超特急「NINE LIVES」リョウガ×シューヤ インタビュー|“猫の九生”に9人の生き様を重ねて

超特急が9月24日にニューシングル「NINE LIVES」をリリースする。

超特急にとって22枚目のシングルとなる今作のテーマは「Cat has NINE LIVES.」。「猫に九⽣あり」という、困難な状況を何度も乗り越えしぶとく⽣き抜く⼒を表す西洋のことわざと、結成から14年、幾多の壁も乗り越え夢へと邁進する超特急の生き様を重ねた楽曲となっている。9人が猫耳を着け、優雅な黒猫に扮したジャケットビジュアルも話題の今作。リリースを前にTikTokで公開された、9人それぞれが主演を務めるショートストーリー「Episode of NINE LIVES」も注目を浴びている。

シングルのリリースを記念し、音楽ナタリーではリーダー・メインダンサーのリョウガとバックボーカルのシューヤにインタビュー。「NINE LIVES」にまつわる話題について、大いに語ってもらった。

取材・文 / 三橋あずみ撮影 / 曽我美芽

今もこうして超特急というものを続けられているから

──まず、どんなところから「NINE LIVES」の制作がスタートしたのかを教えてもらえますか?

リョウガ 超特急のメンバー9人にちなんで「9」にまつわる何かを探していたときに、「Cat has NINE LIVES.」(猫に九生あり)という海外のことわざに当たったんです。「困難な状況を何度も乗り越えてしぶとく生き抜く力」を表すというその意味合いも超特急とリンクしているので、この言葉に起因する曲を作ろうということになりました。

シューヤ こんなことわざが海外にあるの、知らなかったよね。

リョウガとシューヤ。

リョウガとシューヤ。

リョウガ ね。率直に「なんで猫なんだろう?」と思いましたけど、確かに日本の野良猫ちゃんたちも、何を食べてどこで生きているんだろうって……もしかしたら知らないところで縄張り争いをしてるかもしれないし。そうやって今もなお、かなりたくましく生存しているわけで。僕らもこれまでの14年の中でいろんなことがあったけど、今もこうして超特急を続けられているから。そこは確かに合うなと思いました。

──楽曲制作に関して、何かメンバーからのリクエストはあったんでしょうか?

シューヤ 僕は、デモが届いた段階でトラックに猫っぽい効果音を入れてほしいということをスタッフさんに伝えましたね。そのほうが面白いんじゃないかって。例えば鈴の音とか、猫が狭い場所をすり抜けるような音とか。現状何個くらい入っているかは定かではないんですが、「あれ、これ猫が出す音かも?」みたいな効果音を9個入れたらいいんじゃないですか?という話を個人的にしました。

──1番に出てくる「シャキーン」という“爪研ぎ音”は特にわかりやすいですね。

シューヤ めっちゃわかりやすいですよね(笑)。

リョウガ あれはもはや猫じゃないでしょ。古代ローマのコロシアムの剣闘士みたいな効果音(笑)。

──では、曲ができあがったときの印象は?

リョウガ 第一印象は「ダサいな」って(笑)。だって曲始まりから「♪⽖研ゲ ⽖研ゲ ⽖研ゲ ⽖きらきら yah」ですよ。なんだこの歌は。わけわかんないぞ、大丈夫かこれ?と思ったんですけどね。でも聴けば聴くほど、サウンドがすごいカッコよくて。なんか……カッコいい曲に感じてきちゃったんですよね。そういうところが超特急らしいかなと、僕は思いましたね。

リョウガ

リョウガ

シューヤ

シューヤ

OKOK! 余裕だよ~ウェイウェイ!

シューヤ 僕はサビ'(サビダッシュ / サビの後半パート)が好きだなと思いました。サビは中毒性のある、耳に残ることを重視した作りなんですけど、サビ'はちゃんと歌い上げる作りで、ボーカルの歌唱力が出せる。SNSとか、いろんな場所で耳に留まりやすいように意識して作ってはいるんですけど、ちゃんとボーカルのよさも出せる構成になってるんですよ。ただ流行りに乗ってるだけじゃないんだぞと。

リョウガ なるほどね。

シューヤ この流れで言わせてもらうと、「I'll steal your heart, always」で僕が一番高い音を出すところは、ミックスボイスで出してる中で超特急史上一番高い音なんです。でもサラッと出てくるから、きっと誰も「すごい」と思わないんですよ!

──その前のタカシさんパートの「未来はいかほどで?」に被せる感じで出てきますからね。

シューヤ そう! こういう見せ場は、もっと目立つところに作ってくれと。なんでこんな、気付くか気付かないかみたいなところで最高音を出させるんだっていう……愚痴です!(笑)

リョウガ 愚痴だったんだ(笑)。

シューヤ めちゃめちゃ高いんだよ、マジで。どうせ出させるんなら聴きどころにしてくれよって、それはスタッフさんに言いました(笑)。だからみんなには気付いてほしいですね。

──しっかり書いておかないとですね(笑)。でも実際聴いているときに耳に留まって「このハイトーンは過去イチでは?」と思い、ほかの曲と聴き比べたりしました。

シューヤ ありがとうございます。僕もさすがにファルセットでいくだろうと思って、最初はファルセットで歌ってたんです。そうしたら、(スタッフが)「シューくん、1回地声でいける?」みたいな。

リョウガ 頼み方、軽っ(笑)。

シューヤ なんとなく言われるような気はしてたんですけど、案の定言われて。で「1回やってみるかあ」と歌ったら、案外いけちゃって。そうすると「さすがだねー!」みたいな持ち上げが始まるんですよ。俺もバカだから、いい気分になっちゃって。

リョウガ 気持ちよくなっちゃったんだ(笑)。

シューヤ 「OKOK! 余裕だよ~ウェイウェイ!」みたいな感じで歌ってたら、ミックスボイスが採用されちゃいました(笑)。

リョウガ

リョウガ

シューヤ

シューヤ

──これはライブでも聴けるということですよね?

