アーティストを作った名著 Vol.10 [バックナンバー]
タカハシマイ(Czecho No Republic)
一見ファンタジックな“人間の本質”が描かれている3作
2019年3月26日 17:00 1
日々創作と向き合い、音楽を生み出し、世の中に感動やムーブメントをもたらすアーティストたち。この企画はそんなアーティストたちに、自身の創作や生き方に影響を与え、心を揺さぶった本についてを紹介してもらうものだ。今回
01. 「羊をめぐる冒険」(講談社文庫)
著者:村上春樹
誰もが持っている人間臭い生々しさ
学生の頃に初めて読んで衝撃を受けた作品です。描写が独特で奇妙で美しくて一気に村上春樹ワールドにのめり込んだのを覚えています。「羊」というキーワードなどなんとなくファンタジックにかわいらしく聞こえる要素が多いのですが、そうじゃなくどこか暗いエネルギーのような誰しもが持っている寂しさのような人間臭い生々しさを感じて、童話とフィクションが混ざり合った不思議な世界に連れて行ってくれるところが好きです。性についての描写も生々しさを残しつつ、独特な言葉のチョイスや比喩の使い方が美しくて好きなんです。あるシーンで主人公の彼女が言った「つまり、あなたの人生が退屈なんじゃなくて、退屈な人生を求めているのがあなたなんじゃないかってね。それは間違ってる?」にハッとさせられたのを覚えています。
02. 「アミ 小さな宇宙人」(徳間文庫)
著者:エンリケ・バリオス
「きみはいま、この瞬間、幸せかい?」
Czecho( No Republic)の武井(優心)さんに教えてもらって読み始めたアミ。今私が一番お気に入りの、人生のお手本にしている本でもあります。「見えるもの、聞こえるものに、よろこびを感じること、手で触れること、自覚して呼吸すること、嗅ぐこと、味覚を味わうこと、たったいまの現在を満喫することだよ。きみはいま、この瞬間、幸せかい?」生きるうえで忘れてしまいがちな大切なことを小さな宇宙人アミは教えてくれました。さくらももこさんが表紙を描いていて一見子供向けのファンタジーかと思いきや、大人が読むべき心温まるメッセージがたくさん詰まっています。登場するキャラクターもみんな愛おしく、さまざまな星の描写もリアルで、想像しただけでワクワクが止まりません。「これから語る全てのことは僕の単なるファンタジーにすぎず、子供のおとぎ話です」主人公ペドゥリートはこうつづっていますが、アミからのメッセージは紛れもない真実が込められていると信じています。この本に出会えたことに心から感謝しています。
03. 「ダレン・シャン」(小学館)
著者:ダレン・シャン
予期せぬストーリー展開に大人でも涙する
私が小説にハマるきっかけになった、大人になった今も好きな作品。図書館でなんとなく借りて読み始めたダレン・シャンは小学生の私の好奇心を不気味な笑みでくすぐり続けて、気付けば心を鷲掴みにされていました。今思えば小学生に読ませてOKなの? ってくらいリアルで残酷で人間の悪の部分も明確に描かれていて、バンパイアの物語、という部分だけがファンタジー要素を含んでいるような。だからこそハリー・ポッターよりも小説で言えばダレン・シャンのほうが断トツで好きだったのかもしれません。狼人間とかガイコツ男とか顔からひげを出し入れ自由な女とか、奇妙すぎるサーカス団にもワクワクするし、でもそれはお通しのようなもので。予期せぬストーリー展開に大人でも涙を流してしまうと思います。本当の悪とはなんなのか。子供ができたら読ませたい作品です。
関連記事
Czecho No Republicのほかの記事
リンク
- Czecho No Republic
- タカハシマイ (@iamihsahakat) | Twitter
- タカハシマイ (@iamihsahakatiam) | Instagram
※記事公開から5年以上経過しているため、セキュリティ考慮の上、リンクをオフにしています。
音楽ナタリー @natalie_mu
【アーティストを作った名著 Vol.10】タカハシマイ(Czecho No Republic)
|一見ファンタジックな“人間の本質”が描かれている3作
https://t.co/EwuhrqXtx2
#タカハシマイ #CzechoNoRepublic #本 #村上春樹 #エンリケバリオス #ダレンシャン