「超アーティストオーディション」特集| 泉大智(DISH//)が語る“一歩踏み出すこと”

超特急やDISH//、Vaundyといったアーティストを輩出してきたスターダストプロモーションの音楽レーベル・SDRによるオーディション「超アーティストオーディション」が、今年も行われることが決定。本日7月17日に募集がスタートした。

第4回目の開催となる今回のオーディションの応募対象となるのは、歌手だけでなく、作詞作曲者、その他「音楽で将来を考える人」すべて。グランプリ獲得者には、賞金および活動費として300万円が進呈される。

オーディション開催に際し、音楽ナタリーでは全2回にわたって特集を展開する。第1弾にはDISH//の泉大智(Dr)が登場。2017年にDISH//に加入し、新天地で持ち前の才を発揮、今ではバンド活動と並行してソロアーティストとしての活動も行う彼にこれまでを振り返ってもらい、“一歩を踏み出すこと”の大切さについて聞いた。

取材・文 / 三橋あずみ撮影 / 須田卓馬

SDR Presents 超アーティストオーディション 2025

超特急、DISH//、Vaundyなど、多彩なアーティストを輩出しているスターダストプロモーションの音楽レーベル・SDRによるオーディション。第4弾となる今回は歌手のみならず、作詞作曲などでアーティストを目指す人、その他音楽で将来を考える人、すべての人が対象となる。

グランプリ獲得者には賞金および今後の活躍を期待しての活動費として、300万円が贈呈される。さらに、デビューへ向けて、レーベルが育成契約を締結する。

募集期間

2025年7月17日(木)0:00~9月30日(火)23:59

審査

一次審査:10月初旬(書類審査)※選考通過者には10月初旬までに二次審査を案内予定
二次審査:10月中旬(オンライン)
最終審査:11月のいずれかの土日(東京都にて開催予定)

詳細・応募はこちら

とにかくジャンルレスなSDR

──大智さんは、オーディションというものに対してどんなイメージを持たれていますか?

高校生の頃ぐらいまでは役者のオーディションを受けに行っていた記憶があるので、なじみはあるんですよ。ドラマや映画のオーディションを受けてたなあって。

泉大智

──当時どんな心持ちでその場に臨んでいたか、覚えていらっしゃいますか?

やっぱり緊張感がありましたよ。ほとんどの場合は1対1じゃなくて4、5人が一気に審査されるので、お互いが意識し合ってバチバチしてる、あのヒリつくような空気は覚えています。自分はそれがあんまり得意じゃなかったですね(笑)。

──DISH//が所属するSDR主催のオーディション「超アーティストオーディション」の開催が今年も決まり、募集が始まったということで今回の特集に登場いただいたわけですが、大智さんはこのオーディションの存在についてはご存知でしたか?

はい、知っていました。BUDDiiSの2人(KEVIN、MORRIE)がこのオーディション出身だということはさっき教えてもらったんですけど、2人の存在はもちろん知ってますし。あと、SDRのオーディションと言ったら超特急の新メンバー募集オーディション(「超特急募」)ですよね。それはリアルタイムで見ていました。

──大智さんご自身は、SDRというレーベルについてどのような印象を持たれていますか?

あんまり客観視したことがないんですが、それでもいろんなアーティストがいるなという印象があります。その……系統が全然違うというか。Vaundyみたいなアーティストがいれば、EBiDANのグループがいたり。

──最近で言うと、SDRは「すみっコぐらし」のえびてんのしっぽ、えびふらいのしっぽの楽曲をプロデュースしたりもしていますね。

そうですよね(笑)。とにかくジャンルレスに、いろんなアーティストがいる印象です。あとスタッフさんもパンチのあるアイデアを持ってる方が多いなと思います。それもSDRの1個の色になってるんじゃないかな。

「超特急募」に抱いた思い

──「超特急募」を追っていらっしゃったということですが、大智さんは「超特急募」にどんな印象を持っていましたか?

その時の超特急には新しい風を吹かせる必要があったんだと思います。体制の変化もいろいろとあって、この先どうやって進んでいくか、分かれ道に立ったときの大事な選択だったんじゃないかな。僕自身もDISH//にあとから入った身なのでその感じはわかるんですよ。でもやっぱり、オーディションをしてよかったんじゃないかと思います。

──DISH//と超特急は同じ日に結成され、お互いに切磋琢磨し成長してきた絆の深い2組です。今やそれぞれのフィールドで目覚ましい活躍を見せている両者ですが、大智さんは「超特急募」を経た今現在の超特急を、どんなふうに見ていらっしゃいますか?

