塩塚モエカが歌い、ヤン富田が音の洪水を起こした蓮沼執太フィルオーチャード公演

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蓮沼執太フィルが4月23日に東京・Bunkamuraオーチャードホールでコンサート「○→○」を開催した。

蓮沼執太フィル「○→○」東京・Bunkamuraオーチャードホール公演の様子。(撮影:後藤武浩)

蓮沼執太フィル「○→○」東京・Bunkamuraオーチャードホール公演の様子。(撮影:後藤武浩)

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蓮沼執太(撮影:後藤武浩)

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この公演にはxiangyuRYUTist柴田聡子ヤン富田、塩塚モエカ(羊文学)、ダンサーのAokid、そしてAI研究者でありDJでもある徳井直生といった多種多様なゲストが出演。イベントの特設ページにはゲストをブッキングした蓮沼の思いや、蓮沼と徳井によるAIを用いた作曲方法の解説、蓮沼とヤン富田のインタビューが事前に掲載されており、ほかに類を見ない蓮沼の新しい試みを披露する場となった。

Aokid(撮影:後藤武浩)

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定刻を知らせる鐘の音が響くと、ステージに13名の蓮沼フィルメンバーが登場。粒立った音で「FULLPHONY」を奏で、ライブの幕を開けた。「今日は盛りだくさんの内容をお届けしますので、どうぞ付いてきてください」と蓮沼が述べた通り、「RAW TOWN」ではさっそくサプライズゲストのAokidがステージに駆け込んでくる。ステージの端から端へアクロバティックに動き回り、楽曲が持つ疾走感を増幅させていた。

xiangyu(撮影:後藤武浩)

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柴田聡子とRYUTist。(撮影:後藤武浩)

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「#API」と「呼応」にはxiangyuがゲストボーカリストとして参加。「こんなに大きなホールに立ったのは合唱コンクール以来」と緊張をにじませながらも、呪文のようなラップをパワフルに歌い上げた。xiangyuと入れ替わりに登場したRYUTistと柴田聡子は、昨年8月に行われた無観客配信ライブ「#フィルAPIスパイラル」でも披露した柴田の提供曲「ナイスポーズ」を観客の前で初パフォーマンス。前回の配信ライブで歌詞に合わせてピースサインを繰り出し注目を浴びたK-Ta(Marimba)は、今回サビの振り付けを完コピしており、5人目のRYUTistとして演奏とダンスで華を添えた。

ヤン富田(撮影:後藤武浩)

ヤン富田(撮影:後藤武浩)[拡大]

ライブ後半の1曲目では、蓮沼が劇伴を手がけるNHK総合の連続ドラマ「きれいのくに」より“M28”を初演奏。曲が終わると後方のフリンジ状のカーテンが開き、おびただしい数のボタンが明滅するモジュラーシンセサイザーの前に座ったヤン富田が現れる。彼がその場にリアルタイムで漂っている電波から声、音楽、電子音、ノイズなどさまざまな音を拾い上げることで発生した巨大な音の波が「Centers #0#1#2#3」をひたすらに演奏するフィルを飲み込んだり重なったりしながら共鳴していく。時に爆音に流されそうになりながら各々でリズムを刻むフィルに観客も息を飲んだが、2組が奏でた音はやがてヤン富田が選び出した朗読の一節で静かに着地した。今の演奏の種明かしとしてユングのシンクロニシティを例に挙げながら「“必然性のある偶然”を自ら呼び起こす」と解説したヤン富田は、「かけがえのない瞬間がいくつもあった。最高でした!」と語りステージを去った。

塩塚モエカ(羊文学)(撮影:後藤武浩)

塩塚モエカ(羊文学)(撮影:後藤武浩)[拡大]

続いて蓮沼フィルは、蓮沼と徳井の共同制作によるAIを用いた楽曲「Music for ○→○」を初披露。蓮沼の過去作品を学習したAIが打ち出す環境音のようなサウンドやピアノの旋律に合わせてフィルが生セッションするというパフォーマンスが繰り広げられた。ライブはクライマックスに差しかかり、最後のゲスト塩塚モエカが登場。蓮沼の楽曲「テレポート」を初めて女性ボーカルが歌うという新鮮なコラボレーションも大きな見どころの1つとなった。そして蓮沼フィルと塩塚は昨年12月にリリースされた「HOLIDAY」をライブで初パフォーマンスし、ミラーボールが輝くきらびやかな空間の中でライブを大団円に導いた。「HOLIDAY」をもって予定されていた楽曲を演奏し終えた蓮沼フィルだったが、事前に公表されていたセットリストにはなかった未音源化の楽曲「Eco Echo」を演奏。前回の配信ライブではボーカリーズで歌われていたこの曲に歌詞が付き、よりエモーショナルに観客に届けられた。

蓮沼執太フィル「○→○」東京・Bunkamuraオーチャードホール公演終演後の様子。(撮影:後藤武浩)

蓮沼執太フィル「○→○」東京・Bunkamuraオーチャードホール公演終演後の様子。(撮影:後藤武浩)[拡大]

本公演の映像は、視聴者がそれぞれの空間で楽しめるよう配信ライブ用に編集され、4月30日19:00よりPIA LIVE STREAMにて配信される。視聴チケットは5月9日20:00までチケットぴあで販売中。なお本公演の一部ライブ音源が後日ダウンロードできる「オマケ音源付きチケット」も用意されている。

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蓮沼執太フィル「○→○」2021年4月23日 Bunkamuraオーチャードホール公演 セットリスト

1st

01. FULLPHONY
02. Triooo - VOL
03. RAW TOWN / Aokid
04. Imr / Aokid
05. #API / xiangyu、Aokid
06. 呼応 / xiangyu
07. ナイスポーズ / RYUTist柴田聡子

2nd

08. NHKよるドラ「きれいのくに」M28
09.
ヤン富田「必然性のある偶然の音楽のためのラジオ・ミュージック」より蓮沼執太フィルのためのパート1 / 蓮沼執太フィル「centers #0」
・ヤン富田「必然性のある偶然の音楽のためのラジオ・ミュージック」より蓮沼執太フィルのためのパート2 / 蓮沼執太フィル「centers #1」
・ヤン富田「必然性のある偶然の音楽のためのラジオ・ミュージック」より蓮沼執太フィルのためのパート3 / 蓮沼執太フィル「centers #2」
・ヤン富田「AUTO禅(音禅)による演奏と詩の朗読『科学の科学は存在しない』」より蓮沼執太フィルのためのパート4 / 蓮沼執太フィル「centers #3」
10. ALIVE / RYUTist
11. Music for ○→○ / 徳井直生
12. テレポート / 塩塚モエカ(羊文学
13. HOLIDAY / 塩塚モエカ(羊文学)
14. Eco Echo

蓮沼執太フィル・オーチャードホール配信「○→○」(全方位型フィル)

配信期間:2021年4月30日(金)19:00~5月9日(日)23:59
チケット販売URL:https://t.pia.jp/pia/artist/artists.do?artistsCd=C2080044

※記事初出時より一部表現を変更いたしました。

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