mito LIGHT HOUSE

店長たちに聞くライブハウスの魅力 第8回 [バックナンバー]

茨城・mito LIGHT HOUSE

地元アーティストに魅了された店長が語る30周年目前ライブハウス

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全国のライブハウスの店長の話を通して、それぞれの店の特徴や“ライブハウスへ行くこと”の魅力を伝える本連載。第8回は茨城・mito LIGHT HOUSEの店長・稲葉茂氏に登場してもらった。もともとはライブハウスで働くことに興味がなかったという稲葉氏に、店長に就任した経緯や店のこだわりについて聞いた。

取材・/ 酒匂里奈(音楽ナタリー編集部) 撮影 / タマイシンゴ

高校1年生の頃から通った店

「この店は1989年11月にオープンして、今年の11月で30周年を迎えます。立ち上げたのは前任の店長で、僕は2代目店長として2003年から勤めています。店には設立2年目くらいからバンドマンとして通っていて、通い始めた頃はまだ高校1年生でした。客としてライブを観に来たこともたくさんあって、ロカビリー、パンク、ヴィジュアル系などあらゆるジャンルのライブを観ました。当時の水戸はバンドがツアーで来るような街ではなくて、この店も地元の先輩がライブをやっていることが多かったですね。だから自分のバンドの目標や指針は先輩たちでした。中高生の頃って、1、2個学年が上の人たちがカッコよく見えるんですよね」

mito LIGHT HOUSE

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最初はライブハウスで働くことにまったく興味がなかった

「高校卒業と同時に上京して、それから何年か経った1998年にmito LIGHT HOUSEが今の場所に移転したんです。移転のタイミングで前任の店長から『ブッキングが思うようにできなくて、手伝ってくれないか』と連絡がきたんですよ。『ブッキングのやり方とかわからないけど』と戸惑いつつも、地元のライブハウスだし何かしらは役に立てるかもしれないと思って働くことにしました。ただ俺も東京で働いているし、毎日ではなく、少し手伝うくらいという条件付きで働き始めました。正直に言うと誘われたときはライブハウスで働くことにまったく興味がなくて。でも水戸に帰って来て地元のアーティストと触れ合ったが最後。気付けば今に至っています(笑)」

mito LIGHT HOUSEの2代目店長の稲葉茂氏。

mito LIGHT HOUSEの2代目店長の稲葉茂氏。

裏方とアーティストは“音楽人”同士以前に“人”同士

「店で働き始めたときからずっと自分がブッキングを行っていて、ジャンルにこだわりはありません。対バンライブだと『このアーティストとこのアーティストだと面白い化学反応が起きるかな』と想像して組むことが多いですね。ブッキングって難しいもので、こちらと相手の考えが同じでないと組めないし、スケジュールの問題もある。100%うまくいっているとは言えませんが、うちは比較的いろんなアーティストに出てもらえていると思います。なぜかと言うと、勝手な考えですが“人と人とのつながり”を大切にしているからだと思っています。大きなくくりで言えば我々裏方とアーティストは“音楽人”同士だと思いますが、それ以前に“人”同士なんですよね。だからできる限り毎公演打ち上げを開催して、参加するようにしています。アーティストと“人と人”として触れ合いたいから。もっとシンプルに言えば、“友達になりたい”と思っています」

mito LIGHT HOUSEの受付ブース。

mito LIGHT HOUSEの受付ブース。

入場無料をきっかけにライブハウスに足を運んでもらいたい

「2004年からほぼ毎年、入場無料の『水戸ライトハウス感謝祭』というイベントを行っています。出演者は、将来活躍するであろう地元のアーティストたち。いつもご来場くださっている方々に感謝を伝える意味はもちろん、入場無料ということをきっかけにライブハウスに来たことがない方にも足を運んでもらえればと思って始めました。今年は2月9日に『水戸ライトハウス感謝祭'19~STOP THE DRUG~』と銘打って開催しました。このイベントの出演者は全員注目していますね。中でもgoomieyという3ピースのガールズロックバンドは面白いです。今年の春に高校を卒業する子たちで、歌が抜群にいい。ほかには弾き語りをしている高校2年生の花梨という女の子も出演してくれて、この子も天性のセンスを持ってます。恐らく今後世に出ていくんじゃないかと。あとイベントということでは、今年の秋頃に店の30周年記念ライブを実施する予定です」

mito LIGHT HOUSEの店内。

mito LIGHT HOUSEの店内。

 「水戸ライトハウス感謝祭2019 ~STOP THE DRUG~」フライヤー(画像提供:mito LIGHT HOUSE)

