再生数急上昇ソング定点観測 (2026年1月3週目) [バックナンバー]
日向坂46が「クリフハンガー」でつかみ取る未来 / 福山雅治と稲葉浩志のリスペクトし合う距離感 / YOASOBIは「アドレナ」で何を表現したのか?
今、盛り上がっている曲 / これから盛り上がりそうな曲について詳しく解説
2026年1月16日 18:30 7
YouTubeでの視聴回数チャートや、ストリーミングサービスでの再生数が伸びている楽曲を観測し、今何が注目されているのかを解説する週イチ連載「再生数急上昇ソング定点観測」。今週はYouTubeで2026年1月2日から1月8日にかけて集計されたミュージックビデオランキングの中から要注目トピックをピックアップします。
文
まずはこの週の初登場曲の振り返りから
今週のYouTubeのミュージックビデオランキングでは、54位に
ピーナッツくん「Clione feat. 轟はじめ(Live at PQ)」
57位には雨良 Amalaの「バゥムクゥヘン・エンドロゥル」がランクインした。パッヘルベルの「カノン」やベートーヴェンの「交響曲第9番」など、誰もが知るクラシックの名曲を引用し、ポップな雰囲気に昇華したメロディが印象的だ。
雨良 Amala「バゥムクゥヘン・エンドロゥル」ミュージックビデオ
62位に登場したのは、VOLTACTION×3SKMの「Crashing Winners」。VOLTACTIONと3SKMによるスペシャルユニットのオリジナル曲で、高みを目指して刺激し合う2組の“革命前夜”を歌ったダンスナンバーになっている。
VOLTACTION×3SKM「Crashing Winners」ミュージックビデオ
72位にはMIMIの「トリックハート」がランクインした。キャッチーかつ軽快なリズムの上で躍動する、手品をモチーフにした独自性の高い歌詞が光っている。
MIMI「トリックハート」ミュージックビデオ
人気のボカロPやVtuberの楽曲が目立った今週は、下記の3曲をピックアップする。
日向坂46「クリフハンガー」
※YouTubeウィークリーミュージックビデオランキング初登場42位
恋とは、乾いた大地に降る恵みの雨であり、なんてことのない日常の景色が突然輝いて見える魔法のファインダーでもある。しかし、恋に痛みはつきもの。「嫌われたのではないか」と不安になったり、告白をして傷付いたり、悲しい別れをすることだってある。それでも恋を求めてしまうのは、日常では味わえない劇的な変化を欲しているからかもしれない。
タイトルの「クリフハンガー」は、直訳すると「崖(クリフ)からぶら下がっているモノ(ハンガー)」という意味で、「このあとはどうなってしまうのだろう」と観る側の興味を誘うドラマや映画で用いられる作劇手法の1つ。主人公は「恋を成就させる」その一点に期待を抱いているのではなく、自分が恋をしたその先が知りたいと思っている。もちろん好きな人と結ばれれば、それにこしたことはない。しかし、仮にうまくいかなかったとしても、意中の相手に気に入られようと自分磨きをしたのなら、その努力は自信や自己肯定感につながるだろう。恋とは、自分を高める最も身近で強力な起爆剤でもあるのだ。そんなポジティブなメッセージを、筆者はこの曲から感じた。
今作のセンターを務めるのは、五期生の大野愛実。MVは、これまでの葛藤を描きながらも、新たな未来をつかみ取る日向坂46の“これから”を表現した、力の入った映像に仕上がっている。
福山雅治「木星 feat. 稲葉浩志」
※YouTubeウィークリーミュージックビデオランキング初登場51位
2025年12月13日放送のTOKYO FM「福山雅治 福のラジオ」内で、福山は楽曲の制作秘話を披露している。企画プロデュースの東仲恵吾から主題歌のオファーを受けた際、福山は「ラストマン」が“最強のバディ”を謳った作品であることを踏まえ、主題歌も”最強“にふさわしい相手を考えたところ、真っ先に浮かんだのが稲葉だったという。今作は福山が作曲・編曲・プロデュースを担当し、稲葉が作詞を手がけた。過去に愛された記憶を思い返し、未来の光へと変えようとする壮大な歌詞が印象的だ。また、真っ暗な部屋に光が差し込んで、徐々に世界が明るくなるような力強いメロディと2人の歌が、「木星」のドラマチックさを増幅させている。
MVのトータルプロデュースは福山が自ら担当し、監督は本作のジャケットアートワークも手がけた写真家の嶌村吉祥丸が務めた。福山と稲葉はグレーのスーツスタイルでMVに登場し、抽象的な空間に円形の革張りソファが1つだけ置かれたワンシチュエーションで撮影。シンプルな演出だからこそ、2人の放つ緊張感や表現者としてリスペクトし合う親密な距離感が、歌だけでなく映像からも感じられる。
YOASOBI「アドレナ」
※YouTubeウィークリーミュージックビデオランキング初登場58位
「アドレナ」はまっすぐで不器用な恋心を描いた楽曲で、アップテンポかつコミカルなサウンドと目まぐるしい展開が重なり、恋の高揚感と迷走する様子が表現されている。メンバーのAyaseはこの曲について「主人公・瑞稀のストレートな恋心をアグレッシブに表現したパワフルなラブソングとなっております」とコメント。その言葉の通り、筆者はラストのフレーズ「きっと いや絶対に / 振り向かせて見せるから」について、好きな人に対する恋の決意表明を明快に表現しているように感じた。「花ざかりの君たちへ」に寄り添いつつも、今片想いをしている人の背中を押すエールソングとも言えるだろう。
- 真貝聡
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ライター / インタビュアー。雑誌やWebで執筆するほか、MOROHA「其ノ灯、暮ラシ」、BiSH「SHAPE OF LOVE」、PEDRO「SKYFISH GIRL-THE MOVIE-」といったドキュメンタリー映像作品や、テレビ特番「Mrs. GREEN APPLE ~Review of エデンの園~」にインタビュアーとして参加している。
バックナンバー
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