新国立劇場 開場25周年記念公演「ボリス・ゴドゥノフ」が、昨日11月15日に東京・新国立劇場 オペラパレスで開幕した。
これは、
初日に行われたアフタートークで、大野は本作について「今『ボリス・ゴドゥノフ』のようなオペラはできないという劇場も世界にはあります。今の状況下、ムソルグスキー、ショスタコーヴィチ、プロコフィエフといったロシアのオペラが上演できない状況もある中で、この新国立劇場で上演できたことはとてもうれしい状況です。新国立劇場にとっては『ボリス・ゴドゥノフ』は初の上演で、二重の意味で感慨を覚えているところです。私たちはこの『ボリス』を16世紀の話にしないで、私たちの『ボリス』にしようと最初に話しあいました。その成果をご覧いただきたいと思います」とコメント。
トレリンスキは「『ボリス・ゴドゥノフ』は一般的には歴史劇と捉えられ、政治的な面が強調されがちですが、私は、心理劇、人間の内面の劇として描きたいと思いました。戦争の歴史そのものを単純に持ち込むのは少々世間知らずだと思ったのです。ボリス・ゴドゥノフはシェイクスピア劇のような興味深いキャラクターで、マクベスでありリア王であり、狂気を扱っています。私はポーランド出身です。ポーランドはウクライナと国境を接しています。避難民も多く入ってきています。そうした中で、ロシアとウクライナの問題をそのまま演出に反映することはできないと私は思いました。白か黒かの話になってしまうと単純すぎます。ムソルグスキーはもっと普遍的な大きなものを描いたと思います。ポーランドでの上演の準備の後、戦争を経て、演出に直接影響した部分はわずかしかありませんが、戦争の後を描くというのはとても難しいと思います。やはり戦争、人を殺すというのは悪夢でしかないと思います」と思いを述べた。
上演時間は、休憩を含む約3時間25分。公演はこのあと、明日11月17日、20日、23日、26日に行われる。
新国立劇場 開場25周年記念公演「ボリス・ゴドゥノフ」
2022年11月15日(火)~26日(土)
新国立劇場 オペラパレス
原作:プーシキン「ボリス・ゴドゥノフ」およびカラムジン「ロシア国史」に基づく
台本・作曲:モデスト・ムソルグスキー
指揮:
演出:
出演
ボリス・ゴドゥノフ:ギド・イェンティンス
フョードル:小泉詠子
クセニア:九嶋香奈枝
乳母:金子美香
ヴァシリー・シュイスキー公:アーノルド・ベズイエン
アンドレイ・シチェルカーロフ:秋谷直之
ピーメン:ゴデルジ・ジャネリーゼ
グリゴリー・オトレピエフ(偽ドミトリー):工藤和真
ヴァルラーム:河野鉄平
ミサイール:青地英幸
女主人:清水華澄
聖愚者の声:清水徹太郎
ニキーティチ / 役人:駒田敏章
ミチューハ:大塚博章
侍従:濱松孝行
桜 @Q0gtO43etrrfg
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