 「水戸ライトハウス感謝祭2019 ~STOP THE DRUG~」フライヤー(画像提供:mito LIGHT HOUSE)

地元アーティストや茨城県についてラジオで発信

THE BACK HORNは結成初期からうちでライブをやっていたこともあって、メンバー全員と仲がいいんです。茨城県出身の山田将司(Vo)とは、東日本大震災以降『一緒になんかやろう』という話を自然とするようになりました。それで2011年に東京で『よかっぺBAR』という震災復興イベントを2人で開催しました。そのあと2014年にIBS茨城放送の人がラジオ番組の話をくださって。まあ自分がずっと『ラジオ番組をやらせろ』と言っていたのもあるんですけど(笑)。放送局の人に山田と自分の2人で地元アーティストや茨城県について発信するような内容にしたいと相談して、『よかっぺらじお』という番組をやらせてもらってます」

山田将司(THE BACK HORN / Vo)が手書きしたポスターが店内に飾られている。

山田将司(THE BACK HORN / Vo)が手書きしたポスターが店内に飾られている。

“自分たちにできること”を考えて実施した震災復興イベント

「思い出深いライブは、2011年3月、東日本大震災直後にBRAHMANが出演してくれた震災復興イベント『幡ヶ谷再生大学 茨城キャンパス』です。震災が起きてから1、2週間は何もできず、ライブは40本近くキャンセルになるし、『これは本当に店が潰れるんじゃねえか、どうしよう……』とまったく先が見えない状態でした。そんな中BRAHMANのTOSHI-LOW(Vo)から突然夜中に電話がかかってきて、『どうせいっぱい公演飛んだんだろ。それなら俺らにライブをやらせろ』と言ってくれたんです。あの日のライブは忘れられない。当時被災地に必要な物はもっとほかにもあったと思うけど、TOSHI-LOWと話し合って『自分たちにできることってこれしかないじゃん』と実施を決めました。あの時期にライブを行うことについて、正しい・正しくないなどいろいろ意見もありましたが、やってよかったと思います。ライブ中泣いているお客さんも多く、自分も彼らのライブを観て心に火を灯されたのを今でもしっかり覚えています」

mito LIGHT HOUSEのステージ。

mito LIGHT HOUSEのステージ。

ライブハウスは生のアーティストが奏でる生の音が感じられる

「ライブハウスに行くことの魅力は、アーティストとの距離感じゃないですかね。イヤフォンなどで音楽を聴いても、自分とアーティストとの間に機械が入っちゃうし。ライブハウスってどこよりもアーティストに近くて、生のアーティストが奏でる生の音が感じられますから。そしてmito LIGHT HOUSEの魅力は、ぜひ実際に来ていただいてご自身で体感してもらえればと思います(笑)」

来場者から贈られた垂れ幕。

来場者から贈られた垂れ幕。

店舗情報

mito LIGHT HOUSEのロゴ。

mito LIGHT HOUSEのロゴ。

住所: 〒310-0021 茨城県水戸市南町3-3-28
アクセス:JR常磐線水戸駅より徒歩20分
営業時間:公演により異なる
定休日:なし
ロッカー:なし ※クロークあり
駐車場:なし
再入場:公演により異なる
キャパシティ:350人
ドリンク代:500円
フリーWi-Fi:なし
貸切:可
※情報は2月27日時点のもの。

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読者の反応

  • 7

あ_さ_か_な_ @a_sa_kana

ライブハウス
やはり 茨城地元なので
#私の好きなライブハウス は
mito LIGHT HOUSE
水戸ライトハウス✨
キャパ350
https://t.co/ttU4as05PC

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