今年の春に浅井アヤネ、逢里みう、日南心那を新メンバーに迎え、過去最多の8人編成に生まれ変わったばってん少女隊。2015年の結成時より九州を中心として活動してきた彼女たちは、新体制への移行と同時に活動拠点に東京を加え、結成10周年という節目のタイミングで大胆な変化に踏み切った。7月25日にエムカードでリリースされた新曲「進め!乙女は止まらない」にも、そんなグループの勢いと決意が現れている。新体制初の楽曲である「進め!乙女は止まらない」は、“泣いても立ち上がる少女たちの勇気”を描いたアッパーチューン。作詞・作曲を田中隼人と長沢知亜紀、編曲をPARKGOLFが担当した。
音楽ナタリーではこの曲のリリースに合わせ、メンバー8人にインタビュー。新体制での活動に対する手応えや新曲の注目ポイント、8月3日に東京・LINE CUBE SHIBUYA(渋谷公会堂)で開催される結成10周年記念ワンマンへの意気込みなどを語ってもらった。
取材・文 / 近藤隼人撮影 / はぎひさこ
パフォーマンスも曲も印象が変わった
──8人体制のばってん少女隊には一度取材をさせていただきましたが、そのときは新メンバーのお披露目前で、新体制での活動開始に向けて準備をしている段階でした(参照:ばってん少女隊 インタビュー|異色のパワーを放つ新メンバー迎え、過去最多の8人体制に)。その後、実際に新体制で走り出し、フリーライブやワンマンライブを経験してきて、この8人での活動にどんな感触を得ていますか?
上田理子 ばっしょー史上最多の8人体制になり、お客さん側から見たステージの印象がかなり変わったと思いますが、私たちも新鮮な気持ちです。ステージ上での立ち位置が変わったり、以前よりも周りをよく見なきゃいけなかったり、難しいなと思いながらライブをやっています。隊員(ばってん少女隊ファンの呼称)の方からは、「8人になってすごく迫力が出た」「フォーメーションを見るのが楽しくなった」と言っていただくことが多くて。ばっしょーの曲はフォーメーションが独特な振付がたくさんありますし、さらにその魅力が増しているのかなと思うとうれしいです。
春乃きいな 曲から受ける印象も変わったと思います。4年前にりるみゆ(蒼井りるあと柳美舞)が加入したときも同じように感じましたが、今回は8人という人数と新メンバー3人のキャラクターも相まって、ばっしょーの楽曲に対して持っていたイメージがいい意味で打ち砕かれている感覚があります。今は8月の結成10周年記念ライブに向けて準備をしているんですけど、そのレッスンの中でも「この曲、今までと雰囲気がけっこう変わるかも」と感じます。
──ばっしょーは九州出身のメンバーが醸し出すおしとやかな空気感が1つの特徴でしたが、新メンバーの逢里さんや浅井さんはおしゃべりですし、日南さんからは13歳という年齢ならではのフレッシュさを感じます。そういった要素がパフォーマンスや楽曲に表れているんでしょうか?
春乃 そうですね。全体的にフレッシュな要素が増したと思いますし、全員で歌うパートに関しては「人数が増えると、こんなにも歌に厚みが出るんだ!」とびっくりします。
蒼井りるあ なんかその、8人になって「わー!」みたいなのを感じて……!
上田 「わー!」(笑)。
蒼井 8人でステージに立つのってどんな感覚なんだろうと思っていたんですけど、実際にフリーライブやワンマンをやってみたら3人の個性がいっぱい出てきて。その個性がこれからもっと爆発していくと思うので、すごく楽しみです!
逢里みう 初めてステージに立ったときから、新メンバーである私自身もパフォーマンスの“圧”を感じることができて。それがどんどん増えていっている気がしますし、「この8人でやっていくぞ!」という意思が歌声に出ていたらうれしいです。
浅井アヤネ ただ、フリーライブもワンマンライブもすべてが初めての経験で。成長できたと思う部分もあれば、できないこともまだまだたくさんあるので、これからもっと成長していきたいです。
日南心那 初めてのライブは緊張したけど、ステージを重ねるうちに緊張がほぐれていって、楽しめるようになりました。ワンマンライブは曲数が多くて踊るのが大変だったので、これから体力を付けていかなきゃと強く思いました(参照:ばってん少女隊、九州と全国を「つなぐ」第一歩!新メンバー“初自己紹介”に沸いた新体制初ワンマン)。
──パフォーマンス面での手応えは各々感じられているようですが、それ以外についてはどうでしょう? 新メンバーの個性的なキャラクターは、隊員の皆さんにしっかり受け入れられました?
