明日9月30日より東京・東劇ほか全国にて公開される「
「《シネマ歌舞伎》四谷怪談」は、2016年6月に「コクーン歌舞伎」第15弾として串田和美演出で上演された舞台を、串田の監督により映像化した「NEWシネマ歌舞伎」の第2弾。舞台の映像化について串田は「舞台をやっている人間からすると、記録映像はつらいものがあるんですよね」と言い、「何が違うってその舞台の『空気』が映ってないじゃないか。そこにあるものという『空気』が大事だと思うんだけど。特に歌舞伎の舞台中継を観ていると、なんか退屈だな、こうじゃないよなという気持ちがあって、舞台中継には非常に疑問があったんです」と持論を述べる。
その思いから「せっかく作るんだったらもう少し『映像』にしたいなと。これはカメラではなく、生身のお客さんに向けて真剣に芝居している姿を1ステージで7、8台のカメラで撮り、それを3ステージ、つまり20数台のカメラで角度をすべて変えて撮っています。なので1シーンで20数カット材料がある。その中で、いちばんいいカットや逆にお客さんが見逃しているなというカットをミックスして編集して、スタッフと何カ月もかけて作っています」と創作の裏側を明かす。
また「3時間の映画を観るのは、観る感覚が鈍くなってしまうから、やっぱり2時間だねと思って3時間の芝居を思い切ってカット」したと語り、カットしたことによって「想像力がわっと働いたり。人間の感覚には長ければいいってもんじゃないということがいくつもあって、『これは劇映画でもなく、舞台中継でもない、新しい表現ができたぞ!』と思った」と手応えを語った。
さらに「舞台そのものも映画的にできないかなと思って、後ろの背景が動いていると、そこにいる動いていない登場人物が動いているように見えないかなと思ったり、そういうようないくつかの工夫をしている」と語り、「お梅の化粧のシーンとお岩の髪すきがずーっと重なっているように、舞台の演出でもオーバーラップしているように見せたり、映画のようにズームできないかなというのを工夫している」と明かした。
串田は「舞台を観た何人かの人たちの記憶に残った舞台の姿の集積、何人かの観終わって数カ月たった後にふわっと思い出しちゃうもののコラージュみたいなものにしてみようというのが根底にあるコンセプトなんですね」と語り、「NEWシネマ歌舞伎を観た後に、舞台も観て、私だったらこう観えたというようなものが見つかったらすごくうれしいですね」と観客に呼びかけた。
講義の後半では串田が学生達の質問に答える時間もあり、第一線を走り続ける演出家の“生”の言葉を、学生達は真摯に受け止めていた。
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