2016年にスタートし、今年で8回目の開催となる「YON FES」。開催時期を4月から6月に“お引っ越し”して以降は今回で2度目の実施となった。初日公演には主催のフォーリミのほか、
coldrain / KALMA
フォーリミのGEN（B, Vo）による「最高な日にしましょう！」という開会宣言で幕を開けた「YON FES 2025」。SKY STAGEのトップバッターを務めたのは、フォーリミにとっての名古屋の先輩・coldrainだ。1曲目「To Be Alive」からモッシュやダイブが起こり、Masato（Vo）の煽りに呼応して巨大なサークルピットが発生。Masatoが「毎年呼ばれる仲だと思ってたのに」とひさびさの「YON FES」出演となったことを冗談交じりに触れたあとは、その思いを昇華させるようにさらにハイボルテージな演奏が続く。ラストナンバー「MAYDAY」ではKnosisのRyo Kinoshitaがパフォーマンスに合流。Ryoがステージを降りて観客の目の前で熱唱するなど、朝から大きな盛り上がりが生まれた。LAND STAGEの１番手は、今回の出演者で最も若手のバンド・KALMA。彼らはサマーチューン「夏の奇跡」を皮切りに、青春のきらめきやもどかしさが感じられる歌詞とメロディをエネルギッシュなロックサウンドに乗せて力いっぱい届けていく。畑山悠月（Vo, G）は「こんな俺たちでも呼んでくれるような、カッコいいロックバンドが地元で主催しているロックフェスに出れることがうれしいです」と「YON FES」初出演の喜びを爆発させた。
SHANK / Knosis
「YON FES」皆勤賞のSHANKは「変わらず皆さんの背中を押すようなMCは用意していませんが、音楽して帰ります」という言葉通り、「Surface」を皮切りにメロディックパンクチューンを連投。すでに十分な熱気が漂うモリコロパークの空気をヒートアップさせていく。「Life is…」ではステージ袖で見ていたKUZIRAの熊野和也（B, Vo）を見つけた庵原将平（Vo, B）が熊野を呼び込み、ベースを託して４人で演奏するなどライブバンドならではの自由なステージが展開された。その後もSHANKは「毎回（「YON FES」に）呼んでもらえると思っていないので、これからもカッコいいバンドマンでいられようにがんばります」と決意を新たに、次々に楽曲を畳みかけていった。続いて登場したKnosisは「YON FES」初出演。Ryoは以前、GENに「YON FES」出演を相談したことがあるが「Ryoは怖いから」という理由で断られたという。そんなRyoは「今日はみんなのトラウマになるような怖いライブを見せます」と宣言し、「全員手を上げろ」「暴れるならここだ！」とアジテートしながら重厚なダンスミュージックで観客を踊らせていく。さらにSurvive Said The ProphetのYosh（Vo）をゲストに迎え、Creepy Nuts「オトノケ」の“ヘヴィカバー”を披露して追い打ちをかけた。
MONGOL800 / GLIM SPANKY
フォーリミが開催に向けたインタビューで「世代感にまったくこだわらなくなった」と語っていた通り、初日から多彩なアーティストが並ぶ幅広いラインナップとなった今回の「YON FES」。初出演のMONGOL800は1曲目に代表曲「あなたに」を届け、この暑さにぴったりの沖縄の心地よい空気感を会場にもたらしつつ、あらゆる層の観客の体を揺らしてみせる。井上陽水「少年時代」のカバーでもモッシュが起こり、会場の盛り上がりは増すばかり。「小さな恋のうた」ではシンガロングが響き渡り、「DON'T WORRY BE HAPPY」ではパーティダンサーの粒マスタード安次嶺とフォーリミメンバーがステージに加わってにぎやかなライブが繰り広げられた。フォーリミが「今のGLIM SPANKYを『YON FES』で観たい」という思いからオファーしたGLIM SPANKYもこれが「YON FES」初出演だ。「Fighter」「怒りをくれよ」などのアグレッシブなナンバーが連投されると、亀本寛貴（G）によるソリッドかつ重厚なギターサウンドと、松尾レミ（Vo, G）の鋭利なハスキーボイスが大きな破壊力を伴って観客の耳と心を支配する。最新曲であるダーティでブルージーなロックナンバー「衝動」や、2人の学生時代に作られた「大人になったら」などのテンポを抑えた楽曲でも、GLIM SPANKYのライブならではの高揚感が生まれた。
マカロニえんぴつ / Survive Said The Prophet
