グループ魂結成15周年記念興行は抱腹絶倒の2時間半に

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グループ魂が5月17日に渋谷C.C.Lemonホールでワンマンライブ「公園通りでSEARCH&片思い」を開催。客席を埋め尽くした満員のファンを前に、笑いありまた笑いありのステージを繰り広げた。

オープニングで執り行われた口上の様子。写真中央で頭を下げているのが、この場限りの登場となった“二代目”港カヲルだ。年齢は8歳とのこと(photo by Toshikazu Oguruma)。

オープニングで執り行われた口上の様子。写真中央で頭を下げているのが、この場限りの登場となった“二代目”港カヲルだ。年齢は8歳とのこと(photo by Toshikazu Oguruma)。

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熱唱する破壊(photo by Toshikazu Oguruma)。

熱唱する破壊(photo by Toshikazu Oguruma)。

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ギターソロを奏でる暴動(photo by Toshikazu Oguruma)。

ギターソロを奏でる暴動(photo by Toshikazu Oguruma)。

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この日は“結成15周年イヤー”と銘打たれた2010年になってから初めてのワンマンライブとあり、会場は期待を募らせた観客で超満員となった。そして定刻を5分程過ぎた頃に客電が暗転。早くも「わぁっ!」という歓声が起こる中、するすると緞帳が上がると、そこには金屏風をバックに横一列に並び正座をし頭を下げたメンバー全員の姿があった。

やんややんやと会場が沸くと、バイト君が「これより『グループ魂結成15周年記念および二代目港カヲル襲名披露興行』を行います!」と声も高らかに宣言する。“二代目港カヲル”の意味は説明されないまま、まずは暴動(G)より挨拶。「作詞作曲、バッキングギターを担当している、暴れるに動くと書いて暴動でございます!」と恒例の肩書きを述べ「グループ魂は今から15年前に渋谷公園通り劇場で産声を上げました」とバンドの歴史を語っていく。さらに「この公演は結成15周年記念、そして破壊こと阿部サダヲが40の大台になった記念、そして先代港カヲルが老朽化により代替わりすることを受け」と誰もが驚くようなこの日の趣旨を説明した。

その後は小園(B)、石鹸(Dr)、遅刻(G)、破壊(Vo)と順番に口上が述べられ、再度暴動に戻ると「7月21日水曜日にシングルをリリースさせていただきます! タイトルは『ラブラブエッサイム'82』!」と発表。さらに、メンバー中央に座したどう見ても子供にしか見えない“二代目港カヲル”がここで初めて発言。サウンドプロデューサーに「ユニコーン、阿部義晴!」を起用したことを2回にわたって宣言し、会場中の喝采を浴びた。後を継いだ破壊は「2度の夏フェスを経て秋にはもう1枚シングルを出します。そして冬にはアルバムを“しっさげ”まして全国興行に出ます! 15公演です! しかも東京は!」と口にし、“二代目港カヲル”の発言を促す。そして二代目が何か言うが、ファンからの声で全く聞こえない羽目に。それを見た破壊が「もっと声を張って! マイクを通さないで! ここで言わないでどうするの! お母さんに言われてきたんでしょ!」と叱咤激励すると、“二代目”が改めて「武道館!」と叫ぶ。すると早くもこの日一番の歓声が会場に響き渡った。

このタイミングで、2F客席にスポットライトが当たる。そこに赤地に金の刺繍を施した裃を身に着けた“先代”港カヲルが姿を見せ、「港カヲルは、グループ魂を辞めへんでー! ミュージック、ステイション!」と絶叫。同時にカラオケで「都会の山賊」を歌いだす。そして2F客席を右に左に徘徊し、ときには2F最前列の観客をはねのけ、そこでビームサーベルのようなおもちゃを振り回し踊りながら熱唱。しばらくして1F客席の後方扉から乱入すると、そのまま通路をステージまでずんずんと歩く。そしてステージに上がるかと思いきや、くるりと身を翻し来た道をバック。PA席近くまで移動し、女性客数人を“ビームレーザー”でつつきまくり、嫌がられる。最後に右手からステージに這い上ると、ぜぇぜぇと荒い息をつきながら「俺はプロレスラーじゃねえぞバカやろコノヤロ! バンバン触るんじゃねえぞコノヤロ!」と言い放ち、またも笑いを取っていた。

