SKE48「Karma」インタビュー|ヘビーな恋愛ソングとSNS戦略で新境地を切り開く

SKE48が通算35枚目のシングル「Karma」をリリースした。

表題曲「Karma」は大親友の恋人に抱く“禁断の恋愛感情”を描いた、切ない片思いソング。本作の発売に合わせ、音楽ナタリーでは選抜メンバーより坂本真凛(Team S / 8期生 / 23歳)、河村優愛(Team E / 12期生 / 19歳)、中坂美祐(Team E / 9期生 / 20歳)の3人にインタビューし、アイドルソングらしからぬヘビーな内容になっている「Karma」に対するそれぞれの解釈を語ってもらった。

また、今作でダブルセンターを務める熊崎晴香と佐藤佳穂に対する印象や、初選抜入りを果たした中坂の現在の心境、今年に入ってSNSでバズを生み出すことに成功しているSKE48メンバーのTikTok戦略についても聞いた。

取材・文 / 小野田衛撮影 / 塚原孝顕

禁断の愛を描いた歌詞、3人の解釈は?

──新たにリリースされる35thシングル「Karma」は、SKE48のパブリックイメージに収まらない勝負作だと感じました。特に歌詞がかなり攻めていますね。

坂本真凛 重たい恋愛の曲です。切ない歌だなというのが第一印象でした。「地獄の底に堕ちたっていいさ」なんて歌詞、アイドルの曲には普通出てこないですよね。びっくりしました。

中坂美祐 この曲の主人公の男の子は、ある女の子を好きになってしまうんです。だけど、その女の子はよりによって親友の恋人で……。

坂本 言ってしまえば「禁断の愛」ですね。ドロドロ系の恋愛ドラマに出てくるような(笑)。

中坂 好きだというこの気持ちを認めてしまったら、みんなが悲しい思いをする。だから、1番の歌詞では自分の感情を抑え込んでいるんです。そこが切ない!

河村優愛 ところが2番になると、主人公の中で変化が生じるんですよ。友達の彼女だってかまわない。それでも僕はこの恋を手に入れたい。そして、とうとう「地獄の底に堕ちたっていいさ」と覚悟を決めるんです。

坂本 大親友を捨ててでも、彼女を奪いにいく。要するに「友情よりも恋愛が大事」という結論を“僕”は下したわけです。とんでもないことですよ。

左から坂本真凛、河村優愛、中坂美祐。

左から坂本真凛、河村優愛、中坂美祐。

──この複雑な恋愛模様を描いた秋元康先生の歌詞に対して、皆さんはどのような解釈をしたんですか?

坂本 この主人公の男の子は、こんな大口を叩いてはいるけど、結局、何もできなかったんじゃないかと思います。うじうじと葛藤しているだけで、行動力が伴わないといいますか。それはメロディの切ない雰囲気からも伝わってくる気がします。これが“坂本的解釈”ですね(笑)。

──この3人の中で最年少の河村さんの考えは?

河村 “河村的解釈”としてはですね(笑)、完全にこの人は吹っ切れています。結果はわからないですよ、友達の彼女と幸せになれたかどうか。でも、友達との友情は確実に壊れますよね。その覚悟を歌った曲なんじゃないかと。

中坂 なるほどねー。“中坂的解釈”は2人と少し違うかもしれない。私が注目したのは「Karma」というタイトルの意味です。つまり因果応報ってことだから、仮にこの恋が成就したとしても、主人公は同じ目に遭うんだぞという警告ですよね。最後は別の男の人によって、この恋は奪われてしまうんじゃないかなって。もう無限ループですよ。自分が悪いことをしたんだから、決して幸せにはなれないんです。

河村 めちゃくちゃ大人な解釈(笑)。

中坂 でも、面白いですね。こうやって話していても3人の捉え方はバラバラ。人によって受け取り方が変わってくる曲だと思うので、「どういうことなんだろうな?」と想像しながら聴くと、より深く曲の世界観を楽しめるはずです。

──複雑な感情を歌った曲だから、ミュージックビデオ撮影時の表情なども大変だったのでは?

河村 全体的に笑顔が少なかったです。笑うときもニコニコ明るい笑顔じゃなくて、ちょっと無理したような陰のある笑顔。ニヤリと笑いながら、「もう覚悟を決めたんだぞ」というニュアンスを私は表情に入れてみました。

河村優愛

河村優愛

中坂 私が意識したのは、切ない表現をするときに弱々しくならないようにすることでした。振付自体は力強い動きが多いし、歌詞もインパクトがあるので、特に表情の面で力強さを出すようにしました。

坂本 そういったニュアンスや表現については、レコーディングのときも悩みました。歌詞には強いフレーズが並んでいますが、自分に言い聞かせているような印象を私は受けたんですよ。だから「もし自分に好きな人がいたら、こういうふうに自分に言い聞かせるのかな?」と想像しながら、必死さを出すようにして歌いました。主人公は葛藤しているんだけど、メソメソ悩むような感じでは決してなくて、「もう前に進むしかないんだ」と力強く自分を鼓舞している状態。「天罰が下る」ことも受け入れるって、かなり切実な覚悟ですから。

坂本真凛

坂本真凛

バランス抜群で存在感があるWセンター

──今作は熊崎晴香さんと佐藤佳穂さんによるWセンター体制です。

坂本 「コケティッシュ渋滞中」(2015年3月発表の17thシングル)以来10年ぶりのWセンターになります! 2人の身長がちょうど同じくらいなので、すごくバランスがいいんですよ。

中坂 でも、くまさん(熊崎)と佳穂さんはアイドルとして反対のところがありまして。エネルギッシュでパワフルなくまさんに対して、佳穂さんはどちらかというと大人っぽいしっとり系。真逆のタイプなのにMVの撮影では息がピッタリだから、そこはすごく不思議でした。とにかく存在感がある2人なんですよ。

中坂美祐

中坂美祐

河村 私からしたら、くまさんもさとかほさんも大先輩です。でもその2人がレッスン後も残ってずっと振りを確認している様子を見て圧倒されました。改めて今のSKE48を引っ張っていく2人なんだなと感じましたし、私もついていかなきゃと思いました。

──2人のうち、佐藤さんはこれが初めてのセンターです。

中坂 初センターというのが信じられないくらい、とても堂々としています。佳穂さん本人から聞いたんですけど、もともとあまり緊張しないタイプらしいんですよ。そういうところからしてカッコいいし、センターになるべくしてなったんだなと思いました。

坂本 私は佳穂ちゃんと同期なんですけど、いつも冷静だし、みんなをまとめるのがうまいんですよね。何かやろうとして意見がバラバラになったときとか、「こうしたらいいんじゃないかな」って全員が納得できる方向で意見してくれる。「センターに立ちたい」という思いは同期としてずっと聞いていたから、今回、本当に自分のことみたいにうれしいです。

──センターに懸ける気持ちがあったんですね。

坂本 MV撮影が始まってから同期みんなでごはんを食べに行って、そこで「おめでとう!」ってお祝いしました。

中坂 すごくいい話! 素敵すぎる!