はっとり（Vo, G）のソウルフルなボーカルで幕を開けたマカロニえんぴつのアクト。はっとりは「浮いてる？」と不安げに問いかけていたが、1曲目の「ハートロッカー」から会場に軽快なクラップが広がる。「レモンパイ」でのファンとの掛け合いも完璧で、初出演ながら「YON FES」ファンに愛されていることがうかがえた。「さっき（フォーリミに）調子乗って『ぶっ倒す！』って言っちゃったので、全力で勝ちたいと思います」と意気込んだ彼らは、「『YON FES』のために用意してきた曲がある」と切り出すと、パンキッシュなナンバー「Frozen My love」を投下。メンバー各々が激しい演奏を繰り広げる中、長谷川大喜（Key, Cho）が1人のんびりアイスを食べるという、マカえんらしいひと幕も挟みつつ、はっとりが頭から水をかぶり気合いを入れてからスタートした「星が泳ぐ」では全身全霊のパフォーマンスでバンドの真髄を見せつけた。「みんながみんなうるさい音楽を聴きに来てるわけじゃないと思うけど、これだけの人が俺たちのうるさい音楽で楽しんでくれるのが『YON FES』」とうれしそうに語ったのはサバプロのYosh。彼らはその喜びを伝えるかのように「Useless」をプレイすると、先ほどのKnosisのアクトへのお返しとばかりにRyoを呼び込み、さらなる“うるさい音楽”を轟かせた。
ENTH / KUZIRA
次に登場したENTHはこれまで何度も「YON FES」に出演してきたが、SKY STAGEに立つのは今年が初。「SLEEPWALK」「"TH”」など濃度の高いメロディックハードコアナンバーを畳みかけたのち、ダト・ダト・カイキ・カイキ（Vo, B）は「ここのポジションにENTHを選んでくれたことを本当にうれしく思います！」とフォーリミへの感謝の思いを表明した。その後もダトはライブ中にフォーリミのGENとcoldrainのMasatoをステージに呼び込んで乾杯したり、「俺ずっと名古屋在住！」「フォーリミがいない間、名古屋を温めてたの誰だと思ってんだよ！」と吠えたりと会場のテンションを上げ続ける。「TEARS」の曲中には「1回でも死にたいと思ったやつ！ 今日まで生きてきてよかったな」と観客に語りかけた。初日のLAND STAGEのトリを務めたKUZIRAのライブでは、1曲目からダイブする観客が続出。あまりの熱気に末武竜之介（Vo, G）は演奏開始早々Tシャツを脱ぎ、上裸でギターを掻き鳴らした。7月23日にリリースされる横山健（Ken Yokoyama、Hi-STANDARD）プロデュースの3rdアルバム「Smoke Life Away」より、リード曲の「21 Buck」もセットリストに。さらに末武が「俺ら岐阜出身だけどやっていいかな」と口にしたあと、彼らはフォーリミ「758」のカバーを披露。「どんどんテクニカルなバンドが出てくるこの世の中で、俺たちはパワーコードで突き進んでくわ」という言葉を体現する熱狂のステージが続いた。
04 Limited Sazabys
トリを務めたのはもちろんフォーリミ。「夏の三大欲求！ 食欲、性欲、海水浴！」というGENらしい言葉選びの曲紹介とともに「swim」でライブがスタートした。「何億通り奪い合って ひかり射した」というサビのフレーズのように、ステージ後方から強い西陽が差し込み、1日の終わりを感じさせる。「モンパチ先輩から借りている曲を。明日は日曜日！ 明日もヨンフェスがあります！」とGENが声を弾ませてから始まったのは、MONGOL800のトリビュートアルバム「800TRIBUTE - champloo is the BEST!! 2 -」でフォーリミがカバーした「DON'T WORRY BE HAPPY」。ステージにモンパチメンバーと粒マスタード安次嶺が加わり、再びにぎやかなステージが展開された。
「今年もここに帰ってきました」と場内をゆっくりと見渡し、噛み締めるように話し始めるGEN。彼は出演アーティストについて「出ている人たちは心から尊敬している人か、心の友しかいない」と断言し、さらにENTHがMCで話していたことを受けて「ダトが『生きててよかった』って言ってたけど本当にそうで。こういう日があるから生きていられます」と「YON FES」に対する思いを口に。続けて「こういうことができるのも、紛れもなくここにいる皆さんのおかげです。今日1日カッコよかったです」と観客へ賛辞を送った。
心地よい風が体を撫でる時間帯に「Lost my way」「hello」と初期曲を小気味よく演奏したのち、GENは「2025年でメジャーデビュー10周年です」と感慨深げに語ると、2015年にリリースしたメジャーデビューアルバム「CAVU」の収録曲「Terminal」を選曲する。4人はバンドが持つ歴史を観客に印象付けたかと思えば、昨年の「YON FES」で初披露し、今年1月リリースのEP「MOON」に収録された「magnet」もプレイ。最新のモードを提示してみせた。そしてアンコールに突入すると、フォーリミは「Feel」「monolith」を経て「さっきKUZIRAがカバーしてたので本物見せます」と切り出し、 “名古屋の歌”である「758」をドロップ。再び場内を真夏のような暑さに引き上げ、「YON FES 2025」初日公演の幕を下ろした。
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フォーリミ主催「YON FES」初日、炎天下で熱演続々「こういう日があるから生きていられます」
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