のっちはゲームがしたい! 第19回(後編) [バックナンバー]
「都市伝説解体センター」墓場文庫に直撃!少人数なゲーム開発のリアルに迫りました
決めポーズの元ネタはPerfume? 13言語対応で失踪寸前に……
2025年12月23日 12:30 170
みんなの質問、のっちが代わりに聞いてきますのコーナー!
私は怖がりでホラーゲームはなるべくやりたくないのですが、都市伝説解体センターはギリ大丈夫でした。どなたか怖さ判定をされたりしていたのでしょうか?絶妙な怖さの秘密が知りたいです。
おでーん 最初に林さんから「ホラーが苦手な人が楽しめなくなるから、ホラーにするのはやめよう」って言われてて。オカルトがテーマだから怖い要素はあるんですけど、ホラーではないつもりなんです。
林 「都市伝説のゲームを作ります」って言うと「集英社ゲームズがホラーゲームを作り始めた」って誤解が広まっちゃうかもしれません。だからメディアさんには「これはミステリーです。ホラーじゃありません」って必ず説明をしていました。それでもホラーと認識されてしまうこともありましたが……。
MOCHIKIN やりたかったのは「あざみちゃんを怖い目に合わせる」ことで、さっきあだPも言っていたように、参考にしていたのはヒッチコックのような昔の映画の怖がらせ方なんですよ。いきなりドーン!って驚かせるみたいなことはしない。
のっち いや、ちょっとありましたよね?(笑)
MOCHIKIN すみません、あります(笑)。
きっきゃわー 各話に1カ所ずつくらいは怖いシーンがあるけど、それも抑えに抑えた結果で。第4話に出てきた“蛭塚村のジジイ”が一番怖い、くらいに抑えてます(笑)。
あだP あのおじいちゃん、人気が高いんですよ。
MOCHIKIN LINEスタンプを作ったときに冗談半分でおじいちゃんの絵を入れたんですけど、初週の記録を見たら一番使われてた(笑)。
きっきゃわー あのおじいちゃん、最初はもうちょっとゆっくり歩いて出てくるはずだったんだよね。なんか気付いたらシャコン!って出てくるようになってたけど。
おでーん 残像を残しながら出てくるアニメーションに僕がしちゃって(笑)。でもそれ以外のシーンは、意識して「これから怖いのが来ますよ」の時間をちょっと作ってます。
のっち 怖いのは苦手だけど、ギリ堪えられました。私はビックリ系よりむしろ、じわじわ怖がらせる心霊モノみたいなのが苦手で。でもこのゲームはそういう人にも勧められるなと思います。あと、ゲームオーバーがないことも人に勧めやすいですね。
林 ゲームを全然やったことない人とか、最近ゲームから離れちゃった人たちにプレイしてほしいというのが墓場文庫のコンセプトにあるんですよ。あと、ミステリーなので最後の大オチまでやってほしい、途中でやめてほしくない、というのもあり、易しいゲームにすることにしたんです。
のっち なるほどなー。じゃあ、続きましてひよこさんからです。
センター長さんの解体ポーズなど、印象的なポーズがありますが、どのように決まったのですか?みなさんで色々ポージングしてみたのでしょうか?
おでーん 解体ポーズは、特撮ヒーローの変身シーンをイメージして僕が勝手に作りました。推理モノはどうしても地味になりがちだから、ケレン味のある気持ちいいシーンを作ろうと思って。でもあとになって考えたら、直接影響されていたものが1つあったんですよ。Perfumeの「ポリゴンウェイヴ」の振付なんですけど。
Perfume「ポリゴンウェイヴ」ミュージックビデオ
のっち ああ! 顔の前で三角形を作るポーズ! そういえば確かに! あれ印象的だったんですよ。
おでーん 考えてるときは完全に無意識だったけど、その可能性はあるなって。
きっきゃわー あのポーズだけが浮かないように、派手なカットインをどんどん足しました。「これでもまだ地味じゃない?」って。
おでーん 後ろの「天眼錠(アイ・オープナー)」も最初はなかったしね。
林 ピラミッドが下からせり上がってきたときは「なんだこれ?」って思いました(笑)。ほかのメンバーはあれを最初に見たときにどう思ったの?
MOCHIKIN 吟味している余裕がないので、上がってきた案には全部「いいやん、いいやん」って答えてました(笑)。たぶんボツにした案はほぼないです。
のっち すごい(笑)。そうしてあの激アツ演出ができあがったんですね! 次は、ゆめnoŋさんからの質問です。
2周目だからこそ気付く伏線も多いと思うのですが、あまり気付かれてないけどあそこも…みたいなところはありますか?
