「ヒトリエは野音に立てるバンドだ」満員の観客が証明、メジャーデビュー10周年で彼らが見た景色

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ヒトリエのメジャーデビュー10周年を記念したワンマンライブ「HITORI-ESCAPE 2024 10-NEN-SAI~日比谷超絶野音~」が、9月15日に東京・日比谷公園大音楽堂(日比谷野音)にて開催された。

ヒトリエ(撮影:西槇太一)

ヒトリエ(撮影:西槇太一)

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wowakaを中心に結成され、2014年にシングル「センスレス・ワンダー」でメジャーデビューを果たしたヒトリエ。2019年にはwowakaが急逝するも、その後もシノダ(Vo, G)、イガラシ(B)、ゆーまお(Dr)の3人体制で活動は継続された。メジャーデビュー10周年の今年を「10-NEN-SAI」と銘打ちさまざまな活動を展開しているヒトリエにとって、今回はキャリア初の日比谷野音ライブ、会場はバンドのアニバーサリーを祝うべく集まったファンで超満員となった。

「こういう景色なんだ」念願のステージに感慨

シノダ(Vo, G)(撮影:西槇太一)

シノダ(Vo, G)(撮影:西槇太一)[拡大]

薄曇りの日比谷の空の下、開演時刻を迎えたステージに3人が登場。シノダは力強く拳を突き上げて熱い歓声を浴びる。ライブの幕開けを飾ったのは「SisterJudy」の鮮烈なイントロだ。続く「モンタージュガール」を疾走感たっぷりに披露したあと、シノダは「『日比谷超絶野音』へようこそ皆様! 我々がインターネットからやってまいりましたヒトリエと申します!」と叫び、「トーキーダンス」をドロップ。大サビでは3人を祝うかのようにすさまじい音量の大合唱が沸き起こった。

「始まってしまったな。あとはぶちかますだけだな」と会場を見渡しながらシノダがつぶやいたあとは「curved edge」へ。日没が近付き、徐々に暗くなっていく会場をさらなる深淵へと導く重々しいアンサンブルを聴かせる。シノダはこの日の開場前、先行物販に長蛇の列ができていたことを引き合いに出し「この日比谷野音の長い歴史、そしてお前らが並んだ13:00からの先行物販の時間。それらすべてをギューッとして3分29秒にしてやる!」と叫び、「3分29秒」を演奏。トリッキーなサウンドと妖艶な歌声の応酬で会場を狂乱に導いた。

イガラシ(B)(撮影:西槇太一)

イガラシ(B)(撮影:西槇太一)[拡大]

日没を迎えた会場に目をやったシノダが「こういう景色なんだ……」と念願の野音のステージからの視界に感慨深げな表情を見せたあと、3人は「SLEEPWALK」「Selfy charm」の心地よいリズムで野音を揺らす。さらにイガラシの骨太なベースラインが印象的な「モノカラー」と、ミディアムチューンを連投したあとでシノダは「バンドで皆さんと向かい合って演奏するのは初めての、リーダーの曲があります」と紹介し、wowakaのボカロ曲「テノヒラ」を披露した。3人体制では2021年開催の無観客配信ライブ「HITORI-ATELIER LIVE Vol.2」で演奏されているが、有観客での演奏は今回が初。wowakaが遺した哀切なバラードにオーディエンスはじっくりと聴き入り、曲が終わると長い長い拍手を3人に送った。

まさかの演出に観客も騒然、そして証明した確信

ヒトリエ(撮影:西槇太一)

ヒトリエ(撮影:西槇太一)[拡大]

「ここから皆さんの体力を削り取る曲が連続するんですけど、大丈夫そうだね?」というシノダの呼びかけに、観客は怒号のような歓声で応える。その言葉通り、後半戦では「ワンミーツハー」「踊るマネキン、唄う阿呆」などアッパーなキラーチューンを連投。ステージ後方の壁面に投影される映像や激しく明滅するレーザー光線も楽曲の世界観を盛り上げる。さらに「ジャガーノート」ではステージ前方のスパークラーから火花が吹き上がり、観客を沸かせる。シノダは「まさかヒトリエのライブで火を見れるとは思ってなかっただろ? スタッフには『あまり熱くない』って言われてたけど嘘つけ、ちょっと熱かったじゃないか!」とレアな演出を楽しんでいる様子を見せた。

