「FFXIV」“フルパワー”のオーケストラコンサートで「新生」から9年間の歩みを振り返る

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12月17、18日に東京・東京ガーデンシアターにて「FINAL FANTASY XIV」のオーケストラコンサート「FINAL FANTASY XIV ORCHESTRA CONCERT 2022 -Eorzean Symphony-」が開催された。本稿では初日の昼公演の模様をレポートする。

「FINAL FANTASY XIV ORCHESTRA CONCERT 2022 -Eorzean Symphony-」の様子。(写真提供:スクウェア・エニックス)

「FINAL FANTASY XIV ORCHESTRA CONCERT 2022 -Eorzean Symphony-」の様子。(写真提供:スクウェア・エニックス)

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コンサートは2部構成となっており、第1部では「FFXIV」の「新生エオルゼア」「蒼天のイシュガルド」「紅蓮のリベレーター」の楽曲を、第2部では「漆黒のヴィランズ」「暁月のフィナーレ」の楽曲が披露された。

「FINAL FANTASY XIV ORCHESTRA CONCERT 2022 -Eorzean Symphony-」の様子。(写真提供:スクウェア・エニックス)

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アマンダ(写真提供:スクウェア・エニックス)

アマンダ(写真提供:スクウェア・エニックス)[拡大]

開演のブザーが鳴り、フィルハーモニー交響楽団と合唱団・GLORY CHORUS TOKYOに続いて登場した指揮者・栗田博文がタクトを振ると「天より降りし力」の演奏がスタート。ステージ後方に設置されたスクリーンにはゲームのムービーが上映され、会場に集まった光の戦士たち(「FFXIV」プレイヤーの愛称)は一気にゲームの世界へと引き込まれていく。コンサートの司会進行を務めた吉田直樹プロデューサーはこの日のコンサートについて「『新生』のリリースから9年。9年間の歩みをフルパワーで振り返る」と宣言。さらに会場内の光の戦士たちに「普段タンクでプレイしている人?」「ヒーラーでプレイしている人?」と呼びかけ、「タンクの人は最初に手を叩き始めて、最後まで拍手し続けてください」など、役職別にコンサートの楽しみ方をレクチャーした。「Dragonsong」「Heavensward」の演奏ではアメリカのソリストであるアマンダがボーカルで参加。荘厳なオーケストラの演奏をバックにアマンダは伸びやかな高音を会場内に響かせて、観る者を魅了した。栗田が思わず小さくジャンプしながら指揮棒を振った「英傑 ~ナイツ・オブ・ラウンド討滅戦~」、吉田が「『紅蓮』の中で最も好きな曲」と紹介した「塩と苦難の歌 ~ギラバニア湖畔地帯:昼~」を経て、第1部の演目は終盤へ。ゲームのストーリーをなぞるような映像を映しながら「空より現れし者 ~次元の狭間オメガ:アルファ編~」が披露されると観衆から大きな拍手が巻き起こり、第1部の幕が閉じられた。

ジェイソン・チャールズ・ミラー(写真提供:スクウェア・エニックス)

ジェイソン・チャールズ・ミラー(写真提供:スクウェア・エニックス)[拡大]

祖堅正慶(写真提供:スクウェア・エニックス)

祖堅正慶(写真提供:スクウェア・エニックス)[拡大]

20分の休憩を挟み第2部が開幕。「Shadowbringers」の演奏では、ファンフェスティバルやTHE PRIMALSのライブでも来日が叶わなかったボーカリストのジェイソン・チャールズ・ミラーが登場し、光の戦士たちを驚かせた。ジェイソンは囁くようなミステリアスな歌い方でオーディエンスを“漆黒”の世界へと引き込み、次曲「To the Edge」でもそのままボーカルを担当。ジェイソン自身もコンサートへの参加を熱望していたようで、彼は「3年かかってしまいましたが、ようやくここに来れました。FFXIVのファミリーになれてとてもうれしい」と光の戦士たちにメッセージを贈った。ジェイソンのMCには吉田と「FFXIV」のサウンドディレクターの祖堅正慶も駆け付け、吉田は「あのロックテイストのままコンサートのステージに上がってくるとは」と驚く。祖堅はジェイソンと握手を交わしながら「念願叶ってうれしい」と、喜びの声を上げた。「Tomorrow and Tomorrow」では再びアマンダがボーカルを担当。演奏後にはアマンダもMCに参加し、「祖堅さんの楽曲を歌うことができてとてもうれしい」とコメントした。吉田と祖堅が海外のオーケストラコンサートのリハーサルで偶然アマンダに出会い、楽曲への起用を決めた経緯を話すとアマンダは「すごくビックリしたけどワクワクした。それと名刺を受け取ったのが初めてで新鮮だった」と初対面のときのことを笑いながら話していた。

