葬儀と告別式は家族葬を執り行い、後日、お別れの会を予定。喪主は妻で映画プロデューサーの大林恭子が務める。2016年8月に肺がんと診断され、余命の宣告を受けていた大林。転移を繰り返すがんと闘いながら、自らの命を削って完成させた最新作「海辺の映画館―キネマの玉手箱」は当初、命日となった4月10日の封切りを予定していたが、新型コロナウイルスの影響により公開延期が発表されていた。
1938年、広島・尾道市で生まれた大林は、3歳のときに自宅の納戸で見つけた活動写真機と戯れるうちに映画作りをスタート。テレビCM草創期にはチャールズ・ブロンソンの「マンダム」をはじめ、カトリーヌ・ドヌーヴなど多くの外国人スターを起用し、3000本を超えるCMを制作した。
1977年に「
2010年代には“大林的戦争三部作”となる「
自身の戦争体験から、常に平和へのメッセージを伝えてきた大林。2018年3月17日に東京・ポレポレ東中野で行われた特集上映「大林的戦争三部作」の舞台挨拶に登壇した際には、「あなたたちの時代はあなたたちが守り、作らなければならない。戦争という馬鹿なことを起こさないようにする、それが生きてる人間の責任です。そのことを映画は楽しくエンタテインメントとして味わわせてくれる。そこに映画というものの偉大なる力があると思います」と次世代の観客に向けて語りかけた。そして、2019年11月1日に東京・TOHOシネマズ 六本木ヒルズで開催された第32回東京国際映画祭での「海辺の映画館―キネマの玉手箱」舞台挨拶では、「あと2000年、3000年は生きて作ろうと思っています」と力強くコメントしていた。
なお「海辺の映画館―キネマの玉手箱」は近日公開を予定している。
ビニールタッキー @vinyl_tackey
平和を祈る長岡花火大会の戦後初の中止が発表され、本来は『海辺の映画館 キネマの玉手箱』の公開日だった4/10にお亡くなりになったとは…あまりにもつらい。悔しい。
大林宣彦が82歳で死去、長年にわたり平和への願い伝える https://t.co/Ep4eJpvInI