のっちはゲームがしたい! 第19回(後編) [バックナンバー]
「都市伝説解体センター」墓場文庫に直撃!少人数なゲーム開発のリアルに迫りました
決めポーズの元ネタはPerfume? 13言語対応で失踪寸前に……
2025年12月23日 12:30 170
墓場文庫さんからのっちさんにサプライズプレゼント!
林 ところで、今日は
のっち えっ! なんですか?
MOCHIKIN こちらの画面を見ていただきたいんですけど、一瞬なんで見逃さないでください。
のっち あっ! のっちだ! 動いてる!
おでーん のっちさんに「都市伝説解体センター」の世界に入っていただきました。
MOCHIKIN 勝手にここまでしていいのかっていう(笑)。
きっきゃわー 事務所に怒られる覚悟でね(笑)。
のっち センター長がファビュラスって言ってくれた! すごい! うれしい!
おでーん そして、今のシーンをプレートにしてきました。墓場文庫からのプレゼントです。
のっち えー! カッコいい! ありがとうございます! これって「Spending all my time」の衣装ですよね。めちゃくちゃかわいいです。
おでーん 一番「都市伝説解体センター」っぽい曲かなと。
Perfume「Spending all my time」ミュージックビデオ
のっち 確かに。ミュージックビデオで私たち、超能力者の養成センターみたいなところに閉じ込められてるんですよね。ありがとうございます! 宝物にします! ちなみにこれ、どれくらい時間がかかったんですか?
おでーん これくらいの尺なら2日ですね。
林 映像のほうはね。それをうちのグッズチームがプレートにする時間も合わせたら、1週間くらいでした。
のっち 最初に私のイラストを描いてくださってから、それをドット絵にするんですよね?
林 そうですね。まず、きっきゃわーさんが線画で描かれて、それをおでーんさんに渡して。
おでーん そこからドットを1点1点、ポチポチ押していくという作業になります。
のっち それにビックリしたんですよ。ボタンひとつでドン!でドット絵に加工できちゃうツールもあるじゃないですか。それは使わずに全部手作業なんですね。この連載で前に月ノ美兎ちゃんと対談したときに「体調が悪いときに『都市伝説解体センター』をやろうとしたら、ドット絵の情報量がすごすぎて、その苦労を思うと吐き気がしてきてできなかった」みたいなことを言っていて。
きっきゃわー すごい感受性(笑)。
のっち それを聞いて私は「これを1人で描いてるとか、さすがにそこまで大変なことはしてないんじゃないかな」と思ってたんですけど、美兎ちゃんの吐き気は嘘じゃなかった(笑)。
おでーん お手伝いしてくれる方もいたので、完全に1人ではないんですけどね。
林 でもおでーんさん、後半は肩にシップを貼りまくってたね(笑)。
おでーん 腱鞘炎って、進行すると肩のあたりに激痛が走るようになるんですよ。
のっち さっきラフを見せてもらったときに、色数を絞って4色だけで描いてるって聞いたんですけど、この私の絵も4色なんですか?
おでーん そうですね。赤は別扱いにしてるんですけど、主線の黒と、白、ブルー、肌色の4色です。暗いシーンの4色と、明るいシーンの4色の、2種類のカラーパレットがあって。
のっち 4色でなんでも表現できるものなんですか?
おでーん 大変は大変です(笑)。でもその分、「このゲームはこの色」というイメージをユーザーさんに刷り込めるんです。おかげさまでファンアートをいっぱい描いていただいてるんですけど、みんな同じ色なので、一発で「都市伝説解体センター」だってわかるのはありがたいですよね。
のっち そうそう、YouTubeのサムネを見てると「都市伝説解体センター」の実況はすぐわかる。
SNS描写がリアルは理由は?
のっち 「都市伝説解体センター」はSNSのリアルな描写も面白くて。あの書き込みは誰が文章を考えたんですか?
あだP メインはきっきゃわーさんじゃないですか?
きっきゃわー 軸を作ってもらって、それに全員で肉付けをする感じでやっています。
のっち いろんな人が、いろんなことを書き込んでるじゃないですか。それを読んだジャスミンの返しも面白いし。
MOCHIKIN 僕たちの間でこういうシナリオシートを共有してて、ネタとかを思いついたらメモ帳的に書き込んでるんです。左側の青紫がSNSの投稿で、それに対するあざみちゃんの反応がピンク、ジャスミンの反応が水色ですね。
のっち うわー、ものすごい文量!
おでーん これでも削ったんですよ。情報を盛りすぎちゃって。
きっきゃわー 会話量もだいぶ減らしましたね。
林 SNSを作ることになったときに「あんまりリアルにしないで、疑似的なSNSを用意したら?」って話をしたんですけど、できてあがってきたら本物のSNSみたいになってて(笑)。話を進めるのに必要ないような書き込みも読みたくなるから、それがやり込み要素になってるんですよね。
のっち やっぱり、もともとSNSをよく見られているからリアルに書けるんですか?
