SEPT「Rebellion」特集|主要キャスト6名が語る、「ReAnimation」シリーズの魅力

杉浦タカオが主宰するSEPTの新作舞台「SEPT fate to ReAnimation『Rebellion(リベリオン)』」が、10月3~13日に東京・こくみん共済 coop ホール / スペース・ゼロで上演される。

「Rebellion」は、2020年に初上演された舞台「ReAnimation」シリーズの最新作。音楽がリスナーの心に刻まれることもなく消費される時代に、かつて存在した伝説的バンドRapidly Lastのボーカル・由羅を中心とした登場人物たちがアルバムを制作し、もう一度表舞台に立つまでが描かれる。本作には主要キャラクターとして志崎樺音や星名美怜、ピコ、山葵(和楽器バンド)、Miyako(LOVEBITES)、燿(摩天楼オペラ)、KAZAMI(DaizyStripper)といった面々が出演。チームREBEL(リベル)期間、チームLION(リオン)期間の2つに分けたダブルキャスト制で上演され、日替わりゲストとして、大平峻也、まなこ、西田祥(BUDDiiS)、村田寛奈、小林正典、NORISTRYらも登場する。

音楽ナタリーでは「Rebellion」の上演を記念し、志崎、星名、ピコ、Miyako、燿、杉浦のインタビューを企画。「ReAnimation」シリーズの新作が生まれた経緯や、キャスト陣が本作に懸ける思い、芝居と音楽を融合させた作品が特徴的なSEPTのビジョンについて語ってもらった。

取材・文 / 小松香里

もう一度お客さんと盛り上がりたい

──「Rebellion」は2020年に初上演された「ReAnimation」シリーズの最新作です。杉浦さんはなぜ「ReAnimation」シリーズの続編を描こうと思ったのでしょうか?

杉浦タカオ 初演時はコロナ禍で、フェイスガードをしながらの上演でした。当時は我々自身が「この時期に作品を上演すべきなのか?」と悩んでいたことを覚えています。結果的には多くのお客さんが「ReAnimation」を愛してくださって、その後は3年連続でこのシリーズを上演することになった。世の中的にコロナも落ち着きましたし、お客さんと一緒に盛り上がれる「ReAnimation」シリーズの続きをやりたいと思ったんです。

──「Rebellion」は伝説のバンドRapidly Lastのボーカル・由羅をはじめ、過去作のキャラクターが登場します。ストーリーを構築するうえでどんなところにこだわったんでしょう?

杉浦 由羅という「ReAnimation」シリーズの中心キャラクターを「Rebellion」の軸に置くことによって、昨年上演した「SANZ:0」の優羽や、「ReAnimation」シリーズ初演から登場している朱音祈留が1つの世界に集まった新しい物語を描けたらと思ったんです。由羅が中心にいることで、今作が「ReAnimation」シリーズの1つであるということをしっかり伝えたいなと。

──志崎さんは演じる由羅に対してどんな印象を持ちましたか?

志崎樺音 私自身、もともと歌を愛して生きてきたので、由羅が歌に対して強い思いを持っていることにとても共感しました。

志崎樺音

志崎樺音

杉浦 志崎さんは新たに由羅役を探しているときにご紹介いただいたんですが、お歌を聴かせていただいてすぐに「この人だ」と思いました。僕の中にある由羅像にハマっていて。

志崎 ありがとうございます。私は洗足学園音楽大学の出身なのですが、選考していたコースにドラマーのAtsuyuK!(「Rebellion」にはドラマーの薫役で出演)という子がいて。卒業後もつながりがあった彼がSEPTを紹介してくれたんです。私は舞台の経験はなかったのですが、SEPTの演技だけでなく音楽の要素がかなり強いところに惹かれて、挑戦してみたいと思ってお受けすることにしました。

別シリーズのキャラも交わる「Rebellion」

──星名さんは昨年上演の「SANZ:0」で初めてSEPTの作品に出演されたわけですが、本作で「SANZ:0」に続き優羽を演じることについてどう思いましたか?

