沖縄Output外観

店長たちに聞くライブハウスの魅力 第21回 [バックナンバー]

沖縄Output

沖縄の音楽シーン活発化に貢献、ボーダーレスなブッキングを展開するライブハウス

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全国にあるライブハウスの店長の話を通して、それぞれの店の特徴やライブハウスへ行くことの魅力を伝えるこの連載。今回は過去に東京・下北沢SHELTERの店長を務めた経験もある沖縄・沖縄Output店長の上江洲修氏に登場してもらい、受け身にならないブッキングスタイルなどについて話を聞いた。

取材・文・撮影 / 田中和宏

沖縄の音楽シーンを盛り上げたい

沖縄Output・上江洲修店長。

沖縄Output・上江洲修店長。

Outputは那覇市の観光地として多くの観光客でにぎわう国際通りにある。オーナーの濱里圭氏、店長の上江洲修氏によって2012年3月にオープンし、2019年12月に今のビルに移転した。上江洲店長は、「前の店舗は中心地から少し離れたところにあったんですが、今は国際通りの中心地にあります。移転したことでフロアが地下から2階になったので、窓もあるし、ホールも楽屋も広くなったし、快適な環境ではあります。空港からも近いし、飲食店、ホテル、ゲストハウスも近くにたくさんありますので、便利だと思いますよ」とその立地における利便性を語る。終電を気にする人も多い都内のライブハウスと違い、この店では近くに宿を取った人たちが打ち上げで朝方まで盛り上がることもしばしば。「沖縄の人たちは酒に強いと思われることもあるんですけど、酔いつぶれる人もいますよ(笑)」

沖縄Outputフロア入り口。

沖縄Outputフロア入り口。

沖縄Outputドリンクスペース

沖縄Outputドリンクスペース

上江洲店長は沖縄県南城市出身。2001年頃に上京して新宿LOFTなどLOFTグループのライブハウスでブッキング、Naked Loftの立ち上げなどを経験し、下北沢SHELTERでは店長を務めた。

「下北沢SHELTERの店長を辞めたタイミングで、沖縄に帰りまして、そのままOutputに入ったんです。今は義村(智秋)さんがSHELTERで店長してますけど、僕がやってたときのSHELTERはbloodthirsty butchersなどの北海道のミュージシャンもいたし、東京や各地のパンクバンドが出てるイメージもあるハコでしたね。あとアイドルや劇団を根付かせたくて、それまで昼にやっていたオーディションライブの代わりに昼間にイベントをやって。そこで出会ったのが最初のBiSとか、水野美紀さんがやっていた演劇ユニットのプロペラ犬とかなんですよね。昼公演のノルマを達成したら夜にも進出していきましょうっていう流れで」

上江洲店長は沖縄のライブハウスの印象について「地方あるあるかもしれませんが、東京よりは受け身が多いんですよね。いわゆる箱貸しの形がメイン」と話す。

「僕はそんなスタイルを変えたくて、もっとライブハウスに人格というかキャラクターを持たせたいなって思ったので、ライブ制作を特にがんばってます。それこそ下北沢SHELTERで観ていたバンドを呼んで、沖縄のバンドと対バンさせるとか。沖縄のバンドシーンを盛り上げたいのと、沖縄のバンドマンたちに自信を持ってもらいたいという気持ちも強いです」

ドリンクカウンターではオリジナルグッズを販売。子供用に防音イヤーマフの貸し出しも。

ドリンクカウンターではオリジナルグッズを販売。子供用に防音イヤーマフの貸し出しも。

確かに沖縄Outputでは毎年の周年を祝うアニバーサリーライブを多数開催しており、そのたびにプレスリリースを関係各所に送っている。そういった企画の中にも、沖縄のアーティストをおもんばかる気持ち、そして県外のアーティストが沖縄にやって来る機会を生み出すという意図があるようだ。

東京にはない組み合わせの対バンも続々

沖縄Outputフロアスペース

沖縄Outputフロアスペース

沖縄Outputステージ

沖縄Outputステージ

沖縄の音楽シーンのチェックには、インターネットを活用するのはもちろんのこと、ラジオを使うことも多いという。沖縄では全国的に見てもトップクラスでラジオ聴取率が高く、ローカル局がスポット情報の発信にも力を入れている。「20:00から放送しているラジオ番組を聴くと、いろんな沖縄アーティストの曲も流れるので、沖縄のバンドシーンを知ることができる。それをメモして、ブッキングすることも多いです」という上江洲店長。彼はブッキングに対する考えについて「ジャンルに対する縛りはまったくなくて。バンドでもシンガーでも活動テーマやコンセプトがしっかりあるといいなって。そういう人たちの近況をチェックしたり、ライブを実際に観ると、『この組み合わせは面白いかも』とひらめくこともあります」と柔軟な姿勢を示しており、最近ではお笑い芸人を招くこともあるという。沖縄とそれ以外の地域のアーティストという組み合わせを中心とした、Outputならではのブッキングであることも多い。「2017年になりますけど、BiS、地獄車、RYUKYU IDOLという組み合わせでライブをやったこともあります。あのときは渡辺(淳之介 / WACK代表)さんにお願いして、ツアーのワンマンとは別に、沖縄のアーティストとの対バンライブに出てもらいました」と振り返る。

沖縄Output・上江洲修店長。

沖縄Output・上江洲修店長。

沖縄Outputのミラーボール。

沖縄Outputのミラーボール。

対バン以外で近年Outputのステージに立ったのは、踊ってばかりの国、小山田壮平、竹原ピストル、水曜日のカンパネラといった面々。この春には「Output 11th ANNIVERSARY」と銘打ち、Outputと関わりのあるアーティストが出演する公演が続々と行われる。さとうもか、ASPによるツーマンライブが決まっていたりと、“ありそうでなかった”対バンライブを楽しめるのもOutputの魅力と言えるだろう。さらにワンマンライブでは七尾旅人、曽我部恵一、サニーデイ・サービス、SHERBETSらの公演が控えている。上江洲店長はOutputまでライブをしにやって来る県外アーティストに対しての思いを、こう述べている。

「どのアーティストもそれぞれ関係性があって、よくしていただいてるんです。コロナ禍でもツアーを組むときにOutputを入れてくれるアーティストがたくさんいらっしゃって。沖縄まで来てライブをやってくださるのは本当に感謝しかないです」

店舗情報

沖縄Output看板

沖縄Output看板

住所:〒900-0013 沖縄県那覇市牧志2丁目3-22 高良産業ビル 2F
アクセス:那覇空港から
国道332号を東に進み車で15分 / 那覇空港駅からゆいレール 牧志駅を降りて徒歩5分
営業時間:公演により異なる
定休日:なし
ロッカー:なし
駐車場:近隣にコインパーキングあり
再入場:公演により異なる
キャパシティ:150人(オールスタンディング時)
ドリンク代:600円
フリーWi-Fi:なし
貸切:あり

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