「阿修羅城の瞳」は、
礼は、鬼御門を離れたあとの出門が、身を寄せる一座の仲間とコミカルに掛け合う様子や、女性に対して軽さを持って接する姿から、出門のお調子者な性質を軽快に演じる一方で、腹が決まればブレずに目的に立ち向かう芯の強さを色気たっぷりに体現した。そんな出門との出会いで少しずつ変化していくつばき役の暁は、記憶を持たない状況に翻弄され、苦悩する様子を、立体的な逆毛が目を引く安倍邪空役の
本作では鬼との戦闘シーンをはじめ、全編を通してロック調のサウンドが劇団☆新感線らしさを漂わせるが、礼をはじめ、出演者が登場人物たちのバックグラウンドを丁寧に演じることで、出門とつばきの“因果の物語”が新しく、スピーディに描かれる。礼は歌唱や殺陣など、活劇となる本作のさまざまなシーンで男役の集大成を披露するが、中でも立ち居振る舞いやセリフ回しに出門の艶っぽさをにじませ、芝居巧者ぶりを見せた。
第2幕で披露される、
通し舞台稽古後には礼が囲み取材に応じ、東京公演開幕への意気込みを語った。礼は、「宝塚大劇場では卒業した実感がまったくなく、『かみ締めなくては』という思いで東京に参りました」とあいさつ。「阿修羅城の瞳」については、「劇団☆新感線さんの舞台はもともと大好き。スピード感と美しい殺陣、ふっと笑ってしまうような面白さの絶妙なバランスに、宝塚歌劇ならではの良さを取り入れつつ、女性の私たちだけでどう表現するかが課題でした」と明かす。さらに、「阿修羅城の瞳」が劇団☆新感線でもラブロマンスをメインにした数少ない作品であるとし、「(だとしたら)我らのプライドを見せる。愛にあふれたこの場所で、宝塚歌劇だからこそお見せできる“美しい愛情”のある作品にできたら」と話した。過去に出門役を演じた松本幸四郎(当時・市川染五郎)、古田新太を「早口でも言葉が気持ち良く耳に届く演技をされていて、尊敬しています」としたうえで、「私も、皆様にしっかりと物語が伝わることを大切にしたい。あとはひたすら体力勝負。剣を振り回すことにもっと慣れていきたいです」と微笑んだ。
「エスペラント!」では、「星組は勢いで乗り切ってしまいがちですが、今回はタカラジェンヌらしく“美しく華やかに”をテーマにみんなでがんばっています」とコメント。見どころについて聞かれると、「千住明さんが書き下ろしてくださった『青い星』は星組全員が好きな場面。黒燕尾では、大石裕香先生に私の思いや表現したいものを相談しながら、振りを付けていただきました。心を込めてやりたいと思っています」と話す。また、下級生とタップを踏むロケットのシーンは東京公演でガラリと変わり、「私が残すものを星組生が引き継いでいくということをテーマに、111期生の組回り生と星組の下級生がタップに挑んでいます。ひいひい言いながらやってくれていますが、私もみんなの若さに負けないようにがんばりたい」とにこやかに答えた。
上演時間は約3時間5分。東京公演は8月10日まで。なお、8月9日15:30開演回、10日13:30開演回ではライブビューイングと配信が行われる。
宝塚歌劇星組「ミュージカル『阿修羅城の瞳』」「ファンタジック・タペストリー『エスペラント!』」
2025年4月19日(土)〜6月1日(日) ※公演終了
兵庫県 宝塚大劇場
2025年6月28日(土)〜8月10日(日)
東京都 東京宝塚劇場
スタッフ
ミュージカル「阿修羅城の瞳」
原作:
原作演出:いのうえひでのり
潤色・上演台本・演出:
ファンタジック・タペストリー「エスペラント!」
作・演出:
吉田メタル @metalmanjapan
楽しみ〜🎵 https://t.co/y4FIpvFLpa