シューヤ 基本はそうですね! でも朝の番組とかで歌うとなったら……ちょっと怖いっすね(笑)。

リョウガ そうね、喉が起きてないから。

シューヤ 時と場合に合わせて、歌い方は変えると思います(笑)。

「また旅」のダブルミーニング

──ほか、ボーカルに関してこだわったところを挙げるなら?

シューヤ 最後の掛け合いはすごく好きです。ここは特に、タカシくんとレコーディングしながら探り合ったところで。歌録りを進めていく中で、僕がタカシくんに「こういう歌い方がいいんじゃないか」と提案して、実際そう歌ってもらったところがあったり。2人で詰めた感がありますね。

──ではリョウガさん目線で気に入っているパートはありますか?

シューヤ あるかあ~?

リョウガ これ、今日気付いたことなんですけど……「また旅して」って、この表記なんだ!と思って。

シューヤ そうだよ。

リョウガ 普通にカタカナの「マタタビ」だと思ってたから。「マタタビして」って、ちょっとなんでしょうね……猫にとってのマタタビって、刺激的な物じゃないですか。だから「マタタビする」っていう動詞的な表現が、けっこう攻めてんなと思ってたんですけど(笑)。

シューヤ あはははは! おい(笑)。

リョウガ いや、実際振付も“マタタビする”ほうの動きなんですよ。だから「また旅」でダブルミーニングにしていることに、逆にびっくりしちゃって。

──なるほど。コレオにも猫っぽい仕草が盛り込まれているんですね。

リョウガ まさにそうで、「♪⽖研ゲ ⽖研ゲ」では爪を研ぎますし、あとは“猫の手”がところどころに入ってきたりしますね。

リョウガ

リョウガ

“鈴の音”が聞こえたら要注意

──今回はどなたがコレオを手がけられたんですか?

シューヤ おなじみのKAITAくん、KAZtheFIREと、あと今回はGENTA(GENTA YAMAGUCHI)くんも参加してくれてます。RIEHATAチーム勢ぞろいです。

──3人の合作は初めてですよね。

リョウガ そうですね。どうやらすごい組み合わせらしくて。ユーキがすごく“アツがって”ました。この3人が合同で作ることはなかなかないぞ、ヤバいぞと。

シューヤ 本当にそうで。GENTAくんはこれまで僕らと関わりがなかったんですけど、ユーキがこの曲を聴いたときに「GENTAくんにお願いしたい」と言ってて。それをKAITAくんに相談したら「GENTA、絶対合うと思う!」という話になったんです。KAITAくんは過去にGENTAくんと共作したことがあって、じゃあKAZtheFIREも加わった3人に作ってもらったらどうなるんだろう?って。そうやってオーダーして、作ってもらいました。

リョウガ だからすごいですよ、今回楽曲制作だけで14名も関わってくださってる。

──「NINE LIVES」はコライトなので、作詞作曲、編曲で11名がクレジットされていますもんね。

シューヤ すごいよね。いろんな才能がミックスされた……。

リョウガ もう大世帯ですよ。

──制作陣はNINE LIVESどころじゃないですね。

リョウガ そう、“FOURTEEN LIVES” (笑)。

シューヤ コレオの3人はミュージックビデオ撮影のときもそろって来てくれて、盛り上げるだけ盛り上げて帰っていきました(笑)。

シューヤ

シューヤ

リョウガ もうね、ノリがすごい。

シューヤ 「マジヤバ~い!」って。

リョウガ “ザ・ダンサー”的な明るさでね、盛り上げてくれましたよ(笑)。

──このまま振付のお話を伺えたらと思うのですが、今回はセンターの設定などは特になく?

シューヤ ないよね?

リョウガ そうだね。全員ほどよく目立つ場所がある感じです。この曲は、例えばBメロでグッと落ち着いた空気感になるけど、そこは振りもかなりセクシーというかディープなニュアンスになる。そうやって曲調が変化していく感じがしっかりと振付で表現されていますし、その次のパートの「I am the only one」では、8号車がかなり沸くであろうアピールをハルがしていたりね。

シューヤ そうそう。

リョウガ もう「グイ~ン!」「わお~!」みたいな(笑)。濃厚な見せ場がたくさんありますよ。見ていて情報量が多いから、3分の曲とは思えない。

シューヤ 僕、ユーキの見せ場で好きなところがありますね。ライブでブチ上がるだろうな、ヤバいな~っていう。

リョウガ ラストのサビか。あそこいいよな。

シューヤ あれは絶対見ちゃう。「何やるんだろう?」って!

リョウガ “鈴の音”が聞こえたら要注意ですよ! ユーキに注目。

シューヤ 毎回違うことをやってくると思うんで。僕らも楽しみっすね。

リョウガ 振り入れのとき、タクヤがユーキに“圧”をかけてましたから。「同じ動きをするな、毎回違うアレンジをしろ」って(笑)。