“MADE IN JAPAN”カルチャーを世界に発信するプロダクション・ASOBISYSTEM(アソビシステム)の所属アーティストが一堂に会するライブイベント「ASOBISYSTEM 18th Anniversary ASOBIEXPO 2025」が、7月20日に千葉・幕張メッセ国際展示場9~11ホールで開催される。
きゃりーぱみゅぱみゅ、新しい学校のリーダーズ、FRUITS ZIPPERなど、時代の最先端を表現し続けるアソビシステムのアーティストたち。設立18周年を迎えた現在は、多種多様なアーティストがそれぞれの個性を武器にポップでキャッチーな音楽を発信している。そんなアソビシステムを象徴する存在と言えるきゃりーは、「ASOBIEXPO 2025」の開催に合わせ、直前の7月18日に新曲「KURU KURU HARAJUKU」を配信リリース。昨年10月に出産し、1児の母となったきゃりーの再始動を飾る新曲は、アソビシステムの拠点であり、彼女が全世界に向けて発信し続けてきた原宿をテーマにしたエキゾチックなダンスミュージックだ。音楽ナタリーでは「ASOBIEXPO 2025」でのライブ活動再開を控えるきゃりーへのインタビューを行い、長年所属するアソビシステムの“社風”や新曲制作にまつわるエピソード、ライブに向けての意気込みを聞いた。
なお「ASOBIEXPO 2025」当日の模様の一部はTELASAで独占ライブ配信され、追って全編のアーカイブ配信も予定されている。またTELASAの公式Xアカウント(@telasa_jp)にて、イベント開始時間の14:00よりライブの模様が一部生配信されることが決定。さらに各アーティストが披露するラストナンバーを予想し、正解者に限定オリジナルタンブラーが抽選で30名に当たる「ラスト曲予想企画」、会場内TELASAブースでのオリジナルノベルティ抽選会や「推しフォト企画」など盛りだくさんの企画が用意される。
取材・文 / 臼杵成晃
公演情報
ASOBISYSTEM 18th Anniversary ASOBIEXPO 2025
2025年7月20日(日)千葉県 幕張メッセ国際展示場9~11ホール
OPEN 12:00 / START 14:00(予定)
<出演者>
きゃりーぱみゅぱみゅ / 新しい学校のリーダーズ / FRUITS ZIPPER / CANDY TUNE / SWEET STEADY / CUTIE STREET / KizunaAI / Toua / Klang Ruler / PiKi
OPENING SHOW:近藤夏子 / かわにしなつき / 砂月凜々香 / bala
配信情報
「ASOBIEXPO 2025」TELASA独占ライブ配信
2025年7月20日(日)14:00配信開始
※TELASA見放題プランで視聴可能。
※イベントの状況により多少前後する可能性あり。
「ASOBIEXPO 2025」×TELASA特設サイトはこちら
ASOBISYSTEM 18th Anniversary ASOBIEXPO 2025
きゃりーが思うアソビシステムの“社風”は?
──「ASOBIEXPO 2025」にはアソビシステムに所属するさまざまなアーティストが参加しますが、きゃりーさんは中でも最古参と言える存在ですよね。
そうですね。「PONPONPON」(ワーナーミュージック・ジャパンからのデビューミニアルバム「もしもし原宿」収録曲で、2011年7月に先行配信された)が2011年だから……アソビシステムとの出会いは2010年ですね。そのときはまだ高校に通っていて、学校に事務所のスタッフの方が迎えに来て警察を呼ばれたことがありました(笑)。
──なんですかそれ(笑)。
「高校の前にスキンヘッドの人が立ってる」って(笑)。不審者扱いされて学校がざわつくという。
──アソビシステムは2007年設立で、ナタリーも同じ年なんですよ。最初の頃はCAPSULEやRAM RIDERの印象が強く、クラブカルチャーやファッション系のカルチャーと結びつきの強いイメージでした。きゃりーさんは当時アソビシステムにどんな印象を持っていましたか?
私がアソビシステムの存在を知ったのは、「HARAJUKU STYLE COLLECTION」っていう人気の読者モデルしか出れない巨大なファッションショーで。当時の読モ友達のフィッティングについて行って……その頃はまだワンルームの小さな事務所だったんですけど、そのときに初めてアソビシステムのスタッフの方とお話ししました。アーティストやモデル、俳優の事務所というよりは、巨大なイベントを取り仕切るイベント団体?みたいな印象でしたね。
──では、きゃりーさんがアーティストとして所属してからの“社風”というと、どんな感じでした?
