東京・歌舞伎座で上演中の「六月大歌舞伎」。ステージナタリーでは、本日6月7日に行われた昼の部の様子をレポートする。
「六月大歌舞伎」昼の部で上演されるのは、中村時蔵らによる「妹背山婦女庭訓 三笠山御殿」、
「三笠山御殿」は、大化の改新を題材とした「妹背山婦女庭訓」の4段目。三笠山にある蘇我入鹿(坂東楽善)の御殿に、藤原鎌足の使者を名乗る漁師・鱶七(
時蔵は鮮やかな萌葱色の振袖で田舎娘のお三輪に扮し、求女への一途な思いを繊細な所作でいじらしく演じる。一方でお三輪が逆上する場面では振袖の片肌を脱いで髪を振り乱し、激しく嫉妬に狂う様子を表現して観客から拍手を浴びた。また松緑は、長袴を捌きながら堂々と入鹿と渡り合ったり、床下から突き出された槍を枕にして横になったりと豪胆な鱶七を力強く演じる。さらに日頃は立役を勤める俳優たちがお三輪をなぶる“いじめの官女”たちに扮し、たおやかな高音と野太い地声を使い分けて会場を笑いで包んだ。
続く「六歌仙容彩 文屋」では、菊之助が文屋康秀に扮して軽妙な踊りを披露。小野小町を探そうとする康秀の行く手を官女たちが遮る様が、浄瑠璃と三味線の音色に乗せて展開する。康秀と8名の官女たちはテンポのよい掛け合いを交えつつ、息の合った軽やかな踊りで観客の笑いを誘った。
昼の部の最終演目は、河竹黙阿弥が五代目菊五郎のために書き下ろした「野晒悟助」。葬儀屋を営む粋な侠客・野晒悟助役を、当代の菊五郎が20年ぶりに勤める。菊五郎は気風のいい悟助を貫禄たっぷりに演じつつ、悟助に危機を救われ恋に落ちた2人の女性が順番に押しかけ女房にやってくる場面では困惑の表情を浮かべ、客席を笑わせた。
本演目で特に注目したいのは、怒りに燃える悟助が四天王寺へと駆け付け、
上演時間は30分間、15分間の休憩2回を含めて約4時間50分。なお夜の部では、江戸時代に実際に起きた殺人事件を題材として創作された「夏祭浪花鑑」を
「六月大歌舞伎」
2018年6月2日(土)~26日(火)
東京都 歌舞伎座
昼の部
「妹背山婦女庭訓 三笠山御殿」杉酒屋娘お三輪:中村時蔵 「夏祭浪花鑑」
漁師鱶七実は金輪五郎今国:
烏帽子折求女実は藤原淡海:
入鹿妹橘姫:
荒巻弥藤次:
宮越玄蕃:
豆腐買おむら:
蘇我入鹿:坂東楽善
「六歌仙容彩 文屋」
文屋康秀:
「野晒悟助」
野晒悟助:
浮世戸平:尾上菊之助
忠蔵:
小田井:
お賤:
お牧:
詫助:
六字南無右衛門:市川團蔵
後家香晒:
提婆仁三郎:夜の部
団七九郎兵衛:
お辰:
一寸徳兵衛:
お梶:尾上菊之助
下剃三吉:
玉島磯之丞:
傾城琴浦:中村米吉
団七伜市松:寺嶋和史
大鳥佐賀右衛門:
三河屋義平次:嵐橘三郎
堤藤内:大谷桂三
釣舟三婦:
おつぎ:中村東蔵
「巷談宵宮雨」
龍達:中村芝翫
虎鰒の太十:尾上松緑
おとら:中村児太郎
おとま:
薬売勝蔵:市村橘太郎
徳兵衛:中村松江
おいち:中村雀右衛門
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