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「脱ぎすて跨ぎ越せ、新しい人へ」テーマに掲げ、「F/T18」全演目発表

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「フェスティバル/トーキョー18」全プログラム発表記者会見より。

「フェスティバル/トーキョー18」全プログラム発表記者会見より。

10月から11月にかけて開催される「フェスティバル/トーキョー18」の全プログラム発表記者会見が本日7月11日に東京都・としまセンタースクエアにて行われた。

まず「フェスティバル/トーキョー」名誉実行委員長の高野之夫豊島区長が、今年の開催に向けて挨拶を述べると、続けてディレクターの長島確が登壇。長島は「脱ぎすて跨ぎ越せ、新しい人へ」という今年のテーマについて「舞台芸術に関わらず、これまでの価値観が問い直されている時期だと思います。でもまだ新しい方法が見つからず、混迷期とも言えます。その中で、あっさりと古いものを脱ぎ捨てて新しいものをやり得る人がすでに生まれているのかもしれないとも感じています。年齢やアーティストであるか否かにかかわらず、私たちでさえも“新しい人”に向けていかに変わっていくかが、今問われているのではないか」と持論を述べる。

さらに「舞台芸術の面白いところは集団創作であるところ。言って見れば作品1つひとつが小さな社会のようなもので、フェスティバルではそういったテスト版とも言うべき小さな社会が、期間限定で街中にたくさん現れます。今年は『フェスティバル/トーキョー』にとって移行期の最初の年となるので、ぜひ楽しみにしていてください」と観客に呼びかけた。そのあと、共同ディレクターの河合千佳がフェスティバル全体のラインナップを紹介し、ピチェ・クランチェンとジャヒド・リポンのビデオメッセージが公開された。

続けて、参加アーティストの松田正隆山本卓卓、ローモールピッチ・リシー、森栄喜、福田毅、坂田ゆかり、稲継美保、田中教順が登壇。松田は3年かけて取り組んできた「福島を上演する」シリーズを振り返り、「この前に『長崎を上演する』シリーズをやっていて、そしてこの『福島を上演する』に3年取り組み、これから『広島を上演する』を上演したいと思っていて、国内の被爆した3都市を描きたいと思っています。シンプルというか地味なスタイルの作品ではありますが(笑)、かなり重要な問題も含んでいる作品です。こういう主題を持った作品を継続して上演する機会をもらえたことは、『フェスティバル/トーキョー』に感謝したいと思っています」と述べた。

続けて、今回初めて映画作品に挑戦する山本が意気込みを述べる。「演劇と映画では、“変化”の表現に対するアプローチがかなり異なると思っています。映画は変化を記録し続けることができて、そのことに魅力を感じています。また私たちは本当に変化しているのか、社会によって変化させられたのではないかとも考えています。例えば僕は大人ですが、なりたくてなったのではなく社会が理想とする大人像に“させられて”いったのではないか、と。この作品は2カ年計画なので、今年は全体の3分の1くらいをお見せすることになると思います。1年かけて撮る中で、作品も変化していくと思うので、それも許容しながら作っていけたら」と思いを語った。

カンボジアで若い世代の支持を集めるフェス「ボンプン」のプロデューサーであるローモールピッチ・リシーは、「『ボンプン』は“村の祭り”を指すプログラムですが、これを東京でやらせていただけることが大変光栄です」と感謝を述べる。さらに「『ボンプン』はカンボジアの伝統的な祭ですが、昨今は消えつつあるので、新しい社会の中でそういった伝統的な祭がどのように復活できるか、また若者たちが自分たちの歴史について考える機会を設けたいと思いました。その中で人々が影響し合い、考え合い、新しい社会を作るきっかけになればと思っています」と作品に込めた思いを語る。

さらに劇場外で上演される、まちなかパフォーマンスシリーズに参加する面々もそれぞれの作品について語った。昨年2017年に続き、2度目の「フェスティバル/トーキョー」参加となる写真家の森は今回、老詩人と青年の恋をテーマにした物語を朗読し、LGBTをはじめとする多様性のあり方に迫る。森は「物語は僕の個人的なものですが、観ている人に親密性が降り注ぎ、共鳴し合える時間になれば。タイトルにもある通り、僕だけのものでなく、we、私たちの虹を見るというような作品にしたい」と思いを述べた。

