サプライズの数々に3万人が熱狂、昨年以上の盛り上がり見せたヒップホップフェス「POP YOURS」

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5月27、28日に千葉・幕張メッセ国際展示場9~11ホールでヒップホップフェスティバル「POP YOURS 2023」が開催された。

BAD HOP

BAD HOP

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「POP YOURS」は「2020年代のポップカルチャーとしてのヒップホップ」をテーマとして昨年初開催された国内最大規模のヒップホップフェスティバル。第2回となる今年は、ヘッドライナーのBAD HOPAwichを含む42組が多数の客演アーティストとともに出演し、2日間で計3万人を動員した。また前回同様ライブの模様はYouTubeで生配信され、37万人が視聴。110万回以上再生され、昨年以上の盛り上がりとなった。

DAY 1

MFS

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初日公演はスキルフルなマイクリレーを展開した梅田サイファーのライブでにぎやかにスタートし、セクシーで挑発的なElle Teresa、クールなラップスタイルのSkaaiが続いて登場。新鋭アーティストが代わる代わる登場する「NEW COMER SHOT LIVE」のコーナーには、Choppa Capone、Ashley、Yvng Patra、STARKIDSが登場し、それぞれが持ち時間5分で爪痕を残そうと勢いあるライブを繰り広げた。昨年は「NEW COMER SHOT LIVE」のステージに出演していたMFSは今回メインの枠で出演し、ダンサーを従えた迫力あるパフォーマンスを展開。続くYo-SeaはC.O.S.A.Gottzを客演に迎えつつ、清涼感あふれる歌声を会場に響かせた。

SEEDA

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20代を中心とする出演者の中で、抜群のインパクトを残したのが42歳にして第一線で活躍するSEEDAだ。いきなり客席に飛び込んで若手顔負けのバイタリティを見せた彼は、亡き盟友STICKYにSCARSの楽曲「COME BACK」を捧げつつ、JinmenusagiとIDを迎えた「みたび不定職者」や日本語ラップの歴史に残るクラシック「花と雨」を披露。Lunv Loyalとコラボした「高所恐怖症」で再びフロアに降りて観客を興奮させた。

Bonbero、LANA、MFS、Watsonによる「Makuhari」のパフォーマンスの様子。

Bonbero、LANA、MFS、Watsonによる「Makuhari」のパフォーマンスの様子。[拡大]

レジェンドSEEDAに続いて登場したのは、guca owlWatsonという飛ぶ鳥を落とす勢いの新世代ラッパー2人。guca owlは詩情あふれるリリックをブルージーに聴かせて観客を魅了し、Watsonはユーモアあふれるパンチラインの数々をオーディエンスに合唱させた。Watsonの出番後、サプライズで披露されたのは「POP YOURS 2023」のテーマ曲「Makuhari」。BonberoLANA、MFS、Watsonの4人がステージにそろい、それぞれの個性とスキルが光るマイクリレーで会場を大いに沸かせた。

OMSB

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続くセクションでは、IOがソロ名義の楽曲に加えて、3月にクルーとしての活動を“終演”したKANDYTOWNの「Last Week」をGottz、MUDとともにラップしつつ、“今一番ヤバいやつ”としてWatsonを呼び込んでコラボ曲を初披露。OMSBは最新アルバム「ALONE」の収録曲を中心としたセットリストでライブを展開し、客演や特別な演出に頼らないストレートなラップの力で観客を圧倒した。

左からD.O、Red Eye。

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2日間を通して、イベントにはサプライズゲストが数多く登場。DJ RYOWはSOCKSや“E”qualといった愛知・名古屋の仲間を中心としたゲストを迎え入れつつ、東海のレジェンド・TOKONA-Xのクラシックの数々をプレイし、彼の生前の姿をLEDビジョンに映し出した。またRed EyeのステージにはD.Oが登場し、「悪党の詩」でコラボ。PUNPEEBIMのステージにはKREVAZeebraまでもが現れ、会場にどよめきを巻き起こした。

BAD HOP

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この日、観客をもっとも驚かせたゲストは、本来はヘッドライナーを務めるはずだったものの、事情により出演キャンセルとなった¥ellow Bucksだ。BAD HOPのステージに迎え入れられた彼は、人気曲「Yessir」に加えて「I’m Back」をパフォーマンスし、「オレみたいなヤツいねえとつまんねぇだろ」という言葉を残してBAD HOPにステージを託した。その後、BAD HOPは火柱が上がるステージでヘッドライナーにふさわしい気迫みなぎるライブを繰り広げ、「人殺すかラッパーになるかだ」のパンチラインで知られる代表曲「Kawasaki Drift」でパフォーマンスを終えると突如クルーの解散を発表。大きな動揺が広がる中、ステージをあとにした。

DAY 2

「TURN IT UP」でコラボしたLANAとCandee。

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2日目は昨年の「ラップスタア誕生」の王者であるeydenのステージで始まり、同じく「ラップスタア誕生」でその実力を示したBonberoが続いて登場。畳みかけるような高速ラップで観客を沸かせた彼は昨年夏に亡くなったGucci Princeとのコラボ曲「FXXKED UP」で追悼の意を表し、Gucci Princeが所属していたTokyo Young Visionのステージにつなげた。Peterparker69、$MOKE OG、MaRISugLawd Familiarの新鋭4組が個性豊かなパフォーマンスを繰り広げた「NEW COMER SHOT LIVE」に続いては、ダンサーを従えたLANAがパワフルな歌声を披露。軽やかなフロウと際どいパンチラインで知られるCandeeは、同郷のBAD HOPの解散に触れつつ、「次は俺に任せとけ」と語り、ヒットチューン「ASOBI」で観客を熱狂させた。

