本作は国の重要文化財である東京・自由学園明日館の講堂にて、伊藤大地(Dr)、伊賀航(B)、ハタヤテツヤ(Piano, Accordion)、伊藤彩(1st Violin)、吉田篤貴(2nd Violin)、三木章子(Viola)、村中俊之(Cello)を迎えた8人編成のバンドによるライブ形式で一発録音された作品。書き下ろしの新曲5曲や既発曲のセルフカバーを含む全10曲が収録される。
アルバムの発売に先駆けて、自由学園明日館の講堂にて繰り広げられた生演奏を捉えた映像版「CONCERT FOR MODERN TIMES」が8月20日18:00からStreaming+で有料配信されることも決定。またYouTubeでは配信には含まれないサイモン&ガーファンクル「フランク・ロイド・ライトに捧げる歌」のカバー映像が公開された。高田のソロデビュー20周年特設サイトでは、アルバムのコンセプトと全曲解説が掲載されている。
さらに9月8日には神奈川・横浜にある象の鼻テラスにて、映像版「CONCERT FOR MODERN TIMES」の上映会が開催される。上映後は高田とライターの松永良平が登壇し、アルバムの解説、収録時のエピソードなどを語る予定だ。
高田漣「CONCERT FOR MODERN TIMES」収録曲
01. In A Mist
02. 明日の館
03. オーランドー
04. 赤い風車
05. 浜の宿
06. 路地裏のシーニュ
07. あかんぼ殺しのマリー・ファラーについて
08. ブルース
09. 昇る庭園
10. フランク・ロイド・ライトに捧げる歌
高田漣 映像版「CONCERT FOR MODERN TIMES」上映会
2022年9月8日(木)神奈川 象の鼻テラス
<出演者>
高田漣
聞き手:松永良平(リズム&ペンシル)
高田漣 コメント
二〇二二年が自分のソロ活動二十周年の記念すべき年であるということはこのアルバム「CONCERT FOR MODERN TIMES」を制作する上で重要事項ではありませんでした。実のところ、このアルバムを制作する経緯や録音過程があまりに特異なので、意識しなかった――或いは出来なかった――というのが事実かも知れません。通常のアルバム制作とは違い、まずは趣のある<場>での録音という命題があったのです。近年でいえばニール・ヤング「バーン」や古くはジェイムズ・テイラー「ワン・マン・ドック」や細野晴臣「ホソノハウス」のような通常のスタジオ空間でない場所での録音、さらに欲を付け加えて一発録りライブ録音、且つそれをウィーリー・ネルソン「テアトロ」に於けるヴィム・ヴェンダース監督のようにドキュメント作品として映像にも残すという些か無謀ともいえるアイデアがありきだったのです。会場選びの最初期から念頭にあったのは二十世紀を代表するモダニズム建築家フランク・ロイド・ライトの設計による自由学園の明日館で、光栄にも実現に至りました。実際に録音に使用させて頂いたのはその本館ではなく講堂ではありましたが、場所柄あまり大きな音量での演奏が不可能であり、その<場>の持つ魔力に導かれるまま室内楽的な作品を作ることになりました。
この明日館が建てられた今から百年前の一九二〇年代、モダニズムは建築のみならずあらゆる分野に渡って模索されました。このアルバムに先立って書いていた「オーランドー」はモダニズム文学のヴァージニア・ウルフの同名小説からタイトルを頂きました。ここに選ばれた作品はすべて何らかのかたちで、この時代、或いはモダン・タイムズ――即ち近代――に関係するもので、同時にタイトルのコンサート<Concert>はライブ演奏の意味でもありますが、同時にその語源であるラテン語<Concerto>の「論じ合う」という意味も含んでいます。混沌として、様々な分断ばかりが感じられる二十一世紀の二十年代にあらためて「近代化とは何であろうか」ということを考える少しばかりの助けになればと願って止みません。
そしてこの場を借りて、この無謀な試みに参加して下さった音楽家の皆様、音響班や撮影班の皆様、そして何より二十年間波風立てずに粛々と活動を続けてきた
二〇二二年七月某日 高田漣
鈴木慶一 @keiichi_suzuki
これは素晴らしい。k1 https://t.co/wPKraJXruV