おでーん 難しいな。
MOCHIKIN あるといえばいっぱいあるんですけど。
きっきゃわー 手帳の中にも細かいネタを仕込んでるんですけど、ここで「まだ気付かれてない」と言っても「いや知ってましたけど?」っていう人がいる可能性はあります。
のっち 「そんなこと別に意識してないのに、お客さんが勝手にすごい伏線だと思ってくれた」みたいなところはありますか?
おでーん それはめっちゃあります。
きっきゃわー 「あ、そう思ってもらえるんなら、そっちのほうがいいかもしれないです」みたいな(笑)。
林 「2周目だからこそ気付く伏線」で言うと、ゲーム開始直後の本棚のシーンで重要なキーワードが出てきてるんですよ。そういう「ここでもう出てんじゃん!」っていうのは、わざとやってるんだろうなと思ってました。
おでーん 本棚にはネタバレが入ってますね。
きっきゃわー 先に全部ちゃんと出さないとフェアじゃないと思ってるので、なるべく隠さないように堂々と出しています。
のっち 自分でプレイしたあとに、ほかの人がやってる配信を観ると、けっこうびっくりします……。
きっきゃわー なんも知らないでやっている配信者さん観て、ハラハラしますよね(笑)。
のっち こちらは甘味きなさんからの質問です。
ドット絵にするのが1番大変だったキャラ、または楽しかったキャラは誰なのか知りたいです
おでーん あざみはたぶん両方で、特に袖のフリルのひらひらを毎回描かないといけないんのが大変だけど楽しかったです。“フリルハイ”というか、無心になって描くので。
きっきゃわー フリルハイあるよね。めちゃくちゃわかる(笑)。
のっち しんどさゆえの楽しさ、ありますよね。フリルハイ(笑)。続いてクックさんからです。
世の中に都市伝説って山ほどありますが、続編をつくるとしたら採用したい都市伝説は何ですか??
おでーん 1つに絞るのは難しいですが、次は世界の都市伝説をやってみたいですね。あとは歴史ミステリーっぽいものとか。
林 ほかの国に宣伝しに行くと、現地の人から「うちの国の都市伝説を入れてください」ってすごく言われるんです。
のっち 海外の都市伝説を知る機会って、あんまりないですよね。
林 でもいろんな国に根付いてるものがあるみたいで。
きっきゃわー 今回入れたかったけど入れられなかったUMAシリーズとかね。ビッグフットみたいな謎の生き物は、あざみちゃんと対峙させ甲斐がある(笑)。
MOCHIKIN たぶんジャスミンがビッグフットと戦うんだろうな。
のっち 続編に限らずで、墓場文庫として次にどういうものを作りたいとかありますか?
林 僕は会社から次を作れと言われ始めてるんですが、墓場文庫が売れっ子になりすぎて手が空いてないんですよ。だから何をやるかはまだ白紙で、続編をやるのか新規をやるのかも決まってなくて。4人が落ち着いてきて「こういうのをやりたいね」となったら、それを進めていきたいなと思っています。
おでーん のっちさんは続編があったらやりたいですか?
のっち 絶対にやりたいです。
おでーん じゃあ作りますか?
あだP いや困るぞあとで(笑)。
林 「言質取ったぞ」って言われて(笑)。実際に続編が出たら「のっちさんのおかげだ」になりそう。
きっきゃわー それは間違いない。
のっち 楽しみです!(笑) 今日はお話を聞いているだけで楽しくって。皆さんが本当に仲がいいのが伝わってきたし、だからこその旨味が凝縮された、どれだけ噛んでも味がするみたいな作品になったんだなってわかりました。ありがとうございました!
のっちさんの取材後記
こんにちは、のっちです!
年の瀬ですね~。
今年は遊びたいゲームのリリースがいーっぱいありました! 発売日が待ち遠しくてウキウキしながら過ごしましたが、じっくり遊びたい長編ゲームだったりで、なかなか触れずでしたねえ。
でも、隙間隙間でゲームは遊んでます!
のっちが今年一番遊んだゲームは「Minecraft」(通称マイクラ)でした!
ブロックで出来た、ランダムに生成される果てのない世界で、冒険、建築、なんでも創造してなんでもできちゃうゲームです。
マイクラって自由な分、性格が出て面白いです。
冒険に行きたい人、町を発展させたい人、装備をしっかり持っていく人、体一つで冒険に行く人。
わたしは、整地するのが好きで、山を崩して道をつくり、畑、牧場、伐採場、採石場を作って、自動釣り機で釣りをしたり、無限に鉄が収穫できるトラップを作ったり。
とにかくずーーっと町のインフラを整えます。それが楽しくて、全っ然冒険に行かない!!!