ゆーまお(Dr)(撮影:西槇太一)

ゆーまお(Dr)(撮影:西槇太一)[拡大]

「僕が10代の頃に憧れたバンドはみんなここに立っていた、僕がヒトリエという超カッコいいバンドに入って、ここに立てないのはおかしいだろう、絶対ここに立てるバンドだという確信がありました」と語り始めたシノダ。「多少時間はかかったし、失ったものは大きかったけど、リーダーが作ったヒトリエというバンドは野音に立てるバンドだとようやく証明できました。この曲を作ったときからずっとそう思っていました」というシノダの熱い言葉に続いては「カラノワレモノ」が始まり、オーディエンスは力強いジャンプで3人の思いに応えた。最後に3人は「僕たちとあなたと、視点は違えど同じ景色を見ていると思います」というシノダの言葉に続き、「イメージ」「ステレオジュブナイル」を披露。熱狂のうちに本編を締めくくった。

ニューアルバムリリースを告知、10周年のさらに先へ

ヒトリエ「HITORI-ESCAPE 2024 10-NEN-SAI~日比谷超絶野音~」にて、ニューアルバム発売が発表されたときの様子。(撮影:西槇太一)

ヒトリエ「HITORI-ESCAPE 2024 10-NEN-SAI~日比谷超絶野音~」にて、ニューアルバム発売が発表されたときの様子。(撮影:西槇太一)[拡大]

アンコールに入る前にヒトリエは、「10-NEN-SAI」の最後を締めくくる東名阪ツアーを2015年1月に開催し、1月22日に約1年半ぶりのニューアルバムをリリースすることを発表してファンを大喜びさせる。現在制作中だというアルバムについて、ゆーまおは「MacBook Proを買ったので出先でも作曲できます。現実から逃げません、間に合わないほうが怖いです!(笑)楽しみにしててください」と期待を煽る。一方、イガラシは自らがプロデュースしたこの日のグッズで、ゆーまおの写真を3連であしらった「ゆーまおロングTシャツ」について「みんな着てたらどうしようかと思ったけど、そうでもなくてよかったです(笑)」と会場を見渡してつぶやき、笑いを誘った。

メジャーデビュー曲「センスレス・ワンダー」の荒々しさと緻密さが絡み合うサウンドを届けたのち、シノダは「リーダーが作った曲でまだ世に出てない曲がありまして……それを今からやります」と紹介して観客を驚かせた。ここで披露されたのは、今年5月に発売されたwowakaの歌詞集にも収録された未発表曲「NOTOK」。wowakaらしい一癖あるメロディラインを力強いビートに乗せたナンバーで、改めてwowakaのセンスをファンに届けるひとときとなった。アンコールラストナンバーは「ハイゲイン」。シノダの「聴かせてくれ!」という求めに応じ、オーディエンスは力強いシンガロングで野音ライブのエンディングに華を添えた。

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セットリスト

ヒトリエ「HITORI-ESCAPE 2024 10-NEN-SAI~日比谷超絶野音~」2024年9月15日 日比谷公園大音楽堂(日比谷野音)

01. SisterJudy
02. モンタージュガール
03. トーキーダンス
04. curved edge
05. 3分29秒
06. 風、花
07. オン・ザ・フロントライン
08. SLEEPWALK
09. Selfy charm
10. モノカラー
11. テノヒラ
12. ワンミーツハー
13. 踊るマネキン、唄う阿呆
14. ジャガーノート
15. アンノウン・マザーグース
16. カラノワレモノ
17. イメージ
18. ステレオジュブナイル
<アンコール>
19. センスレス・ワンダー
20. NOTOK
21. ハイゲイン

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9月15日に開催されたヒトリエメジャーデビュー10周年ワンマンライブ「HITORI-ESCAPE 2024 10-NEN-SAI〜日比谷超絶野音〜」のライブレポート掲載

#ヒトリエ
#日比谷超絶野音
#10nensai計画

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