くるり「とろみツアー」ファイナル公演で新境地に到達

2009年12月24日 20:58 1 音楽ナタリー編集部

くるりの全国ツアー「くるりワンマンライブツアー2009～とろみを感じる生き方～」のファイナル公演が、12月18日に千葉・市川市文化会館で開催された。このツアーは夏に行われた「くるりワンマンライブツアー2009～敦煌（ドンファン）～」に続く、今年2度目の全国ツアー。全24公演を締めくくる市川公演のチケットはソールドアウトし、会場は約1900人のファンで満員となった。

くるりとは？

1996年に立命館大学の音楽サークル「ロック・コミューン」内で岸田繁（Vo, G）、佐藤征史（B）、森信行（Dr）により結成。1998年10月にシングル「東京」でメジャーデビューを果たす。2007年より主催イベント「京都音楽博覧会」をスタートさせたり、「ジョゼと虎と魚たち」「奇跡」といった映画作品の音楽を担当したりと、その活動は多岐にわたる。幾度かのメンバーチェンジを経て、2011年から岸田、佐藤、ファンファン（Tp）の3人編成で活動していたが、2021年3月にファンファンが脱退。岸田と佐藤の2人体制で活動していくことを発表した。2023年10月に、オリジナルメンバーで制作したアルバム「感覚は道標」をリリース。2024年9月に、メジャーデビュー時より在籍していたSPEEDSTAR RECORDSとの契約を満了したことを発表し、翌10月にイタリアの音楽家ダニエレ・セーペと制作した楽曲「La Palummella」をリリースした。

これまでにも4人編成でのライブは行われてきたが、過去の公演とは異なる独特の“とろみ”を表現することに成功したツアーとなった。

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岸田は学力テストで61点を獲得。佐藤も同じ点数だったとのこと。

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佐藤は物販紹介コーナーで新アイテム「ペンケシ」を熱心にアピール。

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定刻を少し過ぎた頃、ステージ上にメンバーが登場。このツアーの編成は岸田繁（Vo,G）と佐藤征史（B）のほか、サポートメンバーにボボこと堀川裕之（Dr）と世武裕子（Key,Cho）を迎えた4人編成。全員アースカラーを基調としたシックな装いで現れた。

「みなさんこんばんは、くるりです」という岸田の挨拶に続けて始まった1曲目は「ジュビリー」。世武の身体全体を使って演奏するようなダイナミックなピアノが、楽曲に新たな味わいを加える。続く「スーパースター」は、ステージ上で一瞬呼吸を合わせてからイントロがスタート。岸田、佐藤、世武が歌う伸びやかな3重唱のコーラスがホール中に響き渡った。

「愉快なピーナッツ」「かごの中のジョニー」「魂のゆくえ」と、最新アルバムの楽曲を連続で披露した後、ステージ上には岸田ひとりが残る。アコースティックギターの弾き語りで彼が歌ったのは「リバー」。原曲の持つ素朴な雰囲気をさらに引き立てるアレンジで、軽やかなボーカルを聴かせた。そして岸田がステージを去ると同時に佐藤、ボボ、世武が再登場。世武のピアノが幻想的なイントロを奏でる中、ステージ上方からミラーボールが降りてくる。キラキラと光が降り注ぎ、観客が驚いているとステージにはジャケットを着た岸田が登場。ハンドマイクで「京都の大学生」を歌い始めた。

若干大仰な節回しで歌う岸田に、2番からは世武のブルージーなボーカルも加わる。歌詞に登場する京都の喫茶店が目に浮かぶような気だるい雰囲気に、場内からは笑いとも感嘆ともつかない声が沸き起こった。独特なムードを引き裂くように岸田のギターイントロが響き渡り、続く「青い空」が始まる。対象的な2曲で、バンドの表現力の豊かさをアピールする一幕となった。

MCでは岸田が長いツアーの合間の楽しみについて語る。3日前の鎌倉公演が終わった後にはスタッフとメンバーが、一般常識やくるりを巡る問題からなる“学力テスト”とボウリングで豪華賞品を争うゲームを楽しんだとのこと。岸田は「お好み焼きソース1年分をゲットしました」とうれしそうに語り、観客を笑わせた。そして「そういうお楽しみを含めながらツアーをやってきたわけですが、ここからはみなさんに1年分の幸せをあげるので、ぜひ持って帰ってください」と話し、ライブは中盤戦に突入した。

「ベベブ」では世武が奏でるハモンドオルガンのエモーショナルな音色と、ボボのダイナミックなリズムが不思議なハーモニーを生み出す。軽快なアレンジと切実な歌詞のギャップが印象的な「つらいことばかり」、松任谷由実との注目コラボソング「シャツを洗えば」と、中盤は最近の曲を中心に披露。「ブレーメン」は壮大なオーケストラを従えた原曲の雰囲気を4人編成で見事に表現。後半部分では佐藤、ボボのリズム隊を中心に独特のグルーヴを生み出した。

「今回は特にアルバムツアーではないので、新旧いろいろな曲をやってます。次にやる曲もすごい久しぶりにやる曲で……まあ、我々は毎日演奏してたんですが（笑）」と岸田が紹介して始まったのは、2006年にリリースされたRIP SLYMEとのコラボシングル収録曲「ナイトライダー」。くるりらしいひねくれ具合とポップネスが融合された楽曲を、新たなアレンジで披露した。

そしてライブはいよいよ終盤戦に。佐藤のベースソロで早くも歓声が上がった「BIRTHDAY」、岸田の優しい歌声が響き渡る「太陽のブルース」に続き、最後に「宿はなし」を披露。アコースティックギターを抱えた岸田はドラマチックなメロディラインを力強く歌い上げ、本編を締めくくった。

アンコールの声に応え、最初にステージに現れたのは佐藤。「今日で千秋楽でございます、ありがとうございます。ツアーが終わるということはですね、ツアーグッズが買えなくなるということですよ！」との挨拶に続けて、恒例の物販紹介をスタート。途中からは岸田も茶々を入れ、個性的なグッズの数々を紹介した。

「長いツアーの終わりってのは感慨深いです。皆さんと一緒に大団円を迎えたいです。今日は本当にありがとう、あともうちょっとだけやらしてください」と岸田が挨拶すると、場内からは温かい拍手が沸き起こる。アンコールでは「ワンダーフォーゲル」「ばらの花」「東京」と、人気の名曲ばかりを立て続けに演奏。ファンにとってなじみ深い曲を新編成のハーモニーでじっくりと聴かせ、このツアーで彼らが立った新たな境地を存分にアピールした。

「くるりワンマンライブツアー2009～とろみを感じる生き方～」
2009年12月18日市川市文化会館セットリスト

01.ジュビリー
02.Superstar
03.愉快なピーナッツ
04.かごの中のジョニー
05.魂のゆくえ
06.リバー
07.京都の大学生
08.青い空
09.ベベブ
10.つらいことばかり
11.シャツを洗えば
12.さよならリグレット
13.三日月
14.ブレーメン
15.ナイトライダー
16.BIRTHDAY
17.太陽のブルース
18.宿はなし

EN-01.ワンダーフォーゲル
EN-02.ばらの花
EN-03.東京