大林宣彦の特集が東京国際映画祭で、新作「海辺の映画館」初上映も

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第32回東京国際映画祭で、大林宣彦の特集企画が行われることがわかった。

大林宣彦 (c)PSC

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1977年に「HOUSE ハウス」で商業映画に進出し、以降「転校生」「時をかける少女」「さびしんぼう」など多くの作品を手がけてきた大林。近年は“大林的戦争三部作”と称される「この空の花 長岡花火物語」「野のなななのか」「花筐/HANAGATAMI」を発表した。

「海辺の映画館―キネマの玉手箱」 (c)2020「海辺の映画館―キネマの玉手箱」製作委員会/PSC

「海辺の映画館―キネマの玉手箱」 (c)2020「海辺の映画館―キネマの玉手箱」製作委員会/PSC[拡大]

この企画は、現在の日本を代表する作品が映画祭独自の視点でセレクトされるJapan Now部門で実施される。大林は「普段皆様が見る事の出来ぬ映画を、この際ご覧いただけたらと」とコメントした。現時点では監督最新作「海辺の映画館―キネマの玉手箱」が初めてスクリーンにかけられることが決定しており、そのほかの上映ラインナップは後日発表される。

第32回東京国際映画祭は、10月28日から11月5日にかけて東京・六本木ヒルズ、EX THEATER ROPPONGIで開催される。

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大林宣彦 コメント

「自由に生きよ、それが平和の証だ」と父に言われ、当て所も無く18歳で上京した僕に、形見代りに持たせてくれた8ミリ映画を用い、銀座の画廊の一角で自作の8ミリ映画を上映した所、「新しきフィルム・アーチスト誕生」と世界から認定され、以降60年間テレビCM演出を資金に個人映画を創り続けて来ました。
東宝映画からの招きで、門外漢が初めてメジャーの撮影所内で撮った「HOUSE ハウス」から、ジャンルを選択すれば如何なる純文学も商業映画になり得ると学び、あの太平洋戦争の純真な軍国少年であった体験を元に、様々なジャンルの映画にその思いを潜めつつ「厭戦映画」を作り続けて来ました。
「売れない作家の女房になる覚悟」で61年間、僕の映画を支え「私が最初の観客よ」と世界と僕の映画を結びながら共に生きて来た大林恭子と11歳で「HOUSE~」の原案者に名を連ねた長女千茱萸、ご亭主の絵の作家森泉岳土、そして親しい旧・新の世代の仲間たちと、今日も映画作りに励んでおります。
上映作品を自ら選むのは難しい。普段皆様が見る事の出来ぬ映画を、この際ご覧いただけたらと。
時代はいつか、個人映画ばかりになり、僕が願った映画作りの世になりました。その個人の自由と権力者の不自由の証を、愉しんで下されば、と。僕の正体が炙り出されれば、愉しいかな。

安藤紘平(Japan Now部門 プログラミングアドバイザー)コメント

大林宣彦監督は、今ではほとんどの監督にとって当たり前であるインディペンデント映画監督の先駆けである。
商業映画初監督の「HOUSE ハウス」で撮影所監督にはない独特のタッチで世を驚かせ、70年代から80年代の日本映画を尾道3部作など“大林ワールド”と呼ばれる幻想的で詩的な作品で牽引してきた。近年、再び実験的で独特の語り口を駆使し、一貫した平和思想と人間愛を軸に、みずみずしい映画を創り続けている。
大林映画の中では、死んだ大切な人が、歴史と失われた青春が、それぞれの想い出が、そして夢のハッピーエンドが映像に描かれ、後から現実が追いかけてくる。
今年の「JAPAN NOW」では、そんな、日本映画のレジェンド大林宣彦監督の特集として、代表的作品とゲストを交えてのトークをお楽しみ頂けます。

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わたなべりんたろう @RintaroWatanabe

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