オンステージシアターvol.3
オンステージシアターは、舞台上に作られた舞台で臨場感ある舞台が楽しめる、三重県文化会館のシリーズ。第3弾となる今回は、2017年に「第2回いしのまき演劇祭」参加作品として初演され、以降各地で上演を重ねているうさぎストライプの代表作の1つ、「ゴールデンバット」が披露された。
中ホールの入り口から舞台上に案内されて、まず目に飛び込んでくるのは、ステージの真ん中に裏返しで置かれた黄色のビールケース。上手にはギター、下手にはイスが置かれ、緞帳の真ん中には“火の用心”の文字がドーンと存在感を見せている。そこへ、喪服姿の
物語は、おびるのトークライブという形で展開。おびるは、自分が出会った瑛子という女性について語り始める。かつて中島ウサ子の名で地下アイドル活動をしていたおびるは、マネージャーで恋人である角田の提案で、昭和歌謡アイドルの梅原純子として再出発することになった。梅原純子の“元ネタ”になった瑛子は、“パッと見、七十歳ぐらいの、太ったお婆さん”のようだが、劇的に歌がうまいという人物。菊池が、その設定を十分納得させるような堂々とした歌いっぷりを披露すると、客席から自然と拍手が起きた。
夢と恋に、翻弄され続ける瑛子の人生。しかし彼女の傍らには常に歌があり、瑛子は歌の力によって苦難を乗り越えていく。そんな瑛子の歌声に観客は魅了され、そして物語をパワフルに牽引する菊池自身にも心をつかまれていくのだった。
ラスト、瑛子の半生を語り終えたおびるは「瑛子さんに、捧げます」と宣言し、客席に背を向け緞帳に向かってカーペンターズの「イエスタデイ・ワンス・モア」をアカペラで歌い出す。すると緞帳がスッと上がり、眼前には誰もいない中ホールの客席が。客席数968の虚空に響き渡る、菊池の伸びやかな歌声。その菊池の肩を照明が柔らかく照らし、菊池の身体は金色に縁取られた。
「ゴールデンバット」はこれまでさまざまな場所で上演されているが、今回の上演では物語と空間とが見事にマッチし、“劇場で観る”楽しみを強く体感させる公演となった。
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白兎 @kf9oey
昨日観劇した舞台レポートを見つけた
舞台上に客席というとても不思議面白い舞台で演者さんが近い
最後の曲ではジーンとしてしまった
すごく久しぶり生舞台に行ってやはり生はいいなぁ〜とあらためて思う https://t.co/BpbChutkt5