金子ありさが脚本、
フォトコールではまず、湊が暮らす日永ホームに町民たちが次々と訪れるシーンが披露された。湊は町民たちの買い物のリクエストや相談に応えていき、彼がすっかり町に溶け込んでいることが示される。また「湊がずっと町にいてくれるように、診療所の医師・高梨由佳子(
次に上演されたシーンでは、誰からも頼りにされる湊が、町の催しに積極的でない移住組と、移住組にもっと町になじんでほしいとぼやく地元組の間で板挟みに。また町の偏屈な老人・植村久志(
相葉は明るい笑顔で、常に人々の輪の中心にいる湊を好人物として立ち上げると同時に、時折影のある表情を見せることで、彼が抱える秘密の重さを表現する。また松平は、人付き合いを嫌う老人・植村が秘めた深い悲しみを、重々しいセリフ回しから垣間見せた。
フォトコール後の取材会には、脚本の金子と演出の宮田、出演者の相葉と松平が出席した。約12年ぶりの舞台出演となった相葉は、演出の宮田との稽古について「手取り足取り、愛ある“しごき”をいただきました(笑)」と述べ、「12年分のダメ出しをいただいた感じでハードだった。でも初日を迎えられてうれしい」と目を輝かせる。本日6月4日には、相葉と同じジャニーズ事務所所属の風間俊介が出演する舞台「恭しき娼婦」も開幕。そのことについて相葉は「風間くんにさっき連絡しましたが、まだ返信はない」と笑い交じりに明かし、「観劇に行けないのでちょっと寂しい。でも今度個人的に風間くんと会うとき、彼の目の前で長ゼリフを披露したいです」と冗談交じりにコメントした。
松平は「脚本に心の葛藤がうまく描かれている。どう受け止めてもらえるのか楽しみ」とコメント。相葉が松平について「演技からセリフ以上のものが伝わってくる。すごく勉強させてもらっています」と話すと、松平も目を細めながら「相葉さんは努力家で素晴らしい。日々どんどん変化していくのが頼もしかったです。努力が実ったところを、お客様にご覧いただけるはず」と期待を口にした。
脚本の金子は「自分の頭の中にあった物語が目の前にあるという感激に浸っています」と上演の喜びをかみ締め、12年ぶりにタッグを組んだ相葉については「『カッコよくなったなあ』と思います」と笑顔を向ける。本作を書き下ろすにあたっては、金子自身が相葉に抱いている“ファンタジーとリアリティの融合”というイメージを大切にしたと言い、「身近に感じるのに実際は(身近には)いない。相葉さんのそういう“いそうでいない”感じを大事に、舞台ならではの表現方法や役柄を意識して脚本を書きました」と語った。
宮田は2005年の「燕のいる駅」、2007年の「忘れられない人」、2009年の「グリーンフィンガーズ」でも、相葉と共に舞台を作り上げてきた。宮田は相葉と初めてタッグを組んだときのことを「追いかけ回してダメ出ししました(笑)」と回顧し、「そんなことを懐かしく思い出すくらい、相葉さんは大人になっていた。とんでもない量の経験をしてきたのだなと思うととてもうれしかったし、同時に欲も出ちゃった」と笑う。宮田は「今回の相葉さんの役柄は、脚本の内容を真摯に受け止めてきちんと(稽古を)重ねないと演じられないもの。相葉さんは成長した分、苦しんだと思う」と相葉に視線を向け、「楽しく苦しみ、みんなでコミュニケーションを取りながらやってきました。お客様にも楽しんでほしい」と観客にメッセージを送った。
会見では相葉が、舞台出演についての思いを述べる場面も。相葉は「舞台は本当に、身体ひとつで勝負するところ。厳しい場所ですが、僕にとってお芝居をやるうえで宮田先生の指導はすごく大きくて、定期的に受けたいというのが本心です。今回は長い時間がかかってしまったけど、その分『吸収しよう』という思いで全力で取り組んでいます」と言葉に力を込めた。
上演時間は約2時間を予定。東京公演は6月19日まで行われ、本作はその後29日から7月3日まで大阪・梅田芸術劇場 メインホールでも上演される。
「ようこそ、ミナト先生」
2022年6月4日(土)~19日(日)
東京都 新国立劇場 中劇場
2022年6月29日(水)~7月3日(日)
大阪府 梅田芸術劇場 メインホール
脚本:金子ありさ
演出:
出演:
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【公演 / 会見レポート】
「ようこそ、ミナト先生」開幕、12年ぶりに舞台出演の #相葉雅紀「身体ひとつで勝負」(舞台写真あり)
▽相葉雅紀主演「ようこそ、ミナト先生」が、本日6月4日に東京・新国立劇場 中劇場で開幕。初日に先駆け同日、フォトコールと取材会が行われた。https://t.co/y6kNzxahyc