今年で3回目の「フェスティバル/トーキョー」参加となる福田は、ノイズの多い街中で作品を作るのが好きだと言い「一番ノイズが多い場所は電車じゃないかと考え、運行中の電車の中に貸切車両を設けて、そこで上演することにしました。また実際に都電荒川線に乗車すると外の音がとてもいいので、音に敏感になってほしくて、ラジオの公開生放送という設定にしました」と作品の概要を説明した。

共に東京藝術大学音楽環境創造科出身の坂田と稲継、田中は今回初めて共同創作することへの喜びを述べつつ、「私の希望としてはお寺でやりたいと思っています(笑)。都市の中の、パブリックな場としてお寺を捉えることで、新しいことができるのでは」(坂田)、「この3人が核になりさまざまな方の力をお借りしながら、密度のある創作ができれば」(稲継)、「これまで“音で笑いたい”と思いながら音楽活動を続けてきました。舞台の音楽をやるのは初めてですが、この作品でも“音で笑える”ようにしたい」(田中)とそれぞれの思いを語る。

最後にエグゼクティブディレクターの市村作知雄が登壇し、アジアシリーズの共催に名を連ねる国際交流基金アジアセンターの重要性について思いを述べた。「フェスティバル/トーキョー18」は、10月13日から11月18日まで東京・東京芸術劇場、あうるすぽっと、南池袋公園ほかにて開催される。

「フェスティバル/トーキョー18」

2018年10月13日(土)~11月18日(日)
東京都 東京芸術劇場、あうるすぽっと、南池袋公園 ほか

アジアシリーズ vol.5 トランス・フィールド

「MI(X)G」

2018年10月13日(土)・14日(日)
東京都 南池袋公園

コンセプト・演出:ピチェ・クランチェン

ショプノ・ドル「30世紀」

2018年11月3日(土・祝)・4日(日)
東京都 東京芸術劇場 シアターウエスト

脚色・演出:ジャヒド・リポン
原作:バドル・ショルカル

「ボンプン・イン・トーキョー」

2018年11月10日(土)・11日(日)
東京都 BUoY

キュレーション:ローモールピッチ・リシー

※「フィールド:プノンペン」が11月10・11日に東京・BUoYにて開催。

「境界を越えて~アジアシリーズのこれまでとこれから~」

2018年11月8日(木)~11日(日)
東京都 東京芸術劇場 シアターイースト

まちなかパフォーマンスシリーズ

「A Poet: We See a Rainbow」
2018年10月中旬~10月下旬
東京都 豊島区内各所

作・演出・出演:森栄喜

「ラジオ太平洋」

2018年10月27日(土)・28日(日)、11月10日(土)・11日(日)
東京都 東京さくらトラム(都電荒川線)車内

作・演出・出演:福田毅

L PACK.「定吉と金兵衛」

日程未定
東京都 豊島区立目白庭園 赤鳥庵

作・演出・出演:L PACK.
原案:落語「茶の湯」より

坂田ゆかり(演出)×稲継美保(出演)×田中教順(音楽)「テラ」(仮)

2018年11月中旬
東京都内某所

演出:坂田ゆかり
出演:稲継美保
音楽:田中教順
原案:三好十郎「水仙と木魚」ほか

マレビトの会「福島を上演する」

2018年10月25日(木)~28日(日)
東京都 東京芸術劇場 シアターイースト

作・演出:マレビトの会

ナシーム・スレイマンプール×ブッシュシアター「NASSIM」

2018年11月9日(金)~11日(日)
東京都 あうるすぽっと

作・演出:ナシーム・スレイマンプール

ドキュントメント「Changes」

日程・会場未定
監督・撮影・編集:山本卓卓

「参加する・学ぶ」シンポジウム

2018年10月下旬~11月中旬予定
東京都 あうるすぽっと ほか

ディレクターズ・ラウンジ

「ディレクター / ディレクションのこれから」

2018年10月下旬~11月中旬予定
東京都 東京芸術劇場 アトリエイースト 

「背景? 前景?」

2018年10月下旬~11月中旬予定
東京都 東京芸術劇場 アトリエイースト

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