港カヲルのMCはさらに続き、突然現れた“二代目”への怒りを表明した後は、築25年のマンションに引っ越したら雨漏りが酷いこと、新調したヘルメットの明かり点灯スイッチが内側にある上に一度電源を落とすと2回目はうまく点かないことなどを吐露。熱く語っているうちにバイト君に「カヲルさん、もう行きましょう!」と肩を叩かれてしまう始末だ。

ここで魂のライブでは恒例となったコール&レスポンスを展開。「Are You元気ー?」「おっぱい元気ー?」というコールに対し、恥ずかしげもなく「Yeah!」とレスポンスするオーディエンス。それに対しカヲルが怒り「『Yeah!』じゃないだろう! 『おっぱい元気?』と訊かれたら『元気元気、元気があれば乳首でエレベーターのボタンも押せる、何階ですかー!』だろう!」と正しいレスポンスをレクチャー。そしてその後、オーディエンスはカヲルの指導に素直に従っていた。ちなみにこの日の模様は録音されていたとのこと。今後どこでこの録音された音が使われるのか、気になるところだ。

改めて、港カヲルが「さぁさぁ今日は誰が一番モテるのか!『公園通りでSEARCH&片思い』、グループ魂改め大事マンブラザーズ、スタートです!」と口上を述べてこの日のライブがスタートした。1曲目には「15周年!」という歌詞が耳に残る、未発表の新曲を持ってくるという攻めの姿勢を見せたグループ魂。これは破壊のほか遅刻、小園、石鹸が順番にボーカルを取る曲だ。続く2曲目には、oiコールの後に破壊の「アイサツしろやー!」という絶叫が続く、ライブの定番ナンバー「アイサツはハイセツよりタイセツ」を演奏。さらに3曲目には、観客のクラップから「半日消防署長」を、4曲目には、破壊の「スシアンドレスポンスしてみますか!?」という煽りから「スシ喰うな!」をパフォーマンス。ここではマグロ、とびっこ、カツオ、アガリ、ガリ、タイ米、かっぱサビ抜き、ホタテなどのさまざまなスシネタを取り入れたコール&レスポンスで盛り上がった。おまけに楽曲の終わりでは、破壊が恒例のスリッパ投げを華麗に披露。この日最初の2個投げも含め、いくつかのスリッパがきれいな弧を描いて客席に投げ入れられた。

続くMCは、破壊が自身の髪型について「いやー、もうソリコミ限界!」と触れるところからスタート。久々のホール公演に対する感慨を「草月ホール(1996年11月の「グループ魂スペシャル『ヒステリー~書斎のシド・ビシャス~』」公演)以来!」と語りつつ、マイクスタンドに指してあるスリッパのストックがもうなくなってしまったため「スリッパないよ、にえくん!」とローディに補充を指示する。さらに魂のMCでは恒例の、時事ネタをバイト君に振ってボケさせる展開も。この日も、某芸能人の恋愛や某容疑者の裁判についてなど、危険なネタをばんばんしゃべっていた。

そして女子高生の制服を模したファッションに身を包んだ港カヲルが上手から姿を現し、「SHIKAN」「High School」を立て続けに披露。この日のカヲルのスカートはいつもより短めで、激しく踊るため真っ赤なパンツがしばしば露になり、そのたびに観客の爆笑を呼ぶ。そして「TAXI乗りたて」では破壊がステージ前の階段を使って客席まで下りるサービスも。

さらにマルコム・マクラーレン死去という振りから、「そういえば港カヲルってグループ魂のマルコム・マクラーレンって設定だった」(暴動)と意外な話が明かされたMCを経て、お色直しをしたカヲルが登場。今度は白いマントに金色の袖無しのスーツを着込み「今日はこれ(衣装)全部新しくしたんだよね!」と告白。そのまま「誰が歌ってもいいコーナー」と題して、石鹸がボーカルをとる「筋肉PUNX ~三宅弘城40歳記念ソング~」になだれ込んだ。

