五反田団の
開口一番、前田は「編集作業のときに何度も観ていると、面白いのかわからなくなっちゃって(笑)。みんなが面白いって言ってくれるけど、ちょっとまだ信じていないところがある」と弱気な発言。だが小泉は本作の台本を読んだ際に「これは私にしかできない役かもしれない」と直感したことを明かし、「監督もプロデューサーの方も一緒にお仕事したことがなかったので、会いたいなと思ったら、こんな人が来て(笑)。監督はもともとお芝居の人で、普通の映画監督とは全然違う発想がある方なので、また新しいちっちゃい石を、一緒に投げられるのかな、と思って参加しました。それはできたと思います。面白いと思いますよ。自信を持って!」と前田にエールを送り、仕上がりに自信をのぞかせる。
本作は、18年前に死んだはずが突然戻ってきた小泉演じる伯母・未来子から「実は私が本当の母親だ」と聞かされた、二階堂演じる女子高生・果子の成長をつづるひと夏の物語。二階堂が「いつか小泉さんと親子役でご一緒できたらと思っていたので」と出演理由について説明すると、小泉は「光栄でございます」と笑顔。二階堂は小泉との共演を「ドキドキしました。すごく優しくてカッコよくて、小泉さんの生き様を現場で感じることができ、とてもいい時間だったなって」と振り返り、小泉から「ふみちゃんは若いのにしっかりと映画を支えていて。初めから最後までふみちゃんがリードしてくれたので、とても頼もしく甘えたいような気持ちです」と温かな言葉が贈られると、はにかんだ表情を浮かべた。
高良も「どの作品でも、小泉さんは説得力を持たせる。それは芝居をやってて自分に欲しいものだと思っていたから、すごいなと思って」と小泉との共演への感慨を述べる。また、1月クールのドラマ「いつかこの恋を思い出してきっと泣いてしまう」に出演していた高良が「さっき小泉さんに『月9観てたよ』って言われて。『ああ……はい』みたいにしか言えなかったんですけど……でも本当にうれしかったんです!」と弁解。客席から励ましの拍手が送られる中、小泉が「めちゃくちゃハマってましたから!」とにっこり笑いかけると、高良はさらにドギマギした態度に。
2005年に映画「空中庭園」で小泉と夫婦役を演じた板尾。「それ以来の共演なので、(今作の)ストーリーでも久しぶりに会う役で、すっと芝居に入れる感じがして。タイミングがよかったなと」と、現実と役柄のリンクについて語った。一方、二階堂と親子役を演じたことについては「なんとなく(自分と)雰囲気も似てるし、こんな子供おってもおかしくないんで、ぜひ養女にでも」とアピール。これに二階堂が「素敵だと思います。劇中で、目元が似てるかもしれないと思うカットがあるんです。ぜひ養女になれたら」とノリノリで応じると、板尾も「いいよ。生活にだいぶ余裕があるから」と快諾。「お願いいたします」と頭を下げ合う2人に、登壇者たちは和やかな視線を送っていた。
また前田は、今作がオリジナル脚本だということについて「それって普通のことじゃんって思ってたんですけど、そんなことないんですね。オリジナルでやらせてもらえるって幸せなことだって気付かなくて。失ったときにわかるのかな(笑)」と笑わせる。また北品川という街を舞台に設定した理由については「古い街並みが残っている後ろに、品川港南口の高層ビルの景色があって、過去と未来が混ざりあったような街なんです。過去と未来が同じ時間に同居していたら面白いなと思って、ここにしました」と明かした。
また前田は2008年に逝去した監督・市川準に映画作りを勧められたといい、「一緒に映画を撮ろうということになっていて、僕が台本を書いて、もうすぐクランクインというときに監督が亡くなられてしまった。それで映画に対して宙ぶらりんな気持ちがあって。『ジ、エクストリーム、スキヤキ』を撮らせてもらって、もう映画は撮らないだろうなって思ってたんですけど、まだ市川監督に観てもらえるようなのができてないな、っていう思いがあって」と本作に取り組んだ理由を語る。そして「あと1年くらい経ってもう1回観てみて、納得がいったら、市川監督に観ていただこうかなと思っています」と胸の内を語っていた。
「ふきげんな過去」は6月25日より全国ロードショー。
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