形歌舞伎 『あらしのよるに』アートギャラリー展」を訪れ、歌舞伎や本作に関わる絵本特集と歌舞伎絵本の原画展や、舞台写真パネル展を見学。その後「スペシャルトークショー」を実施し、最後は餅まきを行った。
二月花形歌舞伎「あらしのよるに」の公演は2月7日から20日まで。出演者には獅童、壱太郎のほか、中村米吉、市村竹松、市村光、陽喜、夏幹、澤村精四郎、市村橘太郎、河原崎権十郎、市村萬次郎、中村錦之助らが名を連ねている。
二月花形歌舞伎「あらしのよるに」
開催日程・会場
2026年2月7日(土)〜20日(金)
福岡県 博多座
スタッフ
原作:きむらゆういち(講談社)
脚本:今井豊茂
演出・振付:藤間勘十郎
出演
がぶ / 狼の長:
めい:
みい姫:中村米吉
はく:市村竹松
穴熊ぴか:市村光
幼いころのめい:中村陽喜
幼いころのがぶ:中村夏幹
たぷ:澤村精四郎
山羊のおじじ:市村橘太郎
がい:河原崎権十郎
狼のおばば:市村萬次郎
ぎろ:中村錦之助
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