04 Limited Sazabys主催の野外フェス「YON FES 2025」が6月21、22日に愛知の愛・地球博記念公園(モリコロパーク)で開催される。
2016年にスタートし、今回で8回目の開催となる「YON FES」。4月から6月に開催時期を“お引っ越し”して以降2度目の開催となる今回は、主催のフォーリミをはじめ、初出演となるGLIM SPANKY、KALMA、Knosis、MONGOL800、マカロニえんぴつ、OKAMOTO'S、SCAFULL KING、SHADOWS、UNISON SQUARE GARDEN、ネクライトーキーなど計21組が出演する。
音楽ナタリーでは、「YON FES 2025」の開催に向けてフォーリミにインタビュー。フェスを控えた現在の心境や出演アーティストへの思いを語ってもらった。
取材・文 / 小林千絵撮影 / 寺田拓真
世代感はまったくこだわらなくなった
──去年は例年の4月から6月に引っ越しての開催となりましたが、いかがでしたか?
GEN(B, Vo) 4月は日によってめちゃくちゃ寒い日もあったので、そういう意味だと6月は安心感がありましたね。寒いと飲食ブースのドリンクも売れないし、速弾きのギタリストは指が動かなくてかわいそうで。実際、僕も寒い日は疲弊したし。だから6月のほうが、ブースの皆さんも含め参加してくれるみんながハッピーになれそうだなと思ったんです。あと、そもそも6月に移したのは、ジブリパークが休園日だから。園内が自由に使える分、僕らもやりたいことができて、やりやすかったです。
──そして今年も同じく6月開催となります。今回のラインナップに何かテーマはあったのでしょうか?
GEN 「YON FES」を始めた当初は、「この世代でやれるということを見せたい」という気持ちがあって同世代、当時の若手バンドを中心に集めていたんですが、僕らもこれだけキャリアを積んで、もう若手と言えるのかわからないという立ち位置まで来て、だんだん上も下も関係なくなってきた。それこそcoldrainやHEY-SMITHは先輩ですけど、ざっくり“同期”というか……“同志”ですかね。独立したり、レーベルを移籍したり、メンバーチェンジがあったりと、みんないろいろありますが、ずっとライブシーンの第一線で戦っている仲間という感覚があるので、世代感というものはまったくこだわらなくなりましたね。
──では、もう単純に好きなバンド、つながりの深いバンドだったりを呼んで?
GEN はい。新しさも入れつつ、“YON FESらしさ”を考えてこういったラインナップになりました。
今のGLIM SPANKYを「YON FES」で
──今年は初出演が10組ということで、初出演のアーティストについて、オファー理由や関係性などを伺っていきたいと思います。まずは1日目のLAND STAGEに出演するGLIM SPANKYから。
GEN GLIM SPANKYはメジャーデビューのタイミングが近くて、フェスや大きめのサーキットイベントに出始めたのも同じ頃だったので、活動するシーンは違えど、同期みたいな感覚があるんです。去年ひさしぶりにフェスで観たときにすごくカッコよかったので、シンプルに「今のGLIM SPANKYを『YON FES』で観たいな」と思って声をかけさせてもらいました。
RYU-TA(G, Cho) 亀ちゃん(亀本寛貴 / G)は本当にギターがうまい。だから亀ちゃんのプレイを観たいという意味で呼んだところもあります。
GEN そうそう、亀ちゃんって熱くて。この間、ラジオのゲストに来てもらって話を聞いたんですよ。彼、高校入学当初はサッカー部で、そのあとに軽音楽部に入ったらしいんですが、「こいつらサッカー部より練習してないじゃん」「1年でこの差は埋められる」と思って練習したそうで。そういう体育会系の脳筋ってすごく大事だなと思いました。“気合いと根性”って感じがいいですよね。そんな亀ちゃんと(松尾)レミちゃん(Vo, G)の2人の絶妙なバランス感が僕はすごく好きです。
存在感を発揮してほしいKALMA
──同じくDAY1のLAND STAGEに出演するKALMAも初出演ですね。
GEN KALMAは今回一番若手になるのかな。この世代って粒ぞろいで「誰がゲームチェンジャーになるんだろう」という感じで僕は楽しませてもらっているんですが、その中でもKALMAは人一倍ひねくれていて面白いんですよね。なんだろうな……なんか、好きなんですよ。1日目はいろんなバンドがいますけど、KALMAにはこの中で存在感を発揮してほしいなという気持ちがありますね。
KOUHEI(Dr, Cho) あいつら、本当にかわいいんですよ。まっすぐで。苦手なやつらに対して「あいつらのあれが嫌で……」ってずっと言っていて(笑)。でもそれもたぶん、悔しいがゆえ。自分たちもちゃんと結果を出したいという気持ちの裏返しで。
GEN ずっと悔しそうなんだよね。
KOUHEI そうそう。そのハングリー精神ってめちゃくちゃ大事だし、それを忘れてないところがいいですよね。忘れなさすぎてねじ曲がってきたところも(畑山)悠月(Vo, G)っぽくて(笑)。
──KALMAの楽曲やライブの魅力はどのように感じていますか?