MOCHIKIN いや、研究したんです。コロナ禍の時期に、SNSが荒れ気味でしゃべりづらくなったから、内々でコミュニティツールを使って集まってたんですよ。ちなみにその場所の名前が「墓場」で、墓場文庫の由来になってるんですけど。そのときの経験から「ネットって荒れると怖いよね。それを表現できたら面白いんじゃないかな」と思ったのが、このゲームにSNSを取り入れた始まりで。
きっきゃわー どういう書き込みばっかりだと居心地が悪くて、読んでてしんどいかっていう。
のっち 「SNSでの噂から都市伝説が生まれる」という内容ですけど、そのアイデアはどっちが先に生まれたんですか? 「ゲームの中にSNSを作ろう」なのか、「都市伝説って、人が作るものだよね」なのか。
きっきゃわー 都市伝説が先かな?
おでーん 最初は「和階堂真の事件簿」みたいに、普通に現場の探索だけで解決していくゲームだったんですけど、やっぱり単調になっちゃうので、別の方向性から事件について調べられないかと思ったときに「噂のもとといえばSNSじゃないか」ということで、途中からSNS調査のシーンを加えました。
のっち 月ノ美兎さんが実況してるときに「SNSに書き込んでいる人のアイコンを覚えてる」って言ってたんですけど、このアイコンの人はこういう書き込みをする、という設定はそろえてたんですか?
おでーん いや、ランダムなんですよ。
のっち そうか(笑)。
きっきゃわー あえてランダムにしてるはずなのに、癖のあるポストが同じアイコンになることはちょこちょこある。
MOCHIKIN 「このアイコンの人、いかにもこういうセリフ言いそうだよね」というイメージがあるから。
のっち そうそう、だから目に止まるんですよ(笑)。
おでーん MOCHIKINさんのアイコンの人もゲームの中にいるよね。
MOCHIKIN 2カ所ね。めちゃくちゃ悪いことを言ってる(笑)。
のっち それって実際にXとかで使ってるアイコンですか?
MOCHIKIN そうです。SNSを作り始めたときに、僕がテストデータとして適当に入れていたものが残っていて(笑)。
のっち また仮のデータが採用されてる(笑)。面白いなー。ぜひ見つけたいです!
シンセサイザーをまったく触ったことがなかったんですよ
のっち BGMはどのタイミングで作るんですか?
あだP 僕は普段は会社員をしてるので、稼働できるのが18時からなんです。でもみんなは昼間からガッツリ作業してるので、自分がプレイすると新しい画面ができてるんですよ。だからそこに新しく音楽を入れていく、みたいな。
のっち 曲のイメージは、どうやって決めてるんですか?
あだP 最初に大まかな方向性について話し合って。今回は「ストレンジャー・シングス 未知の世界」とか、アルフレッド・ヒッチコックとかの雰囲気を参考にしていこうということになりました。最初に作った曲だけ、おでーんさんと相談しながらだったんですけど。
のっち どの曲ですか?
あだP 探索中の曲ですね。僕はバキバキの電子音楽を作るのは初めてで、そもそもシンセサイザーをまったく触ったことがなかったんですよ。
のっち あの爆上げ音楽!(笑) いつも作ってるのはああいう曲じゃないんですね。
おでーん もともとジャズ畑の人間で、生楽器のほうが得意なんですよ。
あだP 「和階堂真の事件簿」がジャズっぽい曲だったから、今回もそうなのかと思ったら、おでーんさんから「電子音楽にしたい」と言われたんです。「僕、シンセいじったことないですよ?」って返したけど、やってくれと。おでーんさんはDJの経験もあって知見があるので、「違う、そうじゃない」って言われながら作ったので相当鍛えられました(笑)。
おでーん すみません(笑)。あだPさんのセンスなら、電子音楽を作れるはずと思ったんですね。
あだP 当時はずっと、アヴィーチーのようなEDMのヒット曲を「こんな感じにすればいいのか」とか考えながら延々聴いてました。案外みんな「いいね」って言ってくれるし、初めて作ったけどなんとかなってよかったです。
林 あだPさんはシンセサイザーの曲作りを勉強するために、学校に通ったんですよ。
あだP はい。会社員やりながらスクールに通いました。
のっち へー! すごい!
あだP ちょっと自慢させてください。このサントラ、Billboard JAPANのダウンロードアルバムチャートで2位に入りまして。すみません、これだけは今日どうしても言いたくて(笑)。
のっち 私も大好きです!
林 最初はサントラを出す予定はなかったんですよ。でもBGMも反響が大きかったので、音楽配信サービスで聴けるようにしてくれる会社さんを大急ぎで探したんです。
のっち リリースしようと思って、すぐに動けるところも少人数チームのいいところですね。
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