次の「くん兄さん VS アン姉さん」では、詳しく書くのがはばかられるコーラスをオーディエンスが大合唱して盛り上がり、さらに栃木から来たという最前列の男性客をステージに上げ“栃木のくん兄さん”としてコーラスの煽りを担当させる。そして「君にジュースを買ってあげる♥」でも、観客が港カヲルおよびバイト君と同じ振り付けで踊りまくる。ともにライブの定番曲とあり、メンバーと観客の呼吸もぴったりだ。

ところがここで思わぬ発表が。破壊が「実は曲順間違えてしまいまして」とやる予定だった新曲を飛ばしてしまったと告白していると、またしてもお色直ししたカヲルがタンバリンを持って上手からステージに姿を見せる。しかし暴動が「まだだよ!」と戻し、「カヲルさんのキャラがわかんなくなってきちゃった(苦笑)」とぼやく。続いて破壊、暴動がグループ魂結成当初によく出演していた渋谷公園通り劇場の思い出を語ると、バイト君が「特別にあの頃のネタをやってみようよ!」と提案し、時限爆弾のネタを披露するも、見事にすべる。次に、同じくピン芸人として渋谷公園通り劇場に出演した経験を持つ石鹸に話が振られ、当時のネタである「一兆円玉」を見せることに。こちらは大受けとなるオチがついたところで、「じゃあそろそろタンバリンの人呼ぼうか」とカヲルをステージに招き入れた。

次に演奏された新曲は「今年はフェスに出るのでそのための曲」(破壊)と説明されたとおり、音楽フェスティバルの楽しさを歌ったナンバー。続いて「我々の初恋の歌です」(暴動)、「カリフォルニアって感じで、南な感じ!」(破壊)という前振りに続き、7月21日リリースシングルのタイトルチューン「ラブラブエッサイム'82」を披露。サーフサウンドを思わせるギターのフレーズがさわやかな、これからの季節にぴったりの楽曲だ。さらにフロアタムのリズムに乗って遅番(T.Sax)が登場し、代わりにバイト君がステージアウト。そして演奏された「欧陽菲菲 ~グループ魂に横山剣(クレイジーケンバンド)も~」では、遅番がソロを吹いたりカヲルが一部メインボーカルを務めたり、見せ場も盛りだくさんとなった。

そのまま遅番がセンターマイクの前に立ち、次のMCコーナーに。「おそばーん!」とあちこちから飛ぶ黄色い声援に、暴動が「遅番人気あるね!」と驚く。また遅番にバイト君が担当しているボケをやらせようと、破壊と2人でいろいろ時事ネタを振るがなかなか乗ってこない。最後に振ったダブルダッチ解散というネタでやっと食いつく、というお約束の展開を見せ、破壊が遅番の頭をスリッパで叩き「落ち着け遅番!」というハードコアパンクを歌うというオチがついた。

そして「メンバーがやってみたい曲をやってみようのコーナー」では港カヲルが「ミュージック、チョンの間!」と叫ぶと、すけすけの編みTシャツにチェックのボンテージパンツという派手な出で立ちのバイト君が登場。体をくねる独特の動きを見せながら「ともかず ~バイト君40歳記念ソング~」を熱唱した。

ここからはラストに向けて怒濤の展開。バイト君の下ネタでしかない心の叫びから「ペニスJAPAN」をタイトに演奏。破壊は白いライダースジャケットとハーフパンツに、カヲルはダルメシアン柄の全身スーツにサッカー日本代表のユニフォームを着込んだ姿に衣装チェンジし、ステージ上を右に左に駆け回る。破壊が「あと2曲!」と絶叫して始まったのは「チャーのフェンダー」。ラストのギターソロでは遅刻が頭上にギターを掲げて弾き、ファンから歓声が上がる。そして「C.C.Lemon! 改め渋谷公会堂! 今日はありがとうございましたー!!」と破壊が叫び、「グループ魂のテーマ」の演奏が始まった。バイト君のハープソロが冴えるイントロの途中から、ステージ上手で港カヲルが全身スーツを脱ぎ、赤いパンツを脱ぎ、紐パン一丁になって客席に下りる。声援とも悲鳴ともつかない観客の声があちこちから上がる中、ステージでは暴動、小園、遅刻の弦楽器担当3人がフロントに出てアグレッシブに楽器をかき鳴らし、破壊はピックを投げ、スリッパを投げまくる。会場全員がお祭り騒ぎに徹して、本編最後のナンバーはギターのフィードバック音とともに終了した。

