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高杉真宙

私と音楽 第18回 バックナンバー

高杉真宙が語るBUMP OF CHICKEN

僕の核を構成し、強く染み付いている音

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各界の著名人に“愛してやまないアーティスト”への熱い思いを聞くこの連載。今回は俳優の高杉真宙に、自身の人間性にも影響をおよぼしたというBUMP OF CHICKENの魅力について語ってもらった。

取材・文 / 酒匂里奈(音楽ナタリー編集部)撮影 / 草場雄介

歌詞が持つ魅力

BUMP OF CHICKENの音楽と出会ったのは、中学1、2年生のときです。実は今もなんですけど、幼い頃からそこまで音楽を聴くほうではなくて。BUMP OF CHICKENは友達に「カッコいいよ」と薦められて、「ユグドラシル」「jupiter」「orbital period」などのアルバムを貸してもらったのがきっかけです。聴き始めた当初は「セントエルモの火」など激しめの曲が好きだったんですけど、聴き込むうちにだんだん静かな曲が好きになっていきました。それが不思議だったんですけど、やっぱり歌詞が魅力的だからだと思います。歌詞を見ながら音楽を聴くようになったのはバンプの影響ですね。もちろんメロディをパッと聴いて好きだなと思う曲もあります。でもバンプは、歌詞を見ながら聴けば聴くほど好きになっていく曲が多いんです。特に中学生のときは「この歌詞はどういう意味なんだろう」と考えながら聴くことが多かったです。「R.I.P.」は「難しい……!」と思いながら歌詞カードをずっと眺めてました(笑)。昔は全然わからなかったんですが、今意味を考えながら聴くと当時とは違った感じ方をしていますね。

中2の頃にアニメにもハマり始めて、アニソンもその頃に聴くようになりました。バンプはアニメのタイアップ曲を担当されていることも多いですよね。藤原(基央 / Vo, G)さん自身もアニメ好きで、「アルエ」は「新世紀エヴァンゲリオン」の綾波レイについて歌った曲だそうです。アニメのタイアップ曲の中では、「sailing day」が好きですね。実は劇場アニメ「ワンピース THE MOVIE デッドエンドの冒険」の主題歌だということはあとから知ったんですけど、この曲のミュージックビデオを観たときに衝撃を受けたので。どう表現したらいいのかな……率直に言うと、僕は泥臭かったりダサかったりする感じが好きなんです。このMVはまさに、ちょっとしたダサさがありつつ、すごくカッコいいんです。ほかにもいろいろ好きなMVはあるんですけど、「sailing day」はつい何回も観ちゃいますね。「ray」のMVも好きです。映像が綺麗で「sailingday」とはまた違った魅力があるんです。同じ映像の話にはなりますけど、バンプが2014年に「ミュージックステーション」に出演したときは感動しました。テレビには出ない出ないと言われていたので、リアルタイムで観れてうれしかったです。あとゲームのタイアップソングだと、「ファイナルファンタジー零式」(2011年10月に発売されたPlayStation Portable用ソフト)のテーマソング「ゼロ」はハマった曲の中の1つですね。

楽曲の世界が想像できる

バンプの作品にはいつもシークレットトラックが入っていて、それがすごく素敵なんですよ。「orbital period」に収録されている「BELIEVE」とか、メンバーさんがずっとおちゃらけてる感じで話している曲が特に好きですね(笑)。シークレットではないほかの曲だと、アルバム「COSMONAUT」に入っている「HAPPY」を最近よく聴いています。昔はそこまでよく聴く曲じゃなかったんですけど、気付いたら誕生日にこの曲を聴いて、「今年も必死にがんばろう」と思うようになっていました。僕は元気付けられるような歌詞の曲が好きみたいで、「ダイヤモンド」も仕事が大変なときなどに聴いています。とにかくバンプの曲はどの曲も好きだから一番好きな曲はなかなか決められないですが……「魔法の料理 ~君から君へ~」は夜の帰り道に聴きたい曲だな。「ロストマン」や「ナイフ」も好きです。学生時代に聴いた曲は特に強く印象に残っている気がしますね。バンプの音楽を聴いていると、その楽曲が持つ世界観みたいなものが想像できるのも楽しいです。「スノースマイル」は特に情景が思い浮かぶ曲。その情景に合うときに聴きたくなるので、雪が降った日に「雪だ、寒いなー!」と思いながら聴いたりしています。「ラフメイカー」は、初めて聴いたときに、まるで絵本を読んでいるみたいというか、絵本に音楽が付いているような印象を受けました。