私は、ゲームの中までも、インドア……。
ゲームなんだから羽目外そうぜ!!とかしたいですけどね、、マイクラの楽しみはマジで人それぞれですからね、そこがいいです。
あと「Minecraft」の生みの親は「ノッチ」さんですからね!笑
こんにちはノッチさん! わたしです! のっちです!
さて! 今回は集英社ゲームズ林真理プロデューサーと、墓場文庫の皆さんにお話を伺ってきました!
こんなおもろいゲームを、どうやって4人でつくるねん!!
と、思ってそれぞれの持ち場を聞くと、綺麗に分担されてて、まあ確かにできるか、と納得してしまいましたが、にしても、作業量と考えたり決めたりすることの量が多分すんごい。
皆さんめちゃめちゃ仲良くてお話聞いてるだけで楽しかったです! ずっと聞いていたい!
私の大好きな、ド派手な「解体」シーンの成り立ちも面白かったなあ。
それから、サプライズのセンター長さんとのコラボレーションも嬉しすぎました!! ありがとうございます! 飾らせていただいてます! 動いてた~感動。涙。ファビュラス~。
次回作の話はまだこれからです、とニコニコ話す林さんを見て、メンバーと作品が大事にされてるなあと感じて、ファンとしてはなんだか嬉しかったですね。
皆さま本当にお忙しい中、お時間いただきまして、ありがとうございました!!!!
「のっちはゲームがしたい!」今回をもって一旦終了! さみしー。
ナタリーさんとゲームの連載をするにあたって、どんな形にするかなって話で、わたしはご存知インドアのコミュよわ人間なので、一人で黙々とこうやって文章書くかな~とか思っていたんですが、なんとゲーム会社にお邪魔してクリエイターさんに直接お話を聞くことになり、恐れ、慄き。私は、まず相談をしにファミ通編集部に行かせてもらいましたね、懐かしい!
それから、6年。色んなゲームの色んな凄い方々にお会いして、直接お話を聞き、それぞれの作品や仕事への向き合い方に感銘を受け、毎回の取材が刺激的で、書籍化していただいたりもして貴重な体験をさせていただきました。
今振り返ると、元々好きなゲームをつくった人に会うにあたって、自分なりにもっと好きになってからお話を聞きたくて、好きなポイントを能動的に探しながらゲームに向き合っていて。
なんか、好きなものや人の、好きなところを増やしていくって滅茶苦茶素敵なことじゃん、と思って。なんかそれは訓練な気もするし。
「好きなとこ探し」はゲームに限らず、人生のテーマにしていきたいです。
上手く伝えられてるでしょうか?
また皆さんとお会いできる時には、でっけえ人間になって、帰ってきたいと思っているので、その時にはまたそれぞれの好きなものについて話したり、わたしのゲーム話や人生の話でも聞いてやってください。
皆さま本当にありがとうございました!
いつも取材後記長くてごめんね!
最後まで読んでくれるあなた! まじでありがとう!!! 愛!! またね!!
のっち
読者の皆様へ
すでにご存知の方も多いと思いますが、Perfumeは2026年よりしばらくコールドスリープに入ることになりました。これに伴い、「のっちはゲームがしたい!」も今回をもって一旦最終回とさせていただきます。
「ゲームに関わるさまざまな人々に会いに行く」というコンセプトで2020年にスタートしたこの連載は、取材相手に聞いてみたい質問を読者の皆さんから募ったりと、本当にたくさんの人たちの協力でできあがっていました。
これまで連載を読んでくださった皆さん、そしてご協力いただいたすべての方に、心から感謝申し上げます。
コールドスリープから目覚めたら、すぐに“コンティニュー”して、また皆さんと一緒にゲームの話で盛り上がれることでしょう。その日を楽しみに待っていてくださいね!
(当連載のインタビューパートを書籍化した「のっちはゲームがしたい!の本」がKADOKAWAより発売中です。コールドスリープ中のお供に、ぜひご購入ください)
Perfume最新情報
12月31日に放送される「第76回NHK紅白歌合戦」への、Perfumeの2年ぶり17回目の出場が決定しました。これがコールドスリープ前最後のパフォーマンスとなります。ぜひ、その瞬間をテレビで見届けてください。
※記事初出時、本文中に誤りがありました。お詫びして訂正します。
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第19回後編が公開!
これまでの連載とはひと味違った
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