マイベストトラック2023 Vol. 2 [バックナンバー]
トラックメイカー編
Aiobahn、佐々木喫茶、柴田(パソコン音楽クラブ)、CHOBO CURRY、原口沙輔、yonkey(Klang Ruler)が選ぶ2023年の3曲
2024年1月25日 19:30 20
2024年の幕開けに合わせて音楽ナタリーでは、さまざまなアーティストに「2023年にもっとも愛聴した3曲」を聞くアンケート企画を実施。回答者のジャンルごとに分けた全8本の記事を公開していく。今回は「トラックメイカー編」として、
構成
Aiobahn
THE BLUE HEARTS「終わらない歌」
2023年は自分が作り上げたものが恐らく今までで一番色んな人々に届いた年で、創作について色々考えさせられる年でもありました。
人々が音に接する媒体は常に変化して行くし、軽く触れただけで作品の奥まで理解することは難しいはずだから、意図通り伝わらなかったり、想定していたのと違うイメージが作り上げられていたりで、かなり悩みを感じました。
悩みというか、疲れてるから常に捻れている性格がさらに捻れた状態になったというか、前向きな状態だとは言えなかったかも。
そんな中で今更ながら
宇多田ヒカル「Can You Keep A Secret?」
自分が音楽作るようになったのってもはやDTMというワードが定着していて、完全にデジタルでこなせるようになった時代なので、この時代はどのようなプロセスで音楽を仕上げたのかが未だ謎です(当時の人に聞けばわかるとは思うのですが、こういうことを話せる機会ってなかなか無いですね)。自分としてはこの時代の音楽はアナログとデジタルの間に挟まってると感じます。アナログのような質感を感じさせつつ、デジタルのような的確さも同時に感じさせてくれます。今は20年前と比べて機材もソフトも何もかも優れているので当時の音をまんま再現させるのは絶対できないと思います。これは音楽だけでなく当時のノスタルジックさを求める全てのコンテンツに該当する話だと思います。いくら当時を極限まで再現しても、今の環境で作り上げたものはただの当時のニュアンスを持ったものだけにすぎないと。それでも当時の感覚に近づけ、存在しないノスタルジーを感じさせるものを作るのは好きです。この曲は今の自分が求めている音と質感全てを持ってる、そんな曲です。90年代が残っていながらも00年代の雰囲気も存在する、色褪せのない曲です。
m.o.v.e「Rage your dream」
僕は1998という数字から存在しないノスタルジーを感じます。96年生まれなので世代だと言うと世代ですが、2歳の自分が当時のカルチャーに触れた訳でも覚えてる訳でもない(笑)。だからこそ不思議な1998年が僕は大好きで、この時代のJ-POPを探るのもかなり好きです。当時の「CDTV」などの資料を見るだけで今この瞬間1998年を生きてるような感覚にさせてくれます。
色んなヒットソングが出たこの時代の邦楽の中から何故この曲が真っ先に思い浮かんだのかと言うと、この曲に自分の思う1998年の音が全部揃っているからです。909の音、90年代あるあるのコード進行、後半のキーの変化、今の音源では感じることのできないボーカルの自然さ、分かりやすいくらいの当時のシンセ。私にとって最も1998です。最高にノスタルジーです。
<プロフィール>
Aiobahn(アイオバーン)
1996年生まれの音楽プロデューサー / DJ。アドベンチャーゲーム「NEEDY GIRL OVERDOSE」の主題歌「INTERNET OVERDOSE」で注目を浴び、その続編となる2023年3月リリースの「INTERNET YAMERO」がSpotifyの国内バイラルチャートにて1位を獲得した。同年4月にやなぎなぎをフィーチャーした「Re: searchlight」でavex traxからメジャーデビュー。2024年1月19日に「non-reflection feat. 牧野由依」をリリースした。
Aiobahn(@Aiobahn) / X
Aiobahn - YouTube
佐々木喫茶
เต็มแม็กซ์「บูม สหรัฐ x ภูมิ พงศ์รชตะ」
タイのシンガー、Boom Saharatという方のコラボ曲?なんですが正にこれこれ!これでいいんだよ!って感じのサウンドとキャッチーさに一瞬で惚れてずっと聴いてましたね。
国内でこんな感じの曲はとんと聞かなくなりましたが、どっかのメンズアイドルさんがやってくれる事を期待してます!
AIR-CON BOOM BOOM ONESAN「っぽ(NO WAVE)」
80sオマージュは世に溢れてるんですがこっちのアプローチは超新鮮で脳天をぶったたかれた1曲。曲もとにかくカッコいいんですが、歌詞とボーカルの抑揚が完璧すぎて大満足です。ライブで見てみたい!
Jairo「GBB23 World League Tag-team Wildcard Fuego」
ここ数年はビートボックスってジャンルにどっぷりなんですが、去年はJairoが衝撃でしたね。体一つで曲を奏でられるって音楽における正当な進化って感じがしてめちゃくちゃ好きです。
リリースのないカバー楽曲なんですがシンプルに去年一番再生したと思うんでこちらをチョイス。どんどんオリジナル曲出してほしい!!
<プロフィール>
佐々木喫茶(ササキキッサ)
2023年に解散したシンセパンクバンド、
佐々木喫茶(レコライド)(@sasakikissa) / X
柴田(パソコン音楽クラブ)
2023年はそれ以前にリリースされていたものを多く聴いていた年でしたが、そんな中でも2023年にリリースされたもので印象的だったものを3つ選ばせていただきます。
セカンドワルツ「テレパスガール」
セカンドワルツのファーストアルバム「テレパスガール」は今年聴いた音楽の中でもとびきりにチャーミングでした。あたたかく、可愛い装いを感じさせるサウンドでありながら、ときどき物悲しさをのぞかせる音楽たちは、現実は受け入れがたいものばかりだと思う日々の処方箋、あるいは空想の旅への片道切符としてはぴったりでした。
ジェネヴィーヴ・アルターディ「Watech For The View」
ルイス・コールとのユニットKNOWERのボーカルとして知られるGenevieve Artadiのソロ作品。スリリングな響きとプログレッシブなリズムの連続をさらりとやってのける様は、なにか素敵な実験を見ているよう。ぬくもりある質感のエンジニアリングも好みでした。
アンドレ3000「New Blue Sun」
アウトキャストのメンバーであるAndré 3000の初ソロ作品。フルートによるジャズアンビエント、と言ってしまうと少しとっつきにくいイメージを抱いてしまうかもしれませんが、ひじょうにポップな印象を受けました。フルート演奏は勿論、その断片に施されたグラニュラー処理に耳を惹かれましたが、Living Recordsの設立者であるMatthewdavidも参加しており納得です。普段シンセサイザーばかり触れている身からすると、息遣いや、それによるアーティキュレーションがダイレクトに伝わる楽器の表現力の魅力をひしひしと感じました。
<プロフィール>
柴田(シバタ)
西山とともに2015年に関西で音楽ユニット・パソコン音楽クラブを結成。パソコン音楽クラブはRoland・SCシリーズやヤマハ・MUシリーズなどの1990年代のハードウェア音源モジュールを用いたサウンドを特徴とし、2018年6月に初の全国流通盤となるフルアルバム「DREAM WALK」を発表した。最新作は2023年5月発表のアルバム「FINE LINE」。他アーティストへの楽曲提供やリミックスでも個性を発揮している。個人ではDJなどでも活動。
柴田(@lnu_wanwanwan) / X
PASOCOM MUSIC CLUB
原口沙輔 @sasuke_maschine
私もおります🫴
2023の気持ち https://t.co/4qkGnAzoFg