バンドやグループで活動していると、やっぱり平坦には進めなくて、波がいくつもあるんですよね。DISH//で言ったら例えば自分が入る前、最初に日本武道館を埋めたときが1つ目の山で。僕が入った瞬間も、うねりが変わる1つのタイミングだったと思うし。とにかく山あり谷ありみたいなことがあるけど、超特急もきっとそうやって、ひと山ふた山といろんな波を経験をしてきたと思うんです。そんな中で、ここへ来て……もう10何年もやっているのに、オーディションきっかけでまた大きな盛り上がりを作っているのがすごいなと思いますね。チャレンジをし続けて、変化して。

──確かにそうですね。

あと、DISH//のライブをプロデュースしてくださっている新井(弘毅)さんは、今超特急のプロデューサーでもあるんですよ。新井さん経由で最近の超特急の曲を聴かせてもらったりもするんですけど、音楽面でもチャレンジングな姿勢を感じますね。

DISH//の可能性に、これからを懸けてみたい

──新たな場所に飛び込むことで自分の人生、さらには周囲の環境を上向きに変化させていく。今回はまさにそういったお話を大智さんに伺えたらと思っています。大智さんがDISH//に加入されたのが8年前のことにはなるのですが、そもそもDISH//に入ることになったのにはどういったきっかけがあったんですか?

結成当初から、DISH//にはドラマーがいなかったんですよね。DISH//が本格的なバンドへと移行していくためにドラマーを探していたタイミングと、僕が前やっていたバンドが解散した時期がちょうど重なって、声をかけてもらったという流れでした。

──声がかかったとき、大智さんはどんなふうに思いましたか?

素直にうれしかったです。DISH//のメンバーは中学生の頃から知ってましたし。グループは違えど一緒にがんばってきた仲間、友達だったから、すんなりと合流できたような記憶があります。

泉大智

──そうだったんですね。

2017年1月1日の日本武道館ワンマンのステージ上で加入発表をしたんですが、それまで半年くらいが“潜伏期間”というか。密かにメンバーと一緒にスタジオに入って、練習をしていましたね。

──いろいろなタイミングが重なったとはいえ、新天地に飛び込むというのは人生の中の大きな選択だと思うのですが、大智さんが「一歩踏み出してみよう」と思えた理由、決め手はどんなものだったんでしょう?

純粋にドラムが好きで音楽が好きで、本当にドラムを叩ける場所を探していたから、そこは強い決め手になりましたし……あとはDISH//への信頼と、可能性を感じていたからですね。DISH//の可能性に、自分のこれからを懸けてみたい気持ちがあったんだと思います。

「コイツが入ってよかったな」と思わせられないと

──元日の武道館ライブでのサプライズ発表でバンドの新たなメンバーとなった大智さんですが、加入当初の周囲のムードは覚えていらっしゃいますか?

初めから仲がよかったとはいえ、DISH//の空気になじむまでにはやっぱり時間がかかりました。当たり前かもしれないけど、思うようにいかない時期がしばらく続いたなと。

泉大智

──そういった状況を打破するために意識していたことはありますか?

とにかくドラムをどれだけカッコよく見せられるかですね。「コイツが入ってよかったな」と思わせられないとなんの意味もないなと思っていたので、そこに関してはかなり意識して、力を入れていたと思います。

──では、メンバーとの関係性についてはいかがでしたか?

みんな僕のことを気にかけてくれていましたね。(北村)匠海も、それこそ加入発表前から1対1で食事に行ってしっかり話す時間を作ってくれていたから、そこは自分の精神面においてすごく助かりました。

──「DISH//の空気になじむまでには時間がかかった」とのことですが、「自分はDISH//の一員だ」としっかり感じられたタイミングは、どのくらいに訪れたんでしょう?

そうですね……今の体制になったとき、そのタイミング(2018年)はデカかったと思います。もちろんその前の5人の時代も大事だけど、やっぱり自分以外の4人が作ってきた“青春の時間”みたいなものがどうしてもあるから。中高生時代をともに過ごしてきた仲間ならではの空気感を彼らから感じることもありましたけど、いろいろあって今の4人で再出発することになって。そのあたりからメンバー同士の関係性がまた1つ変わった印象がありますね。