照明の暗転後すぐに始まったアンコールを求める拍手に導かれて、ステージには港カヲルが1人で登場。ちなみに衣装は黄色いベースボールキャップに、15周年ロゴがプリントされた黄色のワンショルダースーツだ。そして「知らない曲を一緒に口ずさもうのコーナー」と銘打ち、観客の声を録音し新曲のコーラスにすることを説明。白いライダースとスリムパンツに着替えた暴動、元のTシャツとジーンズに戻ったバイト君がステージに現れ、「珍しい3人」(暴動)で進行を担当する。バイト君が「みんなしっかりしてよ! ズレると半永久的に残るからね!」と心配したにもかかわらず、観客によるコーラスはスムーズに進行。途中、カヲルがクリック音にあわせて「一休さんのテーマ」を歌うなど混ぜっ返す一幕もあったが、暴動が「みんなすげーな!」と感心するほどこの企画は順調に終了した。

続いてバンドが登場し、この新曲を演奏。魂らしくポップでキュンとする楽曲とあり、今さっき初めて耳にしたばかりのオーディエンスも楽しそうに体を揺らす。次は「Over 30 Do the 魂」を披露。歌詞を「Over 40」に変えてみたり、観客に歌わせてみたりといった演出が繰り広げられる。そして「沖縄行きたい」を演奏し、全3曲のアンコールが終了した。

しかしまだ楽しみ足りないとばかりに、会場中がダブルアンコールを要求。短いインターバルを挟み物販アナウンスが行われた後で、明るくなったステージに自転車で乗り入れてきたのはおなじみ、歌舞伎俳優の中村屋華左衛門(破壊)だ。アンコール恒例の「大江戸コール&レスポンス」ではグループ魂15周年をお祝いしつつ、「YouTubeで一番アクセスあるのは『中村屋結婚式バージョン』だよ! 60万アクセスだよ! だからあたしを超える曲を、新しいアルバムで作ってほしい!」とバンドを叱咤激励。冬にリリースされるニューアルバムへの期待が高まる一言となった。

そして残りのメンバーが15周年記念Tシャツを着て登場すると、「TMC」を最高のテンションで演奏。約2時間半、たくさんの笑いとたっぷりの下ネタとゴキゲンなナンバーが目一杯詰まったライブは、会場中の笑顔とともに終幕した。

この日のステージで発表されたとおり、グループ魂はこの夏、シングルリリース後に大型野外フェスティバル「ROCK IN JAPAN FESTIVAL 2010」「RISING SUN ROCK FESTIVAL 2010 in EZO」に出演。その後シングル1枚、フルアルバム1枚のリリースを経て、全国ツアーを行うことが決定している。2011年3月までの結成15周年記念アニバーサリーイヤーの間、ファンをますます楽しませてくれることを期待しておこう。

グループ魂結成15周年「公園通りでSEARCH&片思い」2010年5月17日セットリスト

01. 都会の山賊
02. 新曲
03. アイサツはハイセツよりタイセツ
04. 半日消防署長
05. スシ喰うな!
06. SHIKAN
07. High School
08. TAXI乗りたて
09. 筋肉PUNX ~三宅弘城40歳記念ソング~
10. くん兄さん VS アン姉さん
11. 君にジュースを買ってあげる♥
12. 新曲
13. ラブラブエッサイム'82
14. 欧陽菲菲 ~グループ魂に横山剣(クレイジーケンバンド)も~
15. ともかず ~バイト君40歳記念ソング~
16. ペニスJAPAN
17. チャーのフェンダー
18. グループ魂のテーマ

<アンコール>
EN01. 新曲
EN02. Over 30 Do The 魂
EN03. 沖縄行きたい

<ダブルアンコール>
D-EN01. TMC

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栃木のくん兄さん @kazyuki0620kaz

1.アカウント名の由来はhttps://t.co/9vE2aSQmA3のサイトをご覧下さい。先日歴史の証人にまた遭遇しました。

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