GEN もちろん好きですよ。去年、山形で競演したんですけど、以前に対バンしたときよりもよくなっていました。でももっと覚醒してほしいなという気持ちもあります。
KOUHEI 昔あったがむしゃら感が、いい意味で削ぎ落とされていて。ライブバンドとしてちゃんと成長しているなと思いました。LAND STAGEの1発目、どんなライブをしてくれるのかすごく楽しみです。
GEN coldrainとSHANKの間ですが、あいつらの戦い方でしっかり輝きを放ってほしいですね。
一番読めないのがKnosis
──Knosisも初登場ですね。Ryoさんは以前Crystal Lakeでボーカルを務めていましたが、Crystal Lakeも「YON FES」には出演したことがないんですよね。
GEN Knosisが始まる前からRyoと連絡を取っていたので、ずっと気になる存在で。今回声をかけた理由は、Knosisにシンプルに可能性を感じたからです。僕は、Ryo Kinoshitaは本当に日本のトップクラスのシャウトシンガーだと思っているし、ライブもカッコいい。それだけじゃなく、あれだけ激しくて分厚いステージングをするけど、ダンスミュージックとしても遊べる音楽だと思っているので、それを彼らは示してくれるんじゃないかな。ひょっとしたら一番アウェイなのかな。一番お客さんの反応が読めないですね。
──確かに「YON FES」のお客さんとどう混ざるのか、予測できないですね。
GEN Ryoも「『YON FES』が一番呼ばれないと思ってた」と言っていました(笑)。
HIROKAZ(G) Knosisはサポートしているバンドマンたちも近い人たちなので、初出演だけどそんなに気を使わなくていいし(笑)。
GEN そうだね。自分のバンドではまだ「YON FES」に出たことがないバンドマンが、Knosisのサポートで出てくれるのもうれしいです。そうそう、Knosisは電話で誘ったんですね。Ryoに「YON FES誘いたいんだけど」って言ったら「おー」ってシャウトしながら驚いていて、「声カッコよ!」と思いました(笑)。
“沖縄タイム”でOKの返事、MONGOL800
──MONGOL800も初出演です。初めてなのが信じられないくらい、昔からつながりのあるバンドですよね。
HIROKAZ やっと出てもらえます。楽しみですね。
GEN 実はこれまで何度かオファーさせてもらっていたんですが、タイミングが合わず。でもMONGOL800の主催フェス「What a Wonderful World!!」には呼んでくれていたし、いつもよくしてくれていて。だから今回は早めに誘わせてもらいました。返事は待ちましたけど(笑)。
HIROKAZ 沖縄タイムだよね(笑)。
GEN 毎年、バンドに詳しくない人でも楽しめるライブをするアーティストにも出てほしいと思っていて。そういう意味ではMONGOL800だったら、みんな喜んでくれるんじゃないかなというのもあります。地元の人とかも「あ、MONGOL800来るんだ」ってなるだろうし。
──彼らの音楽やライブに対してはどのような魅力を感じていますか?
GEN キヨサク(Vo, B)さんは、合気道の達人みたいな感じの人。僕はテンションが上がって前のめりになることもあるんですけど、キヨサクさんは、特にベースプレイに関して走らない、押さない、駆けない……みたいな感じで(笑)、すごくニュートラル。あの余裕にはすごく憧れます。あと、今のサポートギタリストはKubotyさん︎なので、ギター陣は「いいところを見せなきゃ」と思ってるんじゃない?
RYU-TA そうだね。お世話になっている先輩ギタリストなので。
HIROKAZ さっきKubotyさんから「打ち上げどこなの?」ってLINEが来ました(笑)。Kubotyさんはずっと「YON FESに出たい」と言ってくれていたので、ようやく来てもらえます。
マカロニえんぴつとMONGOL800はハンバーグ
──マカロニえんぴつも初出演です。
GEN マカロニえんぴつとちゃんと対バンしたのって、去年の「MYSTERY TOUR」に出てもらったときくらいなんですよね。でもそのときにめちゃくちゃ好きになって。「YON FES」の“THEライブハウス”なラインナップの中で、マカロニえんぴつみたいなお茶の間でも人気のバンドがどんな戦い方を……って戦わなくてもいいんですけど(笑)。ほかのミュージシャンをびっくりさせてほしい、音で殴ってほしいという気持ちがあります。最初はスケジュール的に厳しいかもと言っていたんですが、いろいろ調整して出てくれることになって。そういうところがバンドマンだなと思いました。
──メンバー同士の交流は以前からあったんですか?
RYU-TA 関係という意味では俺が一番長いかも。コロナ禍のタイミングにあったeggmanのイベントで、はっとり(Vo, G)と即興バンドを組んだことがあって。そのときがはじめましてでした。
GEN へえ!
KOUHEI 俺は今、はっとりとよっちゃん(田辺由明 / G, Cho)と一緒に野球をしています。
GEN 2015年くらいにはっとりが「monolith」を弾き語りでカバーしてくれていたんですよ。そのときからずっといいなと思っていて。「こんなに曲がいいのになんで売れないんだろう」と思っていたら……すごい売れて。急にバズったとかではなくて、ちゃんと実力で売れたタイプだと思うので、「YON FES」でも音楽力で魅せてほしいですね。
──DAY1のSKY STAGEではcoldrain、SHANKとENTH、04 Limited Sazabysの間にマカロニえんぴつとMONGOL800が挟まっているというのもいいですね。
GEN マカロニえんぴつとMONGOL800はハンバーグですね。ENTHはレタスです。
KOUHEI SHANKがトマト?
HIROKAZ 名古屋(coldrainと04 Limited Sazabys)はパンか。
GEN 地元なんで、土台をね(笑)。
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