なんだろう、今で言うパリピっぽい感じなんですかね。社長がお祭り好き、パーティ好きだし。それは今も変わりませんけど、なんかこう明るい、楽しそうな空間。
──パリピっぽいというのは確かに感じていました。
14年所属していて感じるのは、本当にアットホームで、家族みたいな存在の事務所ということ。初めて週刊誌に撮られたのが18歳くらいのときなんですけど、事務所のスタッフさんが守ってくれたというか。家に週刊誌の記者が押し寄せてきたらホテルを取ってくれたりとか……そんな状況の中でも、私の気持ちを尊重して、見守って寄り添ってくれたんです。その家族のような優しさがあったから、私はここまで活動を続けてこられたんだと思う。全部ダメダメじゃない、正直に話せば味方として力になってくれる事務所だというのが自分にとっては大きいです。
YouTubeでMVフル尺公開、いきなりワールドツアー……アソビシステムが空けた風穴
──きゃりーさんが原宿を中心としたカルチャーや「カワイイ」を世界に届け始めたあたりから、アソビシステムという会社のカラーも明確になっていったのではないかと思います。世界規模の動きにすごく勢いがありましたけど、当のきゃりーさんはどのような思いで活動していたのでしょう。
まず社長のアイデアや思いつき、振り切り方が当時から本当にすさまじくて。例えば、当時はYouTubeにミュージックビデオがフル尺で上がるなんて考えられない時代だったんですよ。公開するとしても一部だけ、みたいなのが普通で。私も「フルで聴けたりしたらCDが売れなくて、みんなずっとYouTubeで聴いちゃうんじゃないか」と反対していたんですよ。でも私が「PONPONPON」をリリースしたとき、社長はMVをフル尺で出すという判断をした。デビュー曲で日本のリスナーに自己紹介するくらいのつもりだったけど、予期せぬところでケイティ・ペリーが反応してくれたりして、世界中の人々の間で大きな話題になったんですね。
──あー、確かに。今となってはすっかり忘れてしまった感覚ですが、フルサイズのMVはテレビやCDに付属するDVDで観るというのが当たり前でした。振り返ると時代の風穴を空ける大きな出来事だったのかも。
それで、2個目のびっくりは、まだまだデビューしたてで「これから日本でがんばっていくぞ」というタイミングなのに、社長がいきなり「同時にワールドツアーもやるぞ」と言い出して。日本で基礎もできてないのに海外なんて……って正直当時の自分にはキャパを超える寸前のわけわかんない状態で、とりあえず海外に行ったんです。私も初めてだけど、アソビシステムとしても海外ツアーなんて初めてで。ベルギーに行って、フランスに行って、その日にまたベルギーに戻るみたいな(笑)、行き当たりばったりな行程だったんですけど、一緒にがんばってる感じが当時の自分にとってすごく勇気付けられるものだった。みんなで考えて、失敗もしながら一緒に成長していけるんだなって。
──そういう突き進んでいく勢いとガッツが生む異様なエネルギーというのは、アソビシステムの特徴かもしれないですね。近年だと新しい学校のリーダーズが、きゃりーさんとはまた違う形で、あのアートフォームを“直訳”で世界に届けることに成功しましたが、そこには2010年代のきゃりーさんと通底するものを感じます。
リーダーズも昔から知っていて、もちろん彼女たちの中ではいろんな変化や進化があったと思うんですけど、芯の部分はずっと貫き通してるんですよね。
──活動の規模はめちゃめちゃ拡大してるけど、4人はホントに変わらないですよね。結成当時のまんま世界で受け入れられているし、日本でも多くのファンを獲得している。
売れようとしてこうしてるとか、海外を意識してこうなったとかではなく、彼女たちが好きなことを貫いていたら日本中、世界中に評価されたというのが本当に素晴らしいことだなと思います。きゃりーぱみゅぱみゅのプロジェクトもまさにそうで。別に海外を意識して「原宿を奇抜な感じで」と考えたわけじゃなく、私の「こういうことをしたい」というアイデアを尊重してくれて、それに私も背中を押されて、ちょっとずつ自信が付いてきた。そのタイミングで世界中の人に知ってもらえたという流れは、たぶんリーダーズも私も一緒ですね。
復帰への不安と万全のケア
──ポップカルチャーも時代によって移り変わりがありますが、きゃりーさんは今のカルチャーをアーティストとしてどのように感じていますか?
私がデビューしたときは、まだCDが売れる時代というか。私もCDをみんなに聴いてほしいからこそ、握手会とかミニライブをけっこう頻繁にやってたんですよ。でも、そこから時代が変わり、コロナ禍を経て音楽の形もどんどん変わっていって。私は今レーベルには所属していないのですが、最近はどこからでもヒットを出せる時代になっていると思っていて。それで言うとKAWAII LAB.のみんなもSNSで火がついてヒットしてますよね。
──FRUITS ZIPPERのブレイクに端を発して、どのグループも軒並み知名度を上げていますね。
今まさにCANDY TUNEがCMに出ていたりして。彼女たちもオリジナルの発信でこの現象を起こしていて、本当にすごいなと思います。
──ホントそうですね(笑)。KAWAII LAB.のグループや新しい学校のリーダーズは音楽賞にも食い込んでいますし。
そんな中で私が産後に戻ってこられる、ちゃんと席を用意してくれていることがすっごくうれしくて。まずは社長に大感謝です。私が妊婦のときから「きゃりーの復帰のこと考えてるから」と私が不安にならないよう言ってくれてたし、実際に動いてくれていて。本音を言うと、これだけ後輩ちゃんたちが盛り上がっていると、私は原宿のお局みたいな(笑)、めんどくさい存在になっちゃうことも全然あり得ると思うんですよ。
──(笑)。でも確かに、商魂たくましく考えたら「今売れてるものを拡大して」とそちらを優先しますよね。
「もう一度きゃりーを」とか考えない選択肢もあったと思うんですけど、今こうしてきゃりーのプロジェクトの再始動にも熱を入れてくれていることに、とにかく感謝の気持ちでいっぱいです。
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今この時代に「原宿の元気玉」をもう一度