本作は、2022年12月にTBSで放映されたドキュメンタリー「
戦後80年の8月に本作が上演されることに関連し、奈緒は「私が亡くなった祖父と初めて会ったのは8月15日だったそうです。祖父は戦争に行って帰ってきた人だったので、その日に孫の私と初めて会ってどんな気持ちだったのかな?と考えています」とコメント。また奈緒は、桂子・ハーン本人に会うため渡米したことについて「フランクさんのお墓を訪れたとき、今なお桂子さんがフランクさんを心から愛する姿を見せていただいた。この思い出を胸に舞台に立ちたい」と言葉に力を込めた。
アメリカ人の父と日本人の母を持つウエンツは、本作が家族の物語でもあることに触れて、「僕自身、桂子さんとフランクさんのお子さんと同じように、外見やアイデンティティに迷いを感じていた。稽古しながら『母方の祖父母は、アメリカ人の父に会って何を感じたんだろう』と思うこともありました。“縁”がつながって生まれたのが僕なので、家族につないでもらった縁を意識しながら生きたいと思いました」と述べた。
高野は「“戦争”と聞くだけで敬遠してしまう方もいるかもしれませんが、そういう方々にもぜひ観てほしい舞台になった」と言い、「僕も家族が大好きで、がんばる原動力です。稽古場で家族のシーンを観ているときは、境遇は違えど『もっと親孝行したいな』と思いましたね」と笑顔で話した。
山口は「難しい役だと思っていましたが、稽古場でみんなの顔を見ていたら、自然に役の気持ちがわかってきた」と手応えを語る。また奈緒が「ポスター撮影のとき、初対面の馬木也さんが『失礼します。お父さんだよ』とあいさつしてくれた(笑)」というエピソードを披露すると、山口は「すみません、名乗りもせずに……」と苦笑いを浮かべ、会見場を和ませた。
日澤は原案の映画について「桂子さんの笑顔と言葉が心に刺さった」と述べ、舞台化にあたっては「俳優さんの心と身体を通すことで、ドキュメンタリー映画では感じられないものをお客様に想像してもらえるように心がけながら演出した。責任や、桂子さんや関係する方々への敬意を持ちつつ、稽古場で皆さんの感性をフル稼働してもらって作ってきました」と言葉に力を込めた。
会見では登壇者が稽古場の様子を明かす場面も。「夫婦を演じるうえで、2人で何か話し合ったか?」という質問に、ウエンツは「まったくないです!」と回答。山口が「いつも2人で何を話していたの!?」と尋ねると、ウエンツは「昨日何食べた?とか」と報道陣の笑いを誘う。これを受けた日澤は、奈緒とウエンツのコンビネーションを「お二人が本作で初対面というのが不思議なくらい、とんでもなく息が合っている」と称賛した。
最後に奈緒は「戦後80年の今年が終わっても、私たちは戦争があったという過去と向き合って生きることになります。本作では一人ひとりの登場人物が持つ愛が、舞台でキラキラ輝いている。花束のような作品だと思いますので、どうか私たちの花束を受け取ってください」と観客にメッセージを送った。
上演時間は休憩15分を含む約2時間55分。東京公演は8月27日まで行われ、9月6・7日に兵庫・兵庫県立芸術文化センター 阪急中ホール、13・14日に福岡の久留米シティプラザ ザ・グランドホールでも上演される。
舞台「WAR BRIDE -アメリカと日本の架け橋 桂子・ハーン-」
2025年8月5日(火)〜27日(水)
東京都 よみうり大手町ホール
2025年9月6日(土)・7日(日)
兵庫県 兵庫県立芸術文化センター 阪急中ホール
2025年9月13日(土)・14日(日)
福岡県 久留米シティプラザ ザ・グランドホール
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ステージナタリー @stage_natalie
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