横山拓也が描くラブコメディに、小山ゆうな「魔法がかかっていくような感じ」

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9月から10月にかけて東京・福岡・大阪・新潟で上演される「PARCO PRODUCE 2024『ワタシタチはモノガタリ』」の取材会が8月上旬に東京都内にて行われ、作劇を担うiakuの横山拓也と演出を手がける小山ゆうなが出席した。

左から小山ゆうな、横山拓也。

左から小山ゆうな、横山拓也。

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本作は、「30歳になってどっちも独身だったら結婚しよう」と約束していた1組の男女、富子と徳人を軸とするファンタジックコメディ。徳人は30歳を迎える年に、職場の女性と結婚。その結婚式で、富子は徳人に「あなたに書いた手紙を全部私にください」とお願いする。富子は往復書簡にかなりの脚色を加えたうえで、SNSに投稿し……。

なぜ今回、“ファンタジックコメディ”を手がけたのか、と記者から問われた横山は「大阪で劇団を15年やってきて、その時代はコメディみたいなものもたくさん書いていました。でもiakuになってからは、あまりそういうところに手を出さなかったんですね。でも今回は、普段劇団でやっているような、深いところまでガーッと詰めていくような物語より、コメディとかコミカルさを意識して書くという、自分にとってチャレンジになることをやってみたいなという思いがあって。それで企画会議の中でラブコメディというところにたどり着き、自分でも面白そうだなと思ったので踏み切りました」と説明した。

また「普段から執筆の際に登場人物それぞれに、ちょっと自分の一面が載るようにしているイメージがあって、今回は江口のりこさん演じる富子というキャラクターがそれに当たります。自分が書き手として感じていたコンプレックスとか、高みを目指したいという気持ちとか、そういうところが投影できたら面白いなと思ってスタートしました」と続けた。

小山は「最初にアイデアを伺ったときから面白いなと思いましたし、完成した台本も面白いです」と作品の印象を語りつつ、「台本が完成するまでに、プロットから横山さんがどういうふうに作品を立ち上げていくのか、ある部分を深めていくのか、変更されるのかという過程を垣間見ることができて、すごいなと思いました。魔法がかかっていくような感じがしましたね」と話す。

PARCO PRODUCE 2024「ワタシタチはモノガタリ」ビジュアル

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横山は小山の印象について「小山さんが演出された作品を何作か観させていただいたのですが、作品によって全然手つきが違っていて。作品に寄り添ってくれる演出家さんだなという印象があったので、小山さんとだったらぜひという思いがありました」と語り、信頼を寄せる。また稽古初日の読み合わせに参加して、「初日はまだ台本を言葉にしてニュートラルに発してみたという感じでしたが、そこから数日経って、いきなりトップギアで行くのではなく、みんなでゆっくり作品を共有して綻びも見つけ出すというか、台本を整えていってくださっているのが作家としてはありがたいです(笑)」と話す。

小山は、隣に作者がいる状態での稽古場の印象を問われ、「100年前の作家だったら聞きたいことがあっても聞けないから、ある事柄が実はどういう背景で書かれたものなのかとか、調べるのが本当に大変で(笑)。でも今回は直接伺えるので、キャストを含めみんなにとってすごくありがたいことだと思っています」と笑顔を見せた。

なお本作で“文通”が重要なポイントの1つになっていることについて、「文通に関してはめちゃめちゃ語りたいことがありまして!」と横山。「僕は中学2年生の頃千葉県に住んでいて、中3になるタイミングで大阪に引っ越したんですけど、中学時代の千葉県の友人4人と一斉に文通をスタートさせたんです。その1人が当時ちょっと好きだった女の子で……という経験がありまして、本作の後半で富子が手紙について語っているところは、自分の十代のときの経験が元になっています」と話す。

左から横山拓也、小山ゆうな。

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キャストの印象について問われた小山は「江口さんが本当に素晴らしい女優さんだということはもちろん知っていたのですが、台本を読んでいる間にも『なるほど、なるほど!』という表現がいくつもあって、台本からすくい上げて表現されることにすごく説得力がありますね」と返答。松尾については「1回ご一緒しているのですが、今回とは全然違う作品だったので、リアルな人間の役を演じる松尾さんが私にはすごく新鮮(笑)。徳人がどういう人かということは、これから稽古の中で掴んでいけたら」と話した。

最後に観客へのメッセージを求められると、小山は「お芝居はやっぱりお客様と一緒に作るもので、まして今回はコメディなので、ぜひ客席でライブで感じていただけたら」とコメント。横山は「作品の中で描かれるものが盛りだくさんで、お客さんそれぞれに感じるところがあるのではないかなと思いますし、何より言葉の応酬が1つの面白みだと思っているので、演出の小山さんはじめ、俳優さんたちがどうやって稽古場で作品を立ち上げてくれるのか、お客さんに何かを届けるエンタテインメントになるのかということを僕自身楽しみながら、稽古をがんばりたいと思います」と意気込みを述べた。

公演は9月8日から30日まで東京・PARCO劇場、10月5・6日に福岡・キャナルシティ劇場、11日から14日まで大阪・森ノ宮ピロティホール、18・19日に新潟・りゅーとぴあ 新潟市民芸術文化会館・劇場にて行われる。

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PARCO PRODUCE 2024「ワタシタチはモノガタリ」

2024年9月8日(日)〜30日(月) ※公演終了
東京都 PARCO劇場

2024年10月5日(土)・2024年10月6日(日) ※公演終了
福岡県 キャナルシティ劇場

2024年10月11日(金)〜2024年10月14日(月・祝) ※公演終了
大阪府 森ノ宮ピロティホール

2024年10月18日(金)・2024年10月19日(土) ※公演終了
新潟県 りゅーとぴあ 新潟市民芸術文化会館 劇場

スタッフ

作:横山拓也
演出:小山ゆうな

出演

江口のりこ / 松岡茉優 / 千葉雄大 / 入野自由 / 富山えり子 / 尾方宣久 / 橋爪未萠里 / 松尾諭

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PARCO STAGE(パルコステージ) @parcostage

「ステージナタリー」に舞台『#ワタシタチはモノガタリ』の取材会レポートが掲載されました。是非ご覧ください!
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