オーディエンスに指示を送る栗田博文。(写真提供:スクウェア・エニックス)

オーディエンスに指示を送る栗田博文。(写真提供:スクウェア・エニックス)[拡大]

「迷宮 ~ラヴィリンソス:昼~」の演奏が始まる前には祖堅がステージに駆け付け足元に段ボールを設置。右足に鈴を巻き付けた彼は、鈴を鳴らしながら段ボールを蹴って音を出しながらオタマトーンを鳴らし、ユーモラスなパフォーマンスで会場内の空気を和ませた。「Close in the Distance」の演奏中には栗田が振り向いて客席に向けて合図を送り、その合図に合わせて光の戦士たちは会場物販で販売されていた“エルピスの花”を点灯させる。会場内は白く輝く花の光に照らされ、幻想的な景色が広がった。

客席の“エルピスの花”が点灯した様子。(写真提供:スクウェア・エニックス)

客席の“エルピスの花”が点灯した様子。(写真提供:スクウェア・エニックス)[拡大]

最後のMCで吉田は、「FFXIV」のプレイヤーでありゲームの派生作品「光のお父さん」の原作者でもあるマイディー氏に向けて「きっとマイディーも今日のこの場に来て、最後まで聴いてくれたのではないのかなと思っています。ありがとうございます」と口にする。祖堅は「これからも面白いゲームを作っていく」と宣言し、「みんな楽しんでゲームを遊んでください」とプレイヤーに向けてメッセージを送った。2人は「まず来年の10周年を無事に迎えたい」と今後のことについても触れ、ステージをあとにした。第2部最後の曲として披露されたのは「ENDCALLER ~ゾディアーク討滅戦~」。ゲームに実装されたときからの人気曲が生演奏で披露されると、会場内は深い余韻に満たされた。

「FINAL FANTASY XIV ORCHESTRA CONCERT 2022 -Eorzean Symphony-」の様子。(写真提供:スクウェア・エニックス)

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第2部のすべての楽曲が披露されたあとも拍手は鳴り止まず、指揮者の栗田が再びステージに現れると「そして世界へ」「終焉の戦い」の2曲を光の戦士たちにプレゼント。アンコールの楽曲を披露し終えても拍手は鳴り止まず、最後に栗田はオーケストラや合唱団、1つひとつのパートを紹介し、オーディエンスに拍手を促す。合計21曲が披露されたところで吉田や祖堅、アマンダ、ジェイソンもステージに再び現れて挨拶し、コンサートをフィナーレに導いた。

なお本公演のコンサート音源を収めたアルバム作品「Eorzean Symphony: FINAL FANTASY XIV ORCHESTRAL ALBUM Vol. 3」が4月26日にリリースされることが決定。Blu-rayとしてリリースされる本作品では映像とともにオーケストラアレンジの楽曲を楽しむことができる。収録曲などの詳細は、アルバムの特設サイトにて確認を。

Eorzean Symphony: FINAL FANTASY XIV Orchestral Album Vol. 3

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「FINAL FANTASY XIV ORCHESTRA CONCERT 2022 -Eorzean Symphony-」2022年12月17日 昼公演 セットリスト

第1部

01. 天より降りし力
02. 希望の都
03. 静穏の森
04. 究極幻想
05. Dragonsong
06. Heavensward
07. 英傑 ~ナイツ・オブ・ラウンド討滅戦~
08. 鬨の声
09. 塩と苦難の歌 ~ギラバニア湖畔地帯:昼~
10. 空より現れし者 ~次元の狭間オメガ:アルファ編~

