アーティストたちに、自身の創作や生き方に影響を与えた本を紹介してもらうこの連載。今回は
01. 知的生産の技術(岩波新書)
著者:梅貞忠夫
情報の整理の仕方は不変
そもそも情報を集めて整理するということ、それらから思考するとはどういうことかがまとめられた1969年発行の名著。と言われ中学時代に読まされていたのですが、今に至るまで情報の整理の方法は不変。ツールの変化や今に合わせて読み替えることは重要だとは思いますが、まず「持っている / 集められる情報」を確認し、それらを組み換えて自分のものにしていくという考え方は音楽を作るうえでも、今に至るまで非常に影響を受けたと言えると思う。
02. さよなら未来――エディターズ・クロニクル 2010-2017(岩波書店)
著者:若林恵
人文知を重んじる姿勢に勇気付けられた
「WIRED」というメディア、そのとくに若林編集長時代には非常にたくさん勇気付けていただいた。それはひとえにやっぱり若林さんという人の文化やメディアに接する姿勢にあると思う。最新テクノロジーを題材にしながら人文知を重んじる……というかそれらを通してテクノロジーを見る姿勢にはとても勇気付けられた。もっと早く、もっと大きく……そんなインターネット以降の新たな産業革命の波の中を生きていくとき、情報の中から何を選びとるのか、何のためにそれらを使うのか、改めて考える。
03. 評伝 国吉康雄―幻夢と彩感(福武文庫、絶版のため書影なし)
著者:小澤善雄
落ち着いたら絵を観に行きたい
これはけっこう最近読んだ本。国吉の「誰かが私のポスターを破った」という絵画を見て新作に収録の同名タイトルの楽曲(ミニアルバム「TBEP」収録の「SOMEBODY TORE MY P」)を作った。想像を広げるために国吉の評伝的なものをいくつか読んだ(この本に限らず)が、とても興味深く、またこの絵に自分がグッときたのもわかるような気がした。日本に生まれアメリカに渡り、そこで絵画を始めアメリカで才能を開花させた国吉の人生、移民としてのアイデンティティとその中で生まれていった絵画群。この状況が落ち着いたら早く各地に絵を観に行きたい。
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河村書店 @consaba
今回はtofubeatsが中学生の頃に読んだという古典的名著や、3月に配信された最新ミニアルバム「TBEP」に関連する本を紹介してくれた。『知的生産の技術』『さよなら未来』『評伝 国吉康雄』 https://t.co/dC03bH12p9