希山愛 はい! アヤネちゃんはライブのMCでも不思議な動きをしていて(笑)。
逢里 前回のインタビューで「アヤネは普段のキャラをステージ上でも出すのかな」と話をしたと思うんですけど、ありのままのキャラではしゃいでくれていてうれしいです。心那もおっとりしているけど、MCで自分のキャラを出せていると思います。
柳美舞 ワンマンライブでお披露目した新メンバーの自己紹介にも3人の個性が表れています。ライブのたびに自己紹介を聞くのが私も楽しいです。
──浅井さんは「お口にチャックはできません。パワフルビタミンガール、浅井アヤネです」、日南さんは「えくぼがチャームポイント、リトルモンスター日南心那です」、逢里さんは「牛タン塩タンおら、うーたん。毎日ふっくら発酵中。逢里みうです」が自己紹介のフレーズです。
浅井 実はこれ、ワンマンライブの直前に決まりました(笑)。
逢里 ずっと考えて、いろいろと案は出ていたんですけど、なんだかピンとこなくて。本当に本番の直前に決まって、自分の自己紹介を忘れないように必死に練習していました(笑)。
──最終的に決まったフレーズはしっくりきていますか?
浅井 はい。ファンの方にも「お口にチャックできてないよね」とよく言われます。
柳 MCでも特典会でも、全部においてこの自己紹介通りの性格ですね(笑)。
日南 私の「リトルモンスター」というフレーズはアヤネちゃんが考えてくれました。「年齢は一番“小さい”けど、身長は一番“小さくない”よ」という意味が込められています。
柳 この説明をするとき、毎回私のほうを見るんですよ(笑)。私より身長が高いことを主張してくるんです。そこだけは譲れないみたいで。
──グループ内で一番身長が低いのは柳さんですが、少しの差ですよね。
柳 ちょっとです! たった数cm。心那ちゃんとうーたんと私はほとんど身長が変わらないです。
逢里 そんなことないです!
柳 今みたいに、絶対に否定してくるんです。身長のことになるといつもバチバチしています(笑)。
新メンバーは最初からアクセル全開
──ここまでの活動を通してグループ内の距離感にも変化があったのでは? 先輩メンバーと新メンバー、もしくは新メンバー3人の間でお互いに新たな一面が見えてきたり。
浅井 ちょっとずつメンバーのことを知れている気がします!
春乃 でも、新メンバーは最初からアクセル全開だったかも(笑)。私たちは人見知りしちゃうタイプですけど、新メンバーはぐいぐい来て、自分のことをアピールしてくれました。
蒼井 そんな中でも、みうちゃんとアヤネちゃんがわーい!って感じなのに対して、心那ちゃんはふわふわしているというか、どういう感じの子なんだろうと思っていました。でも最近はハキハキしゃべったりしていて、少しずつ殻が破れている感じがします。新たな一面が見えてきているなって。
日南 それはうーたん(逢里)とアヤネちゃんの教育のおかげです(笑)。
逢里 教育!(笑) 確かに、心那はちょっとふわふわしたところがあったんですけど、アヤネとみうは最初から先輩たちにガツガツ自分を見せにいく感じでした。でも、自分たちから一方的に接しすぎて、逆にお姉さんたちのことあまり知れてなかった気がして、ここまでのレッスン期間で先輩メンバーのこと、グループのことをより理解できた気がします。
──新体制への移行と同時に、活動拠点に東京を加えたこともばっしょーにとって大きなトピックですが、そのことで活動にどんな変化を感じていますか? 4月から関東を中心にフリーライブを開催していますし、新体制初ワンマンの会場も東京でした。
上田 正直に言うと、活動拠点が変わったことについては、まだそこまで実感はないです。今までも東京でたくさんイベントを開催していましたし。ただ、1つの作品のリリースイベントで関東の複数の会場を回ることはなかったので、初めてライブを観に来てくださる方が増えたように思います。そういう点で、東京を活動拠点に加えてよかったなと感じます。
春乃 今はメンバーみんな上京しているので、福岡に帰ったときに言ってもらえる「おかえり」の声がすごく心に沁みます。
上田 福岡の方が「会えるのを楽しみにしてるね」と言ってくださるのが、なんというか、すごく心地いいんですよね。九州をメインに活動していたときよりも、私たちのイベントを楽しみにしてくれている方が増えたような感覚があってうれしいです。
春乃 故郷からは距離的に離れてしまったわけですが、今住んでるところとは別に、自分が帰る場所があるというのは安心しますし、心強く感じます。
──関東での生活はいかがですか? 慣れました?
春乃 とにかく人が多いですね……(笑)。山が見えないと、今すごく都会にいるんだなと実感します。
希山 私は自然を求めて、ときどき東京の山に行ってます(笑)。東京には自然がないと思っていたんですけど、そんなことはなくて。外に出るのが好きなので、いろんなところを歩いて東京の自然を感じています。
次のページ »
メンバー自身も勇気付けられる新体制初楽曲