第2部

11. Shadowbringers
12. To the Edge
13. 砕けぬ想い ~ハーデス討滅戦~
14. Tomorrow and Tomorrow
15. 迷宮 ~ラヴィリンソス:昼~
16. Your Answer ~ハイデリン討滅戦~
17. Close in the Distance
18. Flow
19. ENDCALLER ~ゾディアーク討滅戦~
<アンコール>
20. そして世界へ
21. 終焉の戦い

祖堅正慶 コメント

コンサートを終えての感想

「新生エオルゼア」発売からの約9年間、意外と光の戦士たちの心に刺さる音楽を作れていたかもしれないな、という実感がわきました。こういう興行はいいですね。ゲームは海外ではわりとエンターテインメントとしての地位を確立しているけど、日本ではまだ「ゲームなんかやって…」というような風潮があると思います。でも、僕はゲームというエンターテインメントは素晴らしいと思っていて、自信があるし自慢でもある。コミュニティも凄いですし。今回のオーケストラコンサートではゲームというエンターテインメントの無限の可能性を見ることができたし、そのなかでもサウンドが表現できることの素晴らしさも改めて感じました。あと、自分で言っちゃいけないかもしれませんが、自分たちが作った「ファイナルファンタジーXIV(以下、FFXIV)」はいいゲームなんじゃないか、という気がしました(笑)。もちろん、いいゲームを作っているつもりでいつも奮闘しているわけですが、改めてこうしてお客さんと対面できて、同じ空間を共有して、音楽を共通キーワードとしてやりとりしたつもりです。それで、光の戦士たちが心を動かして、感動して、泣いている姿を見て、「FFXIVのサウンドを作ってきてよかったな」と改めて思いました。

観客のリアクションについて

公演が始まったら、最初に舞台袖からオーケストラ奏者や合唱、指揮の栗田さんたちをステージに送り出すのですが、その後にはダッシュでPAブースに行って音をチェックしていました。今回の会場は4階層あったので、演奏が始まったらそれぞれの階でチェックして、どこをどう調整したいかを逐次、PAさんにフィードバックする。そのときにお客さんの顔が見えるんですよね。そのお客さんの顔が、早くも2曲目から……1曲目はお客さんを見る余裕もないですが、2曲目から感極まって泣いている方がいらっしゃるのを見ると、心を動かせたのかな、という気持ちになりました。仕事として頑張るのは当たり前ですが、「ゲームサウンドを介して人の心を動かせた」という結果に、今度はこちらが感動する。そういった2日間でした。得るものがあったので、これをまたゲームサウンドに活かしていこうと思います。そしたらまたさらにいいゲームになるんじゃないかなと思いつつ、精進するしかないですね(笑) これからも、いいゲームサウンドを届けられるよう頑張ります!

吉田直樹 コメント

コンサートを終えての感想

まずは「ほっとした」というのが大きいです。今回は曲数をかなり詰め込ませてもらったのですが、時間には限りがあるのでMCの時間を延ばせないと厳密に言われていました。一方で、オーケストラコンサートが初めてで緊張している方も多くいらっしゃるので、そこを「いつものFFXIV、いつものエオルゼアだよ。リラックスして聴いて、思い思い楽しめばいいんだよ」というところに繋げられるようにしたい。僕は司会業が本業ではないし、そこが難しいところで……終わった直後の感想はというと「ほっとしました」という一言です。

ひさびさの有観客でのコンサート開催について

各公演の開演前にちょっと舞台袖から顔を出して、来場者の皆さんとアイコンタクトしたり手を振ったりして、変な話、お互いが実在するというのを確認しながらオケコンに臨めたというのはすごくよかったと思います。多くのスタッフもコンサートを聴きながら自分たちがやってきたことの足跡や歩みみたいなものを、「新生エオルゼア」から改めて振り返ることができたと思います。そこは僕も含めて開発・運営チームにとって物凄くよかったですし、これほど多くの光の戦士を見られたことは明日からの活力になったと思います。

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