ジャパニーズマゲニーズとJ-REXXXによる「最後の一本」のパフォーマンスの様子。

ジャパニーズマゲニーズとJ-REXXXによる「最後の一本」のパフォーマンスの様子。[拡大]

大勢のダンサーの中に紛れたBIM、in-dJUBEEVaVaが次々に姿を表すという形でライブを始めたCreativeDrugStoreは、クルーの新曲やそれぞれのソロ曲を披露。結成10周年を迎えてクルーでの活動を本格化させた彼らは、CDS名義でのアルバムを制作中と明かしてファンを喜ばせた。ドラッギーなパフォーマンスで独特の世界観のステージを作り上げたゆるふわギャングに続いて登場したのは、孫GONGとJAGGLAによるジャパニーズマゲニーズ。大麻取締法がなくなるまで歌い続けると宣言した彼らは、同法違反で逮捕されていたVIGORMANの帰還を喜びつつ、レゲエアーティストのJ-REXXXを迎えた大麻讃歌「最後の一本」でピースフルに会場を盛り上げた。

Jin Dogg

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「ラップスタア誕生 2023」で新王者となったShowyVICTORが堂々としたステージングを見せたあと、4代目ラップスタアのralph、C.O.S.A.の実力派2人がそれぞれ圧倒的なラップスキルを誇示。2人はコラボ曲「POP KILLERS」も披露し、7月1日に東京・Zepp Shinjuku(TOKYO)でツーマンライブを行うことを発表した。続くJin Doggは北九州出身のアウトローラッパー・TAKABOを迎えた「ON MY MAMA」などで持ち味のハードなパフォーマンスを見せつつ、「Blue」「Suicide」をエモーショナルに歌唱。「思い出してほしいやつがいる」と言って懲役中のREAL-Tの映像を映し出したJin Doggは、彼をフィーチャーした「街風」を客席に降りてパフォーマンスし、大合唱を巻き起こした。

KEIJU

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キレのあるダンスパフォーマンスを交えてスタイリッシュなステージを繰り広げたJP THE WAVYに続いては、KEIJUがサックスプレイヤーのMELRAWを迎えてムーディなパフォーマンスを展開。Gottz、MUDを迎えてKANDYTOWNの「Prove」も披露した彼は、この世を去ったクルーの中心的人物・YUSHIへの思いが込められた楽曲「Remy Up」をIOとともに歌ってステージにシャンパンを注いだ。6年ぶりとなる3rdアルバム「MAKTUB」で絶賛の声を集めているJJJは、CampanellaISSUGI、KEIJU、OMSB、STUTSを客演に迎えつつ、アルバム曲を中心としたセットリストでライブを展開。深みを増したラップとサウンドで、アーティストとしての進化を観客に印象付けた。

Kaneee

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Tohji

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初の東京・日本武道館公演を控えるSTUTSは「Presence」「Expressions」「Changes」といった人気曲の数々を多数のゲストとともに披露。「夜を使いはたして」をラップしたPUNPEEに続いて、STUTSがステージに迎え入れたのは、ラップ歴半年あまりにして「ラップスタア誕生 2023」にエントリーし、視聴者から大きな支持を得た新鋭Kaneeeだ。彼はSTUTSとともに作り上げたキャリア初リリース曲「Canvas」を大舞台で堂々とパフォーマンスし、鮮烈なデビューを果たした。イベント終盤、爆発的な盛り上がりを生み出し、そのカリスマ性を示したのがTohji。「Super Ocean Man」や「GOKU VIBES」といった踊れるヒット曲を立て続けに投下した彼は、相棒のgummyboyを迎えるとMall Boyzの代表曲や新曲を連発し、観客は待ってましたとばかりに沸き上がった。

Awich

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そして「POP YOURS」全体のトリを務めたのがAwichだ。壮絶な過去を乗り越えて前に進む覚悟をラップした「Queendom」でライブの口火を切った彼女は、誰もが自由に選択できることを歌った「どれにしようかな」で、ステージに現れた屈強な男たちを1人ひとり品定めしたかと思えば、全員を払い退けて観客を沸かせる。またNENE、LANA、MaRIとのコラボ曲「Bad Bitch 美学」ではシークレットゲストのAIも迎えて大迫力のサイファーを展開。さらにKEIJUと絡み合った「Remember」で会場を揺らし、DOGMAと鎮座DOPENESSを迎えた「洗脳」で観客を圧倒したAwichは、神奈川・Kアリーナ横浜でのワンマンライブ開催を発表しつつ、BAD HOPの解散に言及すると「GILA GILA」のスペシャルバージョンをJP THE WAVYとともにパフォーマンスする。この曲でAwichはBAD HOPに向けて書き下ろしたリリックをラップし、「YZERR、今日は胸を休めてゆっくり仲間とチルしてくれ!」とシャウト。ともに日本のヒップホップシーンを牽引する仲間への愛にあふれたパフォーマンスで2日間の公演に幕を下ろした。

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田中大輔DT@LINE MUSIC @daisuketa18

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