ステージナタリー - 舞台・演劇の最新ニュースを毎日配信

コクーン歌舞伎「四谷怪談」七之助、10年前の父からのダメ出しにリベンジ誓う

716

「渋谷・コクーン歌舞伎 第十五弾『四谷怪談』」囲み取材より上段左から首藤康之、片岡亀蔵、笹野高史。下段左から中村七之助、中村獅童、中村扇雀、中村勘九郎。

「渋谷・コクーン歌舞伎 第十五弾『四谷怪談』」囲み取材より上段左から首藤康之、片岡亀蔵、笹野高史。下段左から中村七之助、中村獅童、中村扇雀、中村勘九郎。

「渋谷・コクーン歌舞伎 第十五弾『四谷怪談』」が、本日6月6日に開幕する。公演に先がけて昨日6月5日、囲み取材とゲネプロが行われた。

1994年にコクーン歌舞伎第1弾として上演された「東海道四谷怪談」。2006年の第7弾では、第1弾を進化させた「南番」と、「深川三角屋敷の場」にフォーカスした「北番」の2つのプログラムが上演されたが、今回は「北番」をベースとした新演出が展開される。

ゲネプロでは、罪を重ねながらも己の生き方に苦悶する伊右衛門と直助権兵衛を、中村獅童中村勘九郎が熱演。またお袖の元夫・与茂七とお袖の姉・お岩の両役を務める中村扇雀が、中村七之助扮するお袖への深い愛情を双方の立場から表現した。舞台下手では巨大な仁王像が堂々の存在感を放ち、串田和美ならではの鮮やかな舞台美術が「四谷怪談」の面妖な世界を一層引き立てている。江戸の町人に混じってサラリーマンが町を闊歩し時代が交差するシーンは、獅童、勘九郎、七之助、扇雀の4人がスーツ姿を披露した本公演のチラシを彷彿とさせた。

囲み取材には獅童、勘九郎、七之助、扇雀のほか、片岡亀蔵笹野高史首藤康之が登壇。扇雀は「今回の『四谷怪談』は、伊右衛門の脳内をグッと見ていくような芝居になっている。通常の歌舞伎だと最後の夢のシーンは舞踊劇のようになるが、今回は伊右衛門の苦悩が目に見える形で表現されるのでびっくりするのでは」と、見どころについて語る。獅童が「今回演じる伊右衛門は悪役。とにかく皆さんに楽しんでもらえるように一生懸命努めます」と自身の役柄について述べると、勘九郎は「伊右衛門が悪役だとしたら、僕が演じる直助権兵衛はチョイ悪くらいです(笑)」とコメント。「本作のテーマは“記憶”なのではないかと僕は考えている。先ほど扇雀さんもおっしゃっていましたが、伊右衛門の脳内世界を皆さんにも楽しんでいただければ」と続けた。

また勘九郎は「コクーン歌舞伎の中でも『四谷怪談』は父が特に好きな演目だったので、思い入れがあります」と、2012年に逝去した父・十八代目中村勘三郎について振り返る。2006年に上演された「東海道四谷怪談」でも同じくお袖役を努めた七之助は「10年前の『東海道四谷怪談』では、父と恋人関係を初めて演じてコテンパンにされた記憶がある。本番中、閨のシーンでこっそりダメ出しをされたことも。今回は10年前のリベンジだと思っています」と意気込みを見せる。「(梨園ではない)民間からの参加です!」とお馴染みのジョークを飛ばした笹野も、「『四谷怪談』は勘三郎さんとの思い出を紐解いてくれる特別な演目。さまざまなシーンで彼のことを思い出さずにはいられない」と、亡き勘三郎との思い出を語った。

亀蔵は「コクーンでの東京公演が終わって(7月上演の)松本公演の千秋楽までにはなんとか完成させたい、というくらいに難しい作品。迷い迷いながらがんばっております」と苦労を明かす。また首藤が演じる小汐田又之丞が寝たきりの役であることが明かされると「バレエファンの方が見たらお怒りになるんじゃないでしょうか!」と勘九郎がコメントし笑いを誘う。首藤は初参加となるコクーン歌舞伎について「……新鮮です」と緊張の面持ちをのぞかせた。

囲み取材後に行われたインタビューでは、串田が「舞台役者とも歌舞伎役者とも違う首藤さんの存在感に惹かれた。僕は役者にとって一番大切なものは存在感だと思っているから」と、首藤を抜擢した理由を明らかに。「『北番』は通常の歌舞伎では削ぎ落とされてしまう部分なのかもしれないが、面白いところがたくさんある。今回の『四谷怪談』では武士階級の没落、商人の隆盛というところに焦点を当てて表現した。批判を覚悟でいろいろなことを実験しているので期待してください」と意気込みを見せた。

東京公演は6月29日まで。また本作は「信州・まつもと大歌舞伎」として、7月11日から17日まで長野・まつもと市民芸術館でも上演される。

渋谷・コクーン歌舞伎 第十五弾「四谷怪談」

2016年6月6日(月)~29日(水)
東京都 Bunkamura シアターコクーン

作:四世 鶴屋南北
演出・美術:串田和美
出演:中村獅童中村勘九郎中村七之助、中村国生、中村鶴松真那胡敬二大森博史首藤康之笹野高史片岡亀蔵中村扇雀 / 中村勘之丞、中村山左衛門、中村蝶紫、中村小三郎、澤村國久、中村かなめ、中村いてう、中村祥馬、小西康久、大月秀幸、内田紳一郎、片岡正二郎 / 中村扇十郎、中村獅一、中村仲之助、中村仲四郎、中村仲助、中村仲弥、中村橋三郎、土橋慶一、一色洋平、山岡弘征、朝山知彦、奥山隆、佐藤義夫、大岩剣也、丸山和彰、細身慎之介、常住富大、和田裕太、由利昌也、横井翔二郎 / 鈴木光介(トランペット)、日高和子(サキソフォン)、高橋牧(アコーディオン)、田村龍成(バイオリン)、尾引浩志(ホーメイ、イギル)

信州・まつもと大歌舞伎「四谷怪談」

2016年7月11日(月)~17日(日)
長野県 まつもと市民芸術館 主ホール

作:四世鶴屋南北
演出・美術:串田和美
出演:中村獅童、中村勘九郎、中村七之助、中村国生、中村鶴松、真那胡敬二、大森博史、首藤康之、笹野高史、片岡亀蔵、中村扇雀 ほか

(c)松竹株式会社

ステージナタリーをフォロー