まらしぃ、2019年最後のライブでベッドに座ってグランドピアノを弾く

まらしぃが12月22日に東京・昭和女子大学人見記念講堂で全国ツアー「marasy collection piano live tour 2019」の追加公演を開催した。

10月から11月にかけてベストアルバム「marasy collection ～marasy original songs best & new～」を携えた全国ツアーを開催していたまらしぃ。今回行われた追加公演は12月18日発売のニューアルバム「ちょっとつよいクラシック」のリリースパーティも兼ねて行われおり、ベスト盤の曲のみならず新作アルバムの収録曲も披露されるなど、まらしぃにとっての2019年の集大成的なライブとなった。

開演時間を迎え、グランドピアノの前に座ったまらしぃは軽やかな手付きでオリジナル曲「うらめし太郎」を弾き始める。ピアノの音色に合わせて多数のレーザーが飛び交い、会場内はライブ序盤から高揚感で満たされていく。2曲目「Love Piano」では、まらしぃが素早い指さばきで高音のメロディを奏でて、美しいピアノの旋律を会場いっぱいに響かせた。

ピアノ椅子から立ち上がり、会場内を見渡したまらしぃはこの日の公演が2019年最後のライブであることを告げ「今日は僕が一番楽しんで帰る」と宣言。さらに「好きな曲を思いっきり弾く」という彼の言葉から「メルト」「アスノヨゾラ哨戒班」などをノンストップでつなげたボカロ曲メドレー、「God knows...」「紅蓮華」といった曲で構成されたアニソンメドレーが立て続けに披露された。「stella=steLLa」「Chelly spLash♪♪」といった音楽ゲームへの提供曲を披露するブロックでは、プロジェクションマッピングを用いた演出で会場を華やかに彩り、オーディエンスを楽しませた。

ステージ上に猿の肖像画が置かれると、アルバム「ちょっとつよいクラシック」の収録曲を披露するコーナーへ。まらしぃは子供の頃のレッスンでのエピソードや、学校の運動会で聴いたクラシックの曲の話をしたのちに「ちょっとつよいエリーゼのために」「ちょっとつよい天国と地獄」「ちょっとたのしいトルコ行進曲」の3曲をプレイ。さらにドラマーのyuji yonoをステージに呼び込むと「まらおバンド」として「運命 -Beethoven Symphony No.5-」の演奏を始める。yonoは手数の多いテクニカルなドラミングでまらしぃの演奏を支え、まらしぃはダイナミックに「運命」の有名なフレーズを会場内に響かせた。さらにサプライズゲストとして「カノン」のレコーディングに参加したIKUO（B / BULL ZEICHEN 88、Rayflower）がステージに現れ、3人は「カノン」「meteorite」の2曲をセッション。IKUOはステージ上を動き回りながらアグレッシブな演奏で2人を鼓舞し、3人は息の合ったアンサンブルでライブを大いに盛り上げた。

yonoとIKUOをステージから送り出したまらしぃは、グランドピアノの大屋根を全開にし、マイクを通さずに生音で「空想少女への恋手紙」を届けた。「千本桜」の演奏ではテンポを自在に変えてオーディエンスの手拍子を翻弄するなど、リラックスした空気感でピアノを弾いていく。最後に「この曲を弾かないと気が済まない」と話した彼は、“まらしぃ”としてピアノを弾くきっかけとなった「ネイティブフェイス」を力強く演奏し、本編を締めくくった。

アンコールではまらしぃの自室を再現するかのようにベッドと電子ピアノがステージに置かれ、再び姿を現した彼はベッドの上に座って「ナイト・オブ・ナイツ」を演奏した。「2019年はいろんなわがままを叶えてもらってきた」と話すまらしぃは、最後のわがままとしてベッドに座りながらグランドピアノが弾きたいとスタッフに懇願する。ベッドを片付けに来ていたスタッフが快くグランドピアノの前にベッドを運ぶと、まらしぃはそれに喜び思わずベッドに寝転んでしまう。まるで自分の部屋にいるかのように充分リラックスした彼はベッドに座ってグランドピアノに向き合い、「夢、時々…」で静謐とした美しいピアノの音色を響かせた。すべての楽曲を演奏し終えた彼は「2020年もよろしくね！」と書かれたスケッチブックと猿のぬいぐるみをピアノの上に置き、ステージをあとにした。