本作は、ク・ビョンモによる韓国の人気小説を原作としたミュージカル。六十代の女性の殺し屋を主人公に据え、老いによる身体能力の衰えや、失われゆくものへの葛藤を抱えながらも力強く生きる様を描く。昨年に韓国で初演され、今回が日本版初演となる。翻訳・訳詞を
主人公の爪角(チョガク)を演じる花總は、本作でアクションに初挑戦する。「ストーリーを読んだときに即決して『やりたい』と思いました。まさかこの時期に自分にとって新しいイメージの役が巡ってくるとは思っていなかったので、今の私にとって最大のプレゼントのような気がしています」と心境を明かした。役作りのために自らアクションスクールを調べたという花總だが、「実はそこが、ゴリゴリのスタントマン養成所だったんです。途中まではそうとは知らずに『殺し屋を演じるにはこれくらいやらなきゃダメなんだ!』と思って必死にやっていました」と告白。ストイックなエピソードで共演者たちをどよめかせた。
爪角に家族を殺された過去を持つ青年・トゥ役の浦井は、花總とは本作で初共演。浦井は「花總さんは“エリザベート様”という印象が強いので、その方がお転婆なアクションシーンをやられるんだな、と思っています」と、花總が出演していたミュージカル「エリザベート」に引っ掛けて、期待を口にした。花總が「周りの人から『健ちゃんは面白いよ』という情報をたくさん詰め込まれて来ました」と明かすと、浦井は「先ほどようやく『健ちゃん』と呼んでくださったんです」と笑顔を浮かべる。一方で、浦井は花總に「『花ちゃん』と呼んでほしい」とリクエストされたそうで、それについて「めっそうもございません!」と会場で断言し、笑いを誘った。イ・ジナは、浦井の印象について「すでに顔にいろいろな表情が入っていて、少年らしい純粋さや、爪角への執着心、愛などが感じられます。まりちゃんとのケミ(相性)が楽しみ」と語った。
武田は、爪角を暗殺者として育てるリュウと、爪角が出会うカン博士の2役を演じ分ける。「筋トレをしていたことで、この役をつかめたのかなと思っています」と自慢の筋肉に触れて笑いを誘いつつ、「アクションは役者同士の相性、ひいては人間性が試されるもの。カンパニーの最年長としてしっかりがんばりたい」と気を引き締める。さらに、初対面のイ・ジナから「個人的に登場人物の中でリュウが好きなので、今回すごくふさわしい方がキャスティングされたことをありがたく思っています。ぜひ韓国語を覚えていただき、次の韓国公演にも出演してほしい」と直接オファーを受け、武田は「涙があふれそうです。今の言葉が撤回されないように一生懸命がんばります」と感動をあらわにした。
暗殺者ユンを演じる中山は、「ユンは爪角に憧れのような恋心を抱きながら、殺し屋としての正義は何だろう、と葛藤をする役どころ。精一杯やりたいと思います」と意気込む。一色は、中山について「何でも瞬時に覚える、あまりにも器用な方ですが、今作ではその器用さを捨てて、無我夢中で役に入り込めるキャラクターを一緒に作っていけたら」と期待を寄せた。さらに、中山の端正な顔立ちに目を留めたイ・ジナが、「アイドルのようなルックスですね」と笑顔で声をかける一幕も。これに対し、中山が「(本当に)アイドル出身なんです」と明かすと、イ・ジナは納得の表情を浮かべ、「韓国のユンとは違ってハンサムなので、また違う見え方になるはず」と熱い視線を送った。
若き日の爪角を演じる熊谷は、役作りのためにボクシング、アクション、アクロバットを習い始め、一色から「蹴りがすごい」と評されるほどの成果を見せているという。熊谷は「子供のとき以来に習い事をしているな、と思いながらがんばっています」と微笑み、「若い爪角には、まるまる1曲を使って、リュウにしごかれながら成長していく非常にハードなナンバーがあります。それをしっかりお見せできるよう、私自身も爪角のようにどんどん成長していきたいです」とパワフルに語った。
一色は「自分の中の理想のキャストが集まってくれました。非常に難しい歌ばかりで、アクションも大変なものになりますが、皆さんにがんばっていただけたらと思っています」とコメント。また、イ・ジナから「好きにやっていいよ」と言葉をかけられたことを明かし、「すごくうれしいことですが、確立された演出なのでプレッシャーも大きい。日本版にするにあたって、歌詞の中での人間模様や心のつながりなど、韓国版にはない要素も入れ込み、異なるアプローチでお届けしようと思っています」と展望を述べた。
イ・ジナは「韓国での初演は、従来のミュージカルの枠を超えた破格の挑戦でした」と振り返り、「日本版は一色さんの演出やキャストの皆さんの解釈によって、まったく違う作品に生まれ変わるはず。“日本らしさ”がどう花開くのか。私自身が客席で見守り、そのアイデアを盗みたいと思っているほど楽しみです」と、日本カンパニーへの信頼を語った。
公演は3月7日から22日まで東京・新国立劇場 中劇場、27日から29日まで大阪・梅田芸術劇場 メインホール、4月4・5日に福岡・久留米シティプラザ ザ・グランドホールにて行われる。
ミュージカル「破果(パグァ)」
開催日程・会場
2026年3月7日(土)〜22日(日)
東京都 新国立劇場 中劇場
2026年3月27日(金)〜29日(日)
大阪府 梅田芸術劇場 メインホール
2026年4月4日(土)・5日(日)
福岡県 久留米シティプラザ ザ・グランドホール
スタッフ
翻訳・訳詞:
演出:一色隆司
音楽:甲斐正⼈
コイタ奈央美 @na0mi1003
会見レポート読んで、お稽古更に楽しみになりました✨
私も準備頑張ります!
#ミュージカル破果 https://t.co/FwOFcWq7bs