これはLIVEWIREのオープニングシリーズの一環として行われた、Suchmos初の無観客ライブを有料配信するという企画。当日はdutch_tokyoこと山田健人が映像のディレクションを担当し、新型コロナウイルス感染拡大に伴う自粛期間中に制作された新曲9曲のパフォーマンスがアーカイブを残さず生配信された。
定刻になりレトロなSF映画の映像が流れたあと、気だるげなギターバッキングの音と共にモノクロでメンバーの姿が画面に映し出された。ところどころにペンダントライトが飾られた部屋の中で向かい合うようにして演奏を始めた6人は、ミドルテンポのロックナンバー「サルスベリ」でライブを開始。ブラウン管テレビを彷彿とさせる長方形の映像には、まるで彼らのスタジオセッションの様子を窓から覗き見ているかような演出が施されていた。曲中で、前髪を1つに束ねラウンド型の黒いサングラスをかけたYONCE(Vo)が、「どうもご無沙汰しておりました、Suchmosと申します」とコミカルな口調で挨拶。「濃厚なミュージックと濃厚な接触しようぜ」と続け、画面の向こうのオーディエンスを盛り上げた。
タバコに火をつけてリラックスした表情を見せた6人は、しばし談笑したあと2曲目の「Underworld」に突入。曲中メロウなリズムに乗ってYONCEのファルセットが響き渡った。続く「ナイトホークス」では、TAIKING(G)のギターリフとTAIHEI(Key)が奏でるストリングスの音色が混ざり合い、ブルージーかつムーディなパフォーマンスを展開。その後ノスタルジックなサウンドと透き通るようなコーラスが印象的な「Stand by Mirror」、OK(Dr)のリズミカルなドラムから始まるグランジ風の「Dronedrome」が、室内に漂うタバコの煙と共にクローズドな雰囲気で届けられた。
休憩タイムに入ると、メンバーはおのおのタバコに火をつけ「このライブ、配信されてなかったらウケるな」と笑い合う。途中、YONCEが髪に絡まったサングラスを取り髪を結び直しながら、しみじみと「タバコ吸っていいっていうのはね、最高だよ」とつぶやく場面も。なごやかな空気が流れる中、メンバーに促されたTAIHEIが軽快なピアノのフレーズを披露。そしてほがらかな空気から一変、彼らはスローテンポでどこかあやしげな雰囲気の「Ghost」をパフォーマンスした。その後、OKのパワフルなドラムプレイから「To You」がスタート。HSU(B)のベースとTAIKINGのギターのかけ合いや、この日DJプレイを一切封印しギタリストとして臨んだKCEE(DJ, G)の鋭いソロプレイが光った。
勢いよく曲の演奏を終えた6人は再び休憩タイムに。タバコをゆっくりと味わうメンバーに対し、YONCEが「今日誰の灰皿が一番溜まってるか勝負だからね」と呼びかけ笑いを誘う。その後ボサノバ風のギターフレーズを合図に、浮遊感あふれる「Magic Time」へと突入。ドリーミーなサウンドに乗せて、TAIKINGとKCEEが力強いギタープレイを展開し、YONCEは自身のInstagramで歌詞を書いたメモを公開していた「TVでずっと流れていた 唾飲み込んで見守る河西のオヤジ」というフレーズを歌唱した。そして演奏を終えると、YONCEが改めて視聴者に挨拶。「あっちゅーまでしたね……いつになるかわかりやせんが、皆さんの前にお目にかかれる日まで、お互いに祈りましょう」と笑顔で語った。そして「どっかのライブハウスで、またいいことしましょう」と続けると、温かなストリングスとグロッケンの音色が印象的なラストナンバー「Dizzy」を歌唱。ドラマチックなサウンドに合わせてゆっくりとエンドロールが流れる中、「2020年の梅雨の切れ間の日、俺達は今こんな感じです」とファンに語りかけ公演は幕を下ろした。
なお現在SPACE SHOWER STOREでは、公演の開催を記念したKCEEとTAIHEIデザインによる新作Tシャツを受注生産限定で販売中。7月24日まで注文を受け付けている。
LIVEWIRE Suchmos From The Window 2020年7月19日 セットリスト
01. サルスベリ
02. Underworld
03. ナイトホークス
04. Stand By Mirror
05. Dronedrome
06. Ghost
07. To You
08. Magic Time
09. Dizzy
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Suchmosオール新曲の生ライブ配信、窓の向こうのファンへ「ライブハウスでまたいいことしましょう」 https://t.co/xLRfhxEUxy