前川が主宰する劇団イキウメによって上演された舞台を、
入江が「僕がずっと抱えているテーマと、今の世界の普遍的なテーマが入っていた。3年ぐらいかけてようやくできた作品です」と発言すると、前川も「それだけ長い時間かけてできたことがよかった。入江さんが抱えている問題意識を共有できたので」と続ける。キュリオとして生きる主人公・鉄彦を演じた神木は、本作について「台本を読んだらすごく難しく、わからないことがいっぱいでした。でも自由に発想ができるし、“難しい”という思いもすごく大事なものだと気付きました」とコメント。また「何十年後かにもう一度この作品と出会ったとき、『たしか前はこんなふうに感じたな』と思ったり、皆さんの中でゆっくりと育っていく作品になってほしいです」と観客に語りかけた。
2014年の冬、埼玉・奥秩父や山梨の山中にて撮影された本作。神木は過酷な現場を振り返り、「とにっかく寒くて! ほんっとに寒くて!」と力を込める。唯一助かった点として「劇中で寒がる演技ができたからよかった。寒くないふりは絶対にできなかった」と話す神木に、入江が「『何枚カイロ貼ってる?』って聞いたら、『8枚』って言ってたよね」と言うと客席からは驚きの声が。それに対し、神木は「そうそう、そしたら今度は、すっごい暑くなってくるんですよ!」と大げさにうなずき、観客の笑いを誘う。キュリオの結を演じた門脇は、寒さに加えて睡眠不足との戦いもあったと明かし、「眠い日が続くと人って食欲が湧くようで、いつもの2倍くらい食べてしまって。作品を観たら、自分がコロコロでびっくりしました」と、生命の危機すらも感じたという撮影を述懐した。
太陽を嫌うノクス・森繁役の古川は「寒い、眠いが出てくると、ほかには……」と困りながら、「神木くんが『寒い、寒い』って言ってましたけど、一番寒くなさそうにしていましたよ?」と神木を見やる。「鉄彦が感情をむき出しにするシーンで体が温まるせいか、神木くん1人だけベンチコート着てなかったんですよ」という古川の目撃談を受けた神木は「そのときは暑かったの! でもそれが冷めると寒くない!?」と必死に声を荒げ、古川にぐっと詰め寄る。古川が負けじと「でもたぶん、一番(寒くなさそうだった)!」と言い張ると、神木は「そのときは、確かにね。でも寒かったよ?」と抵抗。そんな2人の応酬をみんなが微笑みながら見守る中、結の父・草一役の古舘が「入ってもいいかな?」と割り込み、「結構僕もすごいシーンがあって。こんなに体動かすの何年ぶりだろうって。で、もう体動かないって時にもう1回!って言われたときは、死を思いました」と話して、その場を収めた。
舞台挨拶では、劇中で鉄彦が作る仮面を神木が手にして説明する場面も。神木は大切そうに観客に見せながら「これは鉄彦の希望の象徴です。映画を観ながら、『そういえば神木、あんなの持ってたなあ』なんて思い出してください」と伝える。また入江は原作について「すごい面白いのはわかっているけど、なぜ面白いのかいまだにわからない。それをずっと考えていける題材なので、僕にとってこれは10年に1本の企画です」と胸を張り、「皆さんの感想や評論を読んで、『太陽』ってこういう映画だったんだってようやくわかってくるのかも。そういう意味では、ここから作品づくりが始まると思っています」と語った。
「太陽」は4月23日より全国ロードショー。
関連記事
前川知大のほかの記事
リンク
- 「太陽」公式サイト
- 「太陽」予告編
- 映画「太陽」公式(@eigataiyo)| Twitter
- 劇団イキウメ 公式サイト
※記事公開から5年以上経過しているため、セキュリティ考慮の上、リンクをオフにしています。
Gnews @Gnews__
[エンタメ]入江悠監督が「10年に1本の企画」と語る、前川知大作「太陽」映画版が完成 - ナタリー https://t.co/HvJ3at37Hc 前川知大の作による同名舞台を原作とした映画「太陽」の完成披露試写会が、本日3月7日に東京・一ツ橋ホールにて開催された。 前川知大.…