こんな大人になりたい

友達と2人で行った「BUMP OF CHICKEN 2013 TOUR "WILLPOLIS"」の日本武道館公演はすごく記憶に残っています。実はバンプのライブにはこの1回しか行ったことがないんです。そもそもライブ自体、人生の中で数えられるほどしか行ったことがなくて。この日は新曲として「ray」が披露されたのをよく覚えています。

僕は普段は1人で音楽を楽しむことが多いので、ライブならではの一体感を感じられたのは楽しかったです。みんなの感動や熱意が1つになって、その場所に集中しているのはすごいなと思いました。あとライブだと、CD音源とは違う部分とかもあって、それが耳に残って、そのあとその曲を聴いていると、ライブの瞬間が蘇ってきたりもしてうれしくなりましたね。少し違う視点で考えると、藤原さんが自分で書き連ねた思いや感情、本音みたいなものをライブで吐き出しているのはすごいなと思いました。僕ならちょっと恥ずかしいなと思ってしまうので……僕が仕事をしているときに出している感情は、あくまで演じている“役”のもの。僕の感情じゃなくて、役を通した感情ですから。でもバンプのメロディや歌詞には、きっと藤原さんのいろいろな思いや感情が込められていると思うんです。それをあんなに大きな会場で躊躇なくさらけ出して、あんなに大勢の人たちの感情を受け止めてライブしている姿を見たら、「カッコいいな」と自然に思いました。

あと、メンバーさんの関係性も好きです。基本的にチャマ(直井由文 / B)さんが盛り上げ役で、バンドを引っ張っていく存在というイメージ。ほかのメンバーさんはわりと静かな方なんですけど、そのバランスも含めて好きですね。よくチャマさんのTwitterを見るんですけど、毎年メンバーさんの誕生日に写真や動画を上げていて、それがすごく素敵で。ライブのMCでも楽しそうにお話ししていて仲のよさが伝わってくるし、学生の頃は特に「こんな大人になりたい」と思っていました。メンバーさんの人柄は音楽を聴いているだけではわからないですけど、ライブへ行ったり、雑誌を読んだりして好きになりましたね。ライブに行ったあとに買ったライブDVD「BUMP OF CHICKEN GOLD GLIDER TOUR 2012」は、なけなしのお金で手に入れたので思い入れがあります。バンプ関連で一番思い入れがあるものは、バンプの曲しか入っていないiPodで、そのiPod には古い曲も全部入っているのでそれを持ってきたかったんですけど、どこかにいってしまって……。

会っても何も話せない

仕事で自分の役に必死に向き合っていると、私生活がなんとなく白黒に思えることがあるんです。でもバンプの曲を聴くと彩りが生まれる。精神的にキツいときに聴いて支えられたり、友達とカラオケでバンプの曲を歌って「明日もがんばろうぜ」と思うことができる。僕が仕事をするうえで重要なものですね。バンプと出会わなかったらいろいろな部分で挫折していたと思うので、本当に出会えてよかったと思います。

今の夢は、バンプが主題歌の作品に出ることです。本当にちらっとでもいいので……これはいつか絶対叶えたいですね。でももし実際にメンバーさんに会えたら、恥ずかしくて緊張して、何も話せないと思います。むしろできるだけ話さないようにするかもしれないです……得じゃない性格ですよね。ガンガン話せる性格だったらよかったのにな。声優さんやアニメーターさんもそうですが、自分の趣味の世界を作っている方たちと会うとどうしても緊張してしまうんですよね。その中でもバンプはある種僕の核の部分を構成したというか、人間性に影響をおよぼしたアーティストで、神様的な存在。だから絶対何もしゃべれないと思います。でも「ありがとうございます」と感謝は伝えたいです。仕事をするうえで、「食らいついていくぞ」と思えるのはバンプのおかげ。バンプの音楽が自分の核であるという部分は僕に強く染み付いていると思いますし、これからも変わらないと思います。

高杉真宙

福岡県出身、1996年7月4日生まれの俳優。2009年に舞台「エブリ リトル シング'09」で俳優デビューし、2015年放送のフジテレビ系「明日もきっと、おいしいご飯~銀のスプーン~」でドラマ初主演を果たした。主な出演作は映画「ぼんとリンちゃん」、テレビ東京系「セトウツミ」、映画「ギャングース」、映画「十二人の死にたい子どもたち」など。2018年の劇場アニメ「君の膵臓をたべたい」では声優として初主演を務めた。2019年にはテレビ朝日系「サイン―法医学者 柚木貴志の事件―」で警部補・高橋紀理人に、NHK総合「サギデカ」では振り込め詐欺グループの実行犯・加地颯人に扮した。現在公開中の吉岡里帆主演映画「見えない目撃者」では、主人公に協力する高校生・国崎春馬を演じている。

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