市川新之助が「毛抜」粂寺弾正をおおらかに表現、襲名披露興行「十二月大歌舞伎」開幕

「市川海老蔵改め十三代目市川團十郎白猿襲名披露 八代目市川新之助初舞台『十二月大歌舞伎』」が、昨日12月5日に東京・歌舞伎座で開幕した。

これは、先月に続き歌舞伎座で行われる市川團十郎白猿と市川新之助の襲名披露興行。昼の部には「鞘當」「京鹿子娘二人道成寺」「毛抜」がラインナップされた。「鞘當」には、不破伴左衛門役で尾上松緑、名古屋山三役で松本幸四郎が出演。奇数日には市川猿之助が留女役、偶数日には市川中車が留男役で登場する。

「京鹿子娘二人道成寺」では、鐘供養から歌舞伎十八番の1つ「押戻し」までが上演される。前半の鐘供養では白拍子花子役の尾上菊之助と中村勘九郎が華やかな踊りで魅せ、後半の「押戻し」では、團十郎が大館左馬五郎を勇猛に演じた。昼の部は、新之助が9歳で粂寺弾正役に挑む「毛抜」で締めくくられる。中村梅玉演じる小野春道の屋敷を舞台に、新之助は各見せ場で見得を切り、愛嬌あふれる弾正を持ち前の明るさとおおらかさで表現した。

夜の部は、襲名披露「口上」で幕開け。初日公演は松本白鸚が体調不良で休演したため、市川左團次による紹介で始まり、続けて河原崎権十郎、市川右團次、市川高麗蔵、幸四郎、猿之助、市川門之助、市川男女蔵、市川齊入らが次々にお祝いの言葉を述べる。最後は團十郎と新之助によるあいさつのあと、先月に続き、團十郎が成田屋の家の芸であるにらみを披露した。

「口上」のあとは、市川ぼたんによる舞踊「團十郎娘」がお披露目された。ぼたんは力自慢の美しい娘・お兼に扮し、長唄に合わせて鮮やかに舞う。見どころとなる“布晒し”では、ぼたんは白いサラシを華麗に翻し、その軽快な様子で客席を拍手で包んだ。團十郎が花川戸助六を演じる「助六由縁江戸桜」は、11月に続いての上演となるが、先月とは一部の出演者や配役が異なる。初日公演では坂東玉三郎が三浦屋揚巻を勤め、また三浦屋白玉を菊之助、助六の母・曽我満江を上村吉弥が演じた。なお、16日公演からは、揚巻を中村七之助、白玉を中村梅枝、満江を玉三郎が勤める。

「十二月大歌舞伎」は12月26日まで。

※松本白鸚は体調不良により当面の間休演。