「オトコ・フタリ」は、NHK大河ドラマ「篤姫」の脚本、NHK大河ドラマ「江~姫たちの戦国~」の原作・脚本で知られる田渕久美子が脚本を書き下ろし、山田和也が演出を手がける三人芝居。作中では、画家・禅定寺恭一郎(山口)と、禅定寺の家政婦・中村好子(保坂)、そして禅定寺のアトリエに踏み込んできた若者・須藤冬馬(浦井)によるコメディが展開する。
田渕が脚本を手がけたドラマに出演経験がある山口は、稽古初日に稽古場を訪れた田渕が「今の時代、1人ひとりが表には見えないいろいろな困難を抱えながら、何もないような様子でそれを1つひとつ乗り越えている。この作品は喜劇だが、そういう現実の重みも表現して、観客に共感してほしい」と話していたことを紹介。「僕もまさに、そういう舞台にしたいと思いました。ぜひ前向きなエネルギーを受け取ってもらえたら」とメッセージを送った。
浦井も山口の言葉にうなずいて「日常にある愛の大切さを再確認できるお話です」と作品をアピールし、「これを尊敬する先輩お2人と演じられることは、僕にとって“ご褒美タイム”と言いますか(笑)」と記者たちの笑いを誘う。また浦井は、山口と演出の山田が「がんばらないをがんばる」というスローガンを掲げていることを挙げ、「すごくゆるやかな雰囲気。心地よく、風通しよくやらせていただいています」と稽古場の様子を語った。
今回初めて田渕と顔を合わせたという保坂は、「台本を読んで『どれだけお2人(山口、浦井)のことを知っていらっしゃるんだろう?』と驚きました。」と、台本にあて書きの要素が多くちりばめられていることに触れる。男性2人と女性1人の三人芝居となることには、「私の役は『オトコ・フタリ』の、この“点”」と、立ち上がって背後のパネルに書かれたタイトルの「・」を指さし、会見場を和やかな空気で包んだ。
過去に共演経験のある3人が、互いの印象を尋ねられると、山口はミュージカル「王家の紋章」の際、浦井が1度教わった殺陣の振りをすぐに覚えたことを称賛して、「そういう能力がない自分は、どこでがんばればいいだろう……と思いました(笑)」と茶目っ気たっぷりに話す。浦井は「待ってくださいよ!」と恐縮しつつ、「大スターの山口さんが、みんなを引き連れて第1線を走ってくださる心強さを感じています」と山口に厚い信頼を寄せる。浦井の言葉を聞いた山口は、自分の水の入ったペットボトルを浦井に手渡そうと立ち上がり、会見場を笑いで包んだ。
また山口は、劇団四季時代に「オンディーヌ」の稽古で「3日で通し稽古ができたら本番にも出てもらう」と言われた保坂が、見事に主役の代役を務めたエピソードも紹介。保坂は微笑みながら「山口さんはずっと変わらず、みんなに気を配る方。もしわざとなら疲れてしまうと思いますが(笑)、自然に続けているから今ここにいらっしゃるのだと感じます」と山口に視線を送る。これを受けて山口は、今度は自席のボトルと共に浦井のボトルもつかんで保坂に渡そうとし、会場にはひと際大きな笑いが起きた。
会見では山口が、コロナ禍の今ならではの稽古の様子に言及する場面も。窓を開けて換気し続けているため、稽古場では道路工事のドリルの音が聞こえてくることもあったという。山口は笑い交じりに「 “ウィズコロナ”では、道路工事をしている人と舞台の稽古をしている人が、同一空間を分け合って生きるんだなと」と所感を述べ、「今までなら考えられないことですが、これまでとは違う状況を楽しみながら取り組んでいます」と稽古の充実ぶりをのぞかせた。
最後に山口が「この芝居には、浦井さん、保坂さん、“山口くん”を使って、問題を抱える皆さんに、喜劇を通してパワーを送りたいという田渕さんの思いが込められています。僕たち3人で、その願いを皆さんに届けられたら」と意気込みを語り、会見は終了した。
上演は12月12日から30日まで東京・シアタークリエ、来年1月15日から17日まで大阪の梅田芸術劇場 シアター・ドラマシティ、23・24日に愛知・刈谷市総合文化センター アイリスにて。
「オトコ・フタリ」
2020年12月12日(土)~30日(水)
東京都 シアタークリエ
2021年1月15日(金)~17日(日)
大阪府 梅田芸術劇場 シアター・ドラマシティ
2021年1月23日(土)・24日(日)
愛知県 刈谷市総合文化センター アイリス
脚本:田渕久美子
演出:山田和也
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