「
これは、屋根裏ハイツの
中村大地コメント
この前はじめてプロセニアム・アーチの劇場で演出をした。それまで僕は俳優と「床」に対して演出を凝らしているつもりだったが、「壁」と劇空間がいつもより遠く離れたことで、かなりいろんなことを「壁」に頼っていたと気がついた。生活空間において「壁」は、いの一番に人の目に入るところだ。だから見るものの視線をかなり規定する。「壁」さえあれば、その内側にいる人の視覚をつくることは容易い。「壁」のその騙し屋っぷりに頼っていたところがある。騙されないように考えるところからはじめたい。
野村眞人コメント
劇場の客席に座っているとき、気づくと天井を見上げていることがあります。あ、いま天井見てる、という感じで、いつも後から気づくのですが、これがなんとなく好きだったりします。部屋における壁と床を括弧に入れて、天井だけを取り出し具体的に考えてみようとするとき、この「遅れて気がつく」というのが、キーワードになりそうだと思っています。とはいえ、まずは自分の部屋から始めて、そのほか思いつくいろいろな天井を見に行ってみようと思っています。
福井裕孝コメント
自分にとって「空間」との関わりは、常に「床」のレベルから把握されるもので、これまでを振り返っても「床」のことばかり考えてきたような気がする。何もない「空間」を思い浮かべてみる。「壁」も「天井」もなく、そこには漠然とした広がりと奥行きだけがある。でもふと足元に目をやると、何らかの形をもった平面があることに気づく。自由な雰囲気と出来事の予感に満ちた「空間」は、この「床」なる平面の上に成り立っている。身体も言葉も想像も「床」の上に立たざるを得ない。だから今回は「床」と距離を取るために、演劇の重心を上げようとすることから考えはじめてみたいと思っている。
ステージナタリー @stage_natalie
中村大地が“壁”、野村眞人が“天井”、福井裕孝が“床”について考える「部屋と演劇」(コメントあり)
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