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majiko NA TTE NAI
アジア全域で注目される歌姫の自由な創造性
森朋之
“まじ娘”として歌ってみた動画を投稿し始めたのは2010年。繊細さと凛とした強さを併せ持った歌声によって瞬く間にユーザーの支持を集め、2015年には1stアルバム「Contrast」でデビューを果たす。その後、2016年に2ndアルバム「Magic」、2022年に3rdアルバム「愛編む」を発表し、独自の音楽スタイルを確立。2023年から2年連続で中国ツアーを行うなど、現在ではアジア全域でリスナーを獲得している。今年5月にはバンダイナムコミュージックライブの新レーベル・UNIERAに移籍することを発表。第1弾リリースとなる「NA TTE NAI」は、majikoの創造性がさらに向上していることを告げる1曲だ。
10月17日リリース予定の新作EP「GOLDEN JUNKIE」からの先行配信となる「NA TTE NAI」は、歪みを効かせたシンセのフレーズと四つ打ちのビート、重めのベースを軸にしたダンサブルな楽曲。フォンクミュージック(トラップ、EDMなどを融合させた音楽ジャンル。ローファイかつダークな音像が特徴)の潮流を捉えつつ、楽曲の途中でBPMが大きく変化するなど、majikoならではのクリエイティブが自由に発揮されている。キックの音質、シンセの歪み具合など、ディテールにも徹底してこだわっていることがわかる。
ダークな雰囲気をたたえたトラックとポップで軽やかなボーカルの対比もまた、この曲の魅力。言葉の響きを重視したリリックも気持ちいいが、「あの子、あの人、世界、てか全部 成ってない」「全世界の愛を飲み干したい」など深い意味を感じさせるフレーズも。ちょっと社会を見渡してみると、どいつもこいつも“なってない”し、そもそも世界が“なってない”。足りないのはやっぱり愛だろ、愛!……というのが筆者の捉え方だが、聴く人の自由な解釈を許してくれるのも「NA TTE NAI」の面白さだろう。
前述の通り、10月には新作EP「GOLDEN JUNKIE」がリリースされることが決まっている。デビュー10周年を迎えたmajikoの新たな飛躍に期待したい。
majiko「NA TTE NAI」ミュージックビデオ
majiko(マジコ)

2010年より「まじ娘(こ)」として動画共有サイトに「歌ってみた」音源を投稿、徐々にネットシーンから人気を集める。自身でも作詞、作曲、編曲、イラストを手がけ、楽曲提供など、マルチな才能を発揮し活躍の場を広げている。近年では中国ツアーや台湾などでワンマンライブを開催。さらにアジアストリーミング総再生数2億回超えと、その活躍はアジアや世界から注目され始めている。 2025年7月に新曲「NA TTE NAI」をバンダイナムコミュージックライブの新レーベル・UNIERAからリリース。10月に新作EP「GOLDEN JUNKIE」をリリースすることを発表した。
majiko (@_majiko_) | Instagram