星名美怜 「SANZ:0」と「Rebellion」では、優羽は人が変わったみたいにキャラクターが違うんですよ。「SANZ:0」の優羽は精神がさまよっていて希望が持てないような女の子でしたが、「Rebellion」では新たな未来に向かって突き進んでいるように感じました。また優羽を演じられてうれしいですし、物語の支えになるような存在でいたいと思っています。

ピコ キャラクターは大きく違うんですが、「SANZ:0」での経験を思わせるような描写があるんですよね。「SANZ:0」で成長した優羽が、今度は誰かの背中を押す立場になるところもポイントだと思います。

星名 今の発言、星名美怜の発言ってことにしておいてください(笑)。

ピコ (笑)。「SANZ:0」ではネガティブな性格でしたが、今回は「やってみようぜ!」みたいなタイプになっています。

杉浦 ネタバレを避けてざっくり言うと、「Rebellion」での優羽が本来の姿なんですよね。いろいろなことを経験して、それまで抱えていた歪みや暗さのようなものが解消されて本来のキャラクターが見えてきたという。優羽は誰かの背中を押すことで自分の心を解放していくという次のステージに進んでいるんです。

役と一緒に成長してきた

──ピコさんはこれまでの「ReAnimation」シリーズと同じく朱音祈留を演じます。

ピコ コロナ禍で初演を迎えた「ReAnimation」シリーズが、僕にとって最初のSEPT作品でした。当時は舞台経験がまったくなく、SEPTの皆さんにいろんなことを教えてもらいながら少しずつ成長してきたように思います。本作で描かれる祈留自身も以前より大人になっているので、なんだか一緒に成長してる感じがしてうれしいですね。今回は自分自身を投影させながら、タカオさんやキャストであり演出も担当されるウチクリ(内倉)さんと相談しつつ、祈留の変化を描けたらと考えています。

ピコ

ピコ

杉浦 祈留は初期の「ReAnimation」を支えてくれた柱の1本で、悲しいことや苦しいことも経験して自分を信じられなくなったという背景を持っています。そんな祈留を新しく描こうと思ったときに、ピコくんが言ってくれたような大人になった部分が見えてきました。

ピコ ここ最近は動きが大きいキャラクターを演じることが多かったので、祈留という、すんとした何か含みのある役にもう一度トライすることで自分自身の成長を確かめたいという気持ちがあります。僕自身もいい歳なので、大人の魅力を出したいですね。

杉浦 でも台本上ではだいぶ笑いのシーンもあるけどね(笑)。

ピコ あれ? じゃあ今まで通りかもしれません(笑)。これまでの祈留はヒールのポジションに近かったんですが、今回はヒール感はゼロではないにせよ、大人の包み込む優しさみたいなところをしっかり表現したいです。

一度きりの人生なんだから

──燿さんは「ReAnimation」シリーズの2作目に続きRapidly Lastのベーシスト・十三を演じます。

 SEPTは作品ごとに世界線が異なっていて、十三の性格も少しずつ違うんですよね。でも、その場にいるだけで安心感がある存在というのは変わらないので、今回もそこは意識してお芝居に臨めたらと思います。

──ちなみに、燿さんはSEPTのキャストビジュアルの撮影も手がけているんですよね?

 はい。キャストによっては僕が十三として「Rebellion」に出演することを知らずに撮影に参加していた方もいたと思います(笑)。

燿(摩天楼オペラ)

燿(摩天楼オペラ)

──今回が舞台初出演のMiyakoさんは、由羅の幼馴染のギタリスト・音鳴を演じます。

Miyako ピコさんと共通の知り合いにSIAM SHADEのNATCHINさんがいて。NATCHINさんがSEPTを紹介してくださったんです。

ピコ タカオさんから「超絶ギターが弾ける女性の知り合いはいませんか?」と聞かれて、一緒にバンドを組んでいる大先輩のNATCHINさんに相談したらMiyakoさんをつないでくださったんです。

Miyako 演劇をやるのは小学校の学芸会以来なので、お話をいただいたときは正直どうしよう?と思ったんですが、女性ギタリストの役ですし、一度きりの人生、興味があることはどんどんやってみたいタイプなので、お受けすることにしました。でも正直不安しかないです(笑)。

杉浦 Miyakoさんの演奏動画をたくさん観たんですが、想像以上の方だなというのが第一印象でした。それに音鳴のキャラクターにもとても合っていて、Miyakoさんのおかげでどんどんイメージが膨らんでいきました。音鳴はこれまでのSEPTにはない姉御っぽくて自分をさらけ出してまっすぐに生きているキャラクターです。Miyakoさんには肩ひじ張らずに楽しんで演じてもらえたらうれしいですね。

Miyako ありがとうございます。